防火設備定期検査で建物の安全を高める為に知りたい検査内容と費用

2016年に新たに施行された防火設備定期検査を行う理由や検査にかかる費用などわからないことが多くて戸惑っていませんか?

防火設備定期検査とは、火災事故による被害を最小限に抑えるために必ず行わなければいけない検査です。具体的には「防火扉」「防火シャッター」「耐火クロススクリーン」「ドレンチャー」といった4つの項目における検査を行います。ここではこの検査の全体像をわかりやすく解説しました。

また検査を怠ることで「100万円以下の罰金」を支払うことになりかねませんし、実際に事故が発生することで行政処分の罰金だけでは済まされない可能性もあるのです。

そこでこの記事では年間300物件の検査実績がある私の知見をもとに安心・安全なビル管理を実現するための防火設備定期検査の概要と検査を行うための具体的な流れを8つのステップに分けて丁寧に解説していきます。

安心・安全なビル管理を実現するためにも是非参考にしてください。

目次

1.防火設備定期検査とは

防火設備定期検査とは建築基準法により定められた法的検査です。もともとこの検査報告制度はありませんでしたが多くの犠牲者を出した火災事故をきっかけとして2016年に新たな検査として施行されました。

1-1.検査の必要性

防火設備定期検査は必ず行わなければならない検査です。なぜならばこの検査を怠ると火災事故が発生する要因となるからです。

防火設備定期検査は建築基準法改正に伴い新たに新設した検査です。法律を改正してまで新設をした背景として平成253月福岡県で診療所の火災事故がきっかけとなりました。鉄筋地上4階建ての建物は全焼し死者10人、負傷者5人の犠牲者を出す惨事となりました。


引用元:情報速報ドットコム

この事故は、防火設備が煙感知式にすべきところを旧式の温度ヒューズ式等のままだった。増築された吹き抜け部分に設置すべき防火設備が設置されていなかった。と2つの主な原因がありました。この事故をきっかけとして国土交通省が全国の病院関係に緊急点検を実施したところ防火設備に建築基準法違反を指摘されながら6割近くの病院で是正が進んでいないことが判明しました。このような防火設備の不備による事故防止方法を検討された結果、防火設備の維持管理の強化のため今回の建築基準法の改正となりました。

1-2.検査の回数

防火設備定期検査は防火設備を適法状態に維持するため年1回検査を行わなければなりません。

この検査は建築基準法改正により2014年6月4日公布し2016年6月1日に施行され検査報告が義務化されました。2016年6月に検査制度ができたため1年の猶予期間を経て、2017年度より年1回検査を実施することとなりました。


引用元:浜島防災システム

1-3.検査に必要な2つの資格

防火設備定期検査を行うために必要な資格は建築士(1級、2級)、防火設備検査員の2つあります。
建築士の資格には建物の設計や工事監理などを行うことができる技術者で一級建築士,二級建築士,木造建築士があります。建設大臣の免許を受ける「1級」と、都道府県知事の免許を受ける「2級」「木造」に分かれています。防火設備定期検査を行うことができる資格は1級、及び2級建築士です。
防火設備検査員は平成286月施工の改正建築基準法に合わせて新設された国家資格です。防火シャッターや防火戸などの駆動装置の点検、自動火災報知機の感知器と連動させた動作確認などを点検するための資格です。この資格は、最近新設された資格ですので防火設備検査員の資格を所持している人はまだ少ないです。平成28年の改正建築基準法の施工に合わせ平成281月以降、防火設備検査員資格の取得の為の講習がスタートしました。

2.防火設備定期検査で行う4つの項目

防火設備定期検査では防火扉、防火シャッター、耐火クロススクリーン、ドレンチャーその他の水幕を形成する防火設備の4つの項目を行います。以下で具体的に解説していきます。

2-1.防火扉とは

防火扉とは、火災時に火災の貫通を防止できるように設計された扉のことですが、火災が起きた際、正常に作動することを目的として検査を行います。

引用元:大牟田市

2-1-1.防火扉の設置場所周辺

防火扉の付近に物品が放置されていると非常時に防火扉の閉鎖に支障をきたしてしまう可能性があります。過去には防火扉の開閉が正常に作動しないことにより煙の充満により死傷者が多発した事故もあります。そのような事故による被害から身を守るためにも放置された物品がないかを確認することが重要なのです。

2-1-2.扉の取付の確認

扉の取付が堅固にされていない場合、正常に作動しない可能性があります。具体的には「扉・枠・金具」などの詳細な部位にまで検査で確認することになります。なぜなら変色や損傷があれば正常な作動が確保できない可能性が高まるからです。だからこそこのようなポイントにまで目を配り検査する必要があるのです。

2-1-3.危険防止装置

防火扉では非常時に閉鎖する場合、危険防止機能が働くか検査します。閉鎖作動時に周囲の人の生命や重大な危害が及ぶ恐れがないように防火戸の重量や閉鎖スピードから求められる運動エネルギーを一定基準以下となるかどうか。また、防火戸が閉鎖し挟まれた時の押付ける力が一定基準以下になるかを検査します。正常に働き、尚且つ利用者の安全を守るためには必要なものとなります。

2-2.防火シャッターとは

防火シャッターとは建物内の「防火区画」を構成するために設けられたシャッターのことで正常に作動し感知器との連動が問題なく行われることを目的として検査します。


引用元:(株)ムラケン

2-2-1.防火シャッターの設置場所周辺

防火シャッターは通常、開放状態になっており、火災等、万一の時に感知器と連動して自動的に閉鎖されます。通常は開放状態であり、シャッターの下に物品が放置されている場合は、万一の時に危険防止装置が働き閉鎖されず死傷者が多発する可能性があります。そのような事故を防止するためにも放置された物品がないかを確認することが重要です。

2-2-2.駆動装置

駆動装置が故障している場合は防火シャッターが作動しない可能性があります。具体的には「ローラーチェーン、ワイヤーロープ」などの部位まで検査で確認する必要があります。何故ならば変形、損傷、腐食していれば正常に駆動装置の正常な作動が確保できない可能性が高まります。だからこそこのようなポイントにまで目を配る必要があるのです。

2-2-3.危険防止装置

防火シャッターには危険防止装置が取り付けられています。危害防止装置とは防火シャッター用の、非常時に起動する、挟まれ防止の安全装置で、障害物があれば自動的に止まり、障害物がなくなると再度降下し全閉する装置です。この装置は平成16年に防火シャッターに児童がはさまれる重大な事故が発生したことがきっかけとして設置が義務付けられるようになりました。利用者の安全を守るためには障害物がある場合感知し止まる危険防止装置が必要となります。

2-2-4.連動機能

防火シャッターは煙・熱感知器が煙等で火災を感知した情報を得て連動して閉鎖作動が行われます。感知器が正常に作動しなければシャッターも閉鎖せず重大な事故につながる可能性があります。だからこそ感知器の設置や作動状況やシャッターとの連動検査まで行う必要があるのです。

2-3.耐火クロススクリーン

耐火クロススクリーンは耐火クロス(ガラスクロス製)を使用した、防火防煙性能を兼ね備えた防火設備です。 この設備はエレベーター前専用のスクリーンです。 非常時にはスクリーンを引き上げて避難することができます。設置の周辺状況を確認し、非常時に物品が開閉の障害にならないかを確認することを目的とします。

引用元:大林組

2-3-1.駆動装置

駆動装置が故障している場合は耐火クロススクリーンが正常に作動しない可能性があります。具体的 な検査内容としては「ローラチェーン」などの部位まで目視、聴診・触診の方法で確認します。何故ならば腐食、異常音やたるみがあれば駆動装置の正常な作動が確保できない可能性が高まるからです。だからこそこのようなポイントにまで目を配る必要があるのです。

2-3-2.カーテン部

耐火クロススクリーンが劣化・損傷している場合カーテン部が正常に機能しない場合があります。具体的な検査内容としては耐火クロススクリーンを閉鎖し動作状態を目視で確認する必要があります。何故ならば変形、損傷・腐食している、固定ボルトが堅固に締め付けていない場合正常な動作が確保できない可能性があるからです。だからこそ動作状態を確認する必要があるのです。

2-3-3.危険防止装置

耐火クロススクリーン(巻き取り式、バランス式)では非常時に閉鎖する場合、危険防止機能が働くか検査します。閉鎖作動時に周囲の人の生命や重大な危害が及ぶ恐れがないように耐火クロススクリーンの重量や閉鎖スピードから求められる運動エネルギーが一定基準以下となるかどうか。また、座板感知部の作動により降下の停止が行われるか。耐火クロススクリーンが閉鎖し挟まれた時の押付ける力が一定基準以下になるかを検査します。正常に働き、尚且つ利用者の安全を守るためには必要なものとなります。

2-3-4.連動機能

耐火クロススクリーンは煙・熱感知器が煙等で火災を感知した情報を得て連動して閉鎖作動が行われます。感知器が正常に作動しなければ耐火クロススクリーンも閉鎖せず重大な事故につながる可能性があります。だからこそ目視による感知器の設置位置の確認や感知する時間等の作動状況等を必要があるのです。

2-4.ドレンチャーその他の水幕を形成する防火設備

ドレンチャーは防火設備の一種で建物の類焼や延焼を防ぐため、天井にスプリンクラーのヘッドのようなものがついており開口部から水を噴出し建物全体を水幕で包むものです。火災など非常時に水が大量に噴出するためポンプやタンクが正常に機能するかを目的として検査する必要があります。

引用元:ブラタモリでも紹介

2-4-1.ドレンチャーの設置場所付近

ドレンチャーの付近に物品が放置されていると非常時には障害となり水が広く噴出されません。火災の類焼・延焼の防止に支障が出て死傷者が多発する可能性があります。そのような事故による被害から身を守るためにも物品が放置されていないかを確認することが重要なのです。

2-4-2.散水ヘッド

散水ヘッドが故障している場合は水の噴射が正常に作動しない可能性があります。具体的な検査内容としては散水ヘッドが正常に水幕を形成する場所に設置されているか。散水ヘッドに塗装や異物で詰りがないかどうかを確認します。何故ならばヘッドに塗装や異物で詰りがあると正常な作動が確保できない可能性が高まるからです。だからこそこ設置位置やヘッドの状態の確認必要なのです。


引用元:(株)ニッタン

 

 

2-4-3.水源

ドレンチャーで水を放出するためには多くの水が必要でありその水が確保される必要があります。正常に消火作動するためには貯水槽や給水設備が劣化・損傷・変形していないか検査する必要があります。なぜならば水が確保されなければ非常時に水を放出できないからです。だからこそこのようなポイントにまで目を配る必要があるのです。

3.検査対象の建物は?

検査は、多くの人が利用するホテルや介護施設などの用途別や延床面積100㎡以上の規模の建物で対象になります。建物の用途や、規模(大きさ、階数等)により検査の有無の基準が分類されています。

例えば、老人保健施設、ホテル、百貨店、病院、学校、飲食店、事務所等、全ての用途の建物で検査を行わなければなりません。検査対象になるかどうかの条件は都道府県により細かく分類されています。ここでは『東京都の検査対象の分類一覧表』と『大阪府の検査対象の分類一覧表』を参考に確認してみてください。

また、建物の管轄はほとんどで都道府県となりますが、一部では市が管轄している場合もあります。例えば、神奈川県や兵庫県の一部では市が管轄となります。管轄の役所で検査対象物の条件が定められています。

4.検査費用の目安

防火設備定期検査は2016年から施行された新しい検査です。このため検査会社各社も費用構成については模索している感があります。費用は相場というものがあまりないため会社により大きく変動します。傾向として建設会社や設計会社は建築士によって検査が行われることが多く費用は高めです。管理会社は防火設備検査員によって検査するケースが多く費用は安めです。見積書の内訳も会社により大きく違いがあるため見積書を取った後、追加費用が発生するか確認することが必要です。
費用の目安として当社の価格表を掲載します。検査会社を決めるための参考にしてください。

<基本料金 ※検査、報告書作成費用>  
延床面積 共同住宅 左記以外
~1,000㎡ 35,000円 35,000円
~2,000㎡ 35,000円 40,000円
~3,000㎡ 40,000円 45,000円
3,000㎡超 別途見積 別途見積

<設備ごとの検査費用>
※防火扉  1箇所当り  ¥3,000円
※防火シャッター(天井高3m以内)電動巻上  1面当り  ¥ 6,000円
※防火シャッター(天井高3m以内)手動巻上  1面当り  ¥10,000円
※感知器連動試験 1箇所(面)当り  ¥2,000円            

例えば、東京都の2,500㎡の病院で2回目の防火設備定期検査の見積もり事例は以下の通りです。

東京都の2,500㎡の病院で2回目の防火設備定期検査の見積もり見積事例
※防火扉3箇所、電動防火シャッター3面がある場合

1 基本料(検査費、報告書作成費) 40,000円
2 申請代行費           15,000円
3 防火扉(3×3,000円)        9,000円
4 防火扉感知器連動試験         6,000円
5 防火シャッター(3×6,000円)   18,000円
6 防火シャッター感知器連動試験     6,000円
7 消費税相当額           7,520円                         

  合計見積額(消費税含む)   101,520円

★上記費用は総額となり追加費用は発生しません
★当社の費用構成は
1. 基本料・・・・・・ 検査から報告書作成の費用まで含みます
2. 申請代行費・・・・ センターや役所への提出代行費です
3. エリア外交通費・・・東京都23区や大阪市以外で発生します
4. センター手数料・・・センターでの受付手数料です
受付センターがある場合発生します。センターがない役所は直接役所へ提出しますので手数料 は不要です。
5. 初回報告書作成費・・初めて検査を行う場合は図面などの書類から報告書を作成しなければなりません。 初回のみ別途作成費用が必要です。2回目からは不要です。
6.その他設備・・・・・ドレンチャー等の設備が設置されている場合は別途費用が発生する場合があります

5.防火設備定期検査の流れ

所有者又は管理者、又は請負会社は報告書提出まで以下の9つの流れに沿って行います。検査会社への依頼主(=契約発注者)は所有者(ビル・マンションオーナー、マンション管理組合の理事)や所有者からの受託会社(建設会社、設計会社、ビルメンテナンス会社等)が大部分です。

  • STEP1  建物の登録を行います(検査済証)
  • STEP2 役所から通知が届きます
  • STEP3 検査会社に依頼します
  • STEP4 検査のため資料の準備を行います
  • STEP5 検査を行います
  • STEP6 報告書を作成します
  • STEP7 検査会社は報告書完成後お客様へ郵送します
  • STEP8 検査会社は役所に報告書を提出します
  • STEP9 受付済み報告書がセンターより検査会社へ届きます

STEP1.建物の登録を行います

新築の建物では、建物の工事完了4日以内に指定確認検査機関に申請を行う必要があります。役所(建築主事)は申請受理から7日以内に工事完了検査を行い検査済証が交付されます。上記終了後、役所に建物が登録され、窓口のセンターに連絡が行われます。

指定確認検査機関とは
一般財団法人日本建築センターなど(※国土交通大臣や都道府県知事から指定された民間の機関)
センターとは
役所の受付代行機関(※東京都の場合は一般財団法人日本建築設備・昇降機センター。※大阪府の場合は一般財団法人大阪建築防災センター)※都道府県によってはセンターがなく千葉県のように直接役所に報告書を提出するところもあります

STEP2.通知が届きます

役所に建物が登録されると、検査時期が来ましたら役所より建物の所有者あてに検査通知が届くようになります。※役所により通知がない場合があります(千葉県では特殊建築物定期調査のみ通知があります)通知が届きましたら検査会社を探します。

検査済証が未交付の場合等の理由で、役所に建物の登録がされていない場合は役所から通知が届かないことがあります。その場合でも所有者又は管理者には報告義務が課せられていますので検査は行わなければなりません。役所からの「通知の有無」は「報告義務の有無」とは無関係です。役所から通知が来ない場合でも、竣工日の翌日から起算して2年を経過する日までに1回検査を受けてください

所有者又は管理者とは
所有者とは言葉の通り建物を所有している個人または法人。管理者とは所有者からその建築設備について維持管理上の権限を委任された個人または法人

STEP3.検査会社に依頼します。

防火設備定期検査は事故や災害を未然に防ぐための重要な検査ですので検査の提出期限までに専門知識を持ち安心して任せることができる検査会社に依頼する必要があります。提出期限は、役所からの通知に記載されていますので必ず確認しましょう。

 

※具体的に検査会社を選ぶポイントは5章に記載していますので参考にして下さい

STEP4.検査会社決定後、資料の準備を行います

検査会社が決まるとスムーズに検査を行うために検査員により準備が行われます。資料は検査の実施時や報告書作成のために必要になります。契約発注者は検査日の1週間前までに検査に必要な指定資料を検査会社へお送り下さい。

検査に必要な資料の目安

  • 検査が2回目以降の場合⇒①前回報告書、②平面図
  • 検査が初回の場合⇒①確認済証、②検査済証、③建築平面図、④設備図面(自動火災報知設備関係)、⑤面積記載図、⑥消防設備点検報告書

 

STEP5.検査を行います

検査員により建物の検査が行われます。検査員が検査に要する目安は時間は用途や規模・設備内容によりますが延べ床面積3,000㎡までであれば2人で1日で完了します。また大規模な建物の場合はさらに人数や時間が必要です。この検査は日中行われることが多く、基本共用部に関わる設備の検査となります。

STEP6.報告書作成

検査終了後、検査員により報告書作成が行われます。お預かりした資料を基に検査を行い、検査結果に従い報告書が作成されます。

報告書作成に要する日数は建物の用途・規模・設備内容にもよりますが1週間から10日で完成します。大規模の建物や混み合っている時期には2週間から3週間程度かかる場合もあります

STEP7.報告書完成後に報告書を郵送します

検査会社から契約発注者へ完成した報告書を1部郵送されます。報告書に所有者又は管理者の押印を行い検査会社あてに返送下さい

※役所へは基本的に検査実施後1ヵ月以内に、検査報告を行うこととなっています。また検査実施後3ヶ月を過ぎると作成した報告書は無効となってしまいますのでご注意ください(なお埼玉県は2ケ月)早めに押印し検査会社へ返送下さい。検査後3ケ月を経過してしまいますと再検査を行わなければなりません。

STEP8.役所に報告書を提出します

契約発注者から戻ってきた押印済み報告書が検査会社に到着次第、検査会社よりセンター(または役所)へ提出されます。

センター(または役所)へ報告書を正本(原本)1部・副本(コピー)1~2部提出致します。提出後、およそ2ケ月程度(混雑期は6ケ月程度かかる場合があります)で受付済みの報告書(副本)がセンター(または役所)から検査会社に返送されます。

STEP9.役所から受付済み報告書が届きます

受付済みの報告書(副本)がセンター(または役所)から戻ってきましたら検査会社から契約発注者あてに送付されます。★判定結果が良好なものには報告書と合わせて建築設備定期検査報告済証が送られてくる役所もあります。不良個所がある場合は報告書と同時に改善通知が役所より送られてきますので早急に改善工事を行って下さい。改修工事ができる検査会社もありますので検査会社に一度ご相談下さい。

<不良箇所がない場合>
引き続き、安全に利用できるよう維持管理を行って下さい。センターより報告済証が届きます。

引用元:公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンター

<不良箇所がある場合>
安全を維持するためにも早急に改善工事を行って下さい。

改修工事終了後は契約発注者より役所へ是正報告書を提出する必要があります。
★これで検査は終了です。適正な維持管理のために報告書は大切に保管して下さい★

6.検査会社を選ぶ3つのポイント

防火設備定期検査は建物利用者の安全を守るための大切な検査です。ビル等の建物は一つとして同じものはなく千差万別です。検査会社を選ぶに当たり費用は大切な要素ですがそれ以上に安心して依頼できることが大切な要素だと思います。ここでは検査会社を選ぶための重要なポイントをお伝えします。

ポイント1.豊富な経験と実績がある会社を選ぶ

失敗しない選び方の1つ目は豊富な経験と実績ある会社を選ぶことが挙げられます。年間200件以上の経験の豊富な会社ならひとまず安心です。実績が多いということは培ってきたノウハウも豊富と判断できるため比較的安心して任せることができるでしょう。経験のある検査会社を選ぶことが検査をスムーズにトラブルなく行うための目安です。多くの検査を実施しているということはリピーターのお客様も多いと思われ信頼されている証があると判断できるでしょう。

ポイント2.信用のある会社を選ぶ

失敗しない選び方の2つ目は信用のある会社を選ぶことです。よく当社にもお客様から「今まで小さな会社に調査を任せていたが急に連絡が取れなくなって困っている」「毎年継続して検査を依頼したいがなかなか電話がつながらない」と相談があります。ホームページやチラシ等だけ見ても信用のある会社か責任を持って調査を最後まで行ってくれる会社かなかなか判断がつかないものです。このようなことで困らないためには創業して年数が少ない会社や少人数の会社よりは、なるべく創業歴の長い老舗会社のほうが安心です。もちろん、創業歴の浅い会社でもきちんと調査をしてくれるところはありますが、それを判断することはお客様にはできません。そうなると判断する材料は過去の実績や営業年数や従業員数などになってくるかと思います。長く営業しているということはそれだけ頼りにされている、信頼できる証でもあります。少なくとも10年以上の社歴がある会社や10人以上の従業員がいる会社を選ぶことが重要です。

ポイント3.追加料金が必要ない会社を選ぶ

失敗しない選び方の3つ目は追加料金が必要ない会社を選ぶことです。検査が終わったあとで色々な追加費用が発生するような会社は任せるのには不安です。見積書は事前に必ず取りましょう。

当社では見積作成時に「調査費、報告書作成費、提出代行費、センター手数料、エリア外交通費など」調査に必要な費用は全て見積書に記載して、あとで追加費用がなくお客様に安心してお任せいただけるようにしています。見積金額以外で追加費用が発生する場合往々にしてトラブルが発生します。安心して任せることができる会社は常に明瞭会計をします。検査後に追加費用が発生しない会社を選びましょう。

7.防火設備定期検査の3つの関連業務

防火設備定期検査は建築基準法に基づく法的検査です。一つの建物で安全を守るために役割の違う法的検査として特殊建築物定期調査、建築設備定期検査、昇降機定期検査の3つの検査(調査)があります。

7-1.特殊建築物定期調査とは

特殊建築物定期調査とは建物の敷地や構造等、建物全体が適法状態にあることを定期的に報告する調査です。特定建築物として指定された建物が、利用者の安全のために常に適法状態にあることを定期的に報告するために制度化されたものです。

調査内容としては、建物の外壁や建物本体と敷地の調査、建築物の外部内部、屋上屋根、避難施設、耐火設備が調査項目として指定されています。

特殊建築物定期調査の詳細はこちらより確認してください

※なお、2016年6月の建築基準法改正により、「特殊建築物」という名称から「特定建築物」へと変更しました。
※東京都の場合は新築・改築後は初回の調査が免除となります。調査は、役所や用途等により3年に1回、又は年1回調査を行う必要があります。

7-2.建築設備定期検査とは

建築設備定期検査とは建物の設備が適法状態にあることを定期的に報告する検査です。ビルやマンション・学校など不特定多数の人々が利用する建物で建物の設備が適法状態にあることを定期的に報告するために制度化されたものです。

検査設備は給排水設備、換気設備、非常照明設備、排煙設備の最大4つの設備があります

建築設備定期検査の詳細はこちらより確認してください 

7-3.昇降機定期検査とは

昇降機定期検査とは昇降機等の安全や性能が適法状態にあることを定期的に報告する検査です。

エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機、遊戯施設等が検査対象となります。東京都では新築・改築後から2年を超えない時期に、初回の検査を行う必要があります。基本的に年1回検査を行う必要があります。

8.よくある質問

8-1.検査を行わないことによる罰則

検査を行わない場合は「督促」や「100万円以下の罰金」の罰則があります

検査は建物利用者の安全を守るため万一の事故に備えて行うものです。契約発注者より「防火設備定期検査を行わない場合罰則はありますか?」というお問合せがあります。この質問には「罰則はあります」という回答をしています。具体的には下記のようになります

1「罰則」規定の根拠

建築基準法 に罰則規定が記載されています

第101条 「次の各号のいずれかに該当する者は、100万円以下の罰金に処する」二項 第12条第1項又は第3項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

引用:建築基準法

つまり、防火設備定期検査等を行わなかったり、虚偽の報告をした場合は、100万円以下の罰金の処分を受ける可能性があるということになります

2「督促状」が送られる場合

役所から届く検査通知を無視し提出期限までに報告を行わない場合には「督促状」が送付されます。しかしながら現実には、罰金の処分が行われたというケースは把握されていません。近年、建物の事故が増加しているため、役所は建築設備定期検査の実施のチェックを厳しくしています。罰則規定があるなしに関わらず、建物の所有者として建物利用者の安全を守るために、検査を行い建物を適正な状態にして、安全を維持することは義務であり長い目で見れば所有者の利益につながると考えています。

法律に違反し検査を行わない場合には、万が一建物で事故が起きた場合には責任問題も起き行政処分の罰金だけでは済まされません

そのようなことが起きないようにする為にもこの制度を有効に活用してほしいと考えています

8-2.検査はいつ行えばいいか?

8-2-1.新築の建物の場合

建物が新築の場合は2年を経過する日までに検査報告を行ってください。

8-2-2.昨年検査を行った場合

前回検査を行った場合は前回の報告を行った日の翌日から起算して1年を経過する日までに検査報告を行ってください。

8-2-3.新築後何年も検査を行ったことがない

何らかの理由で何年も防火設備定期検査報告を行っていない場合は建物利用者の安全を守るためにもすぐに検査報告を行って下さい。万一、火災等が起きた場合は所有者責任が問われます。

※7-2-1では「2年を経過する日までに」2では「1年を経過する日までに」と決められていますがその日を過ぎて提出した場合でも下記のように今年度中の受付が可能です。

例えば、8月1日に検査(受付日)を行った場合は翌年8月1日までに検査を行わなければなりませんが万一、何らかの事情で上記期限を過ぎてしまった場合でも年度末迄(3月31日迄)に提出を行った場合は今年度の受付は可能です。提出が4月1日以降になった場合は検査受付は翌年度扱いになります。

8-3.検査は行わないといけないか?

検査の目的は災害等、万一に備え、設備が正常に作動するかを建築基準法に定められた条件で定期的に検査を行うことです。正常に作動しない場合は重大な事故につながることがあります。

下記に事故の原因になるケースを解説します

8-3-1.避難通路

「避難通路」は災害時の避難経路となる重要な役割があります。事故になるケースとして避難通路における物品の放置です。保管スペースが少なくやむを得なく放置されているかと思われますが、災害時には避難の妨げになります。 避難通路の障害になったり、通路を塞いでしまうことも考えられます。万が一の際には、入居者の安全にかかわることですので廊下や階段には物品を放置しないようにしてください。

8-3-2.防火扉

「防火扉」では火災時において、避難経路に煙や炎が一定時間浸入しないように遮断する重要な役割があります。事故なるケースとして、出入りの際に面倒な為、ストッパーやロープを使い、開放状態にしている場合があります。非常時に正常に閉鎖しないことで、多くの犠牲につながることがあります。

8-3-3.非常照明

「非常用照明」は災害時に万が一電源が断たれても、30分間は非常用照明の内蔵バッテリーで最低限安全に避難できる照度を確保する重要な役割を果たします。定期検査等で定期的に点検をしておかないと、この内蔵バッテリーの寿命により点灯しないものが出てきます。また点灯しても寿命が切れ法律で定められている時間(30分間)持たないものも多く見られます。非常時の停電で点灯しないため避難経路がわからないことによる惨事につながる可能性があります。

※過去に多くの犠牲者を出した建物事故のほとんどは、検査がきちんと行えていないことが原因でした。建物利用者の安全のためにも建築基準法で定めた防火設備定期検査は定期的に行いましょう。

まとめ

★防火設備定期検査は建築基準法第12条で行う法的検査で毎年1回実施することとなっています

★検査は防火設備検査員等の有資格者が行う必要があります

★検査する設備は防火扉、防火シャッター、耐火クロススクリーン、ドレンチャーその他の水幕を形成する防火設備の4つの項目を行います

★検査を実施しない場合は「督促」や「100万円以下の罰金」等の罰則があります

★万一、検査を行わず火災等で事故が起きた場合は所有者・管理者責任を問われます

★安心して検査を行うためにも良心的な検査会社を選び任せて下さい

さいごに、防火設備定期検査は建物利用者の安全を守るためにも重要な検査です。事故や災害を未然に防止することを目的とします。安心・安全を守るために重要な検査だからこそ安心できる会社に任せたいものです。

 

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