ビルでよく見かける火災報知器の種類を見分けられなくて困っていませんか?

よく天井に直径10cm位の円形の物がついているのを見かけますね。これは感知器というもので小さいながらも万が一、火事になった時には煙を感知して、火事の情報を送り素早く私達に知らせてくれるものです。安全を守るために非常に大切な役割を担っています。

感知器には煙感知器、熱感知器、炎感知器の3つの種類があります。これは火災報知機の一部です。ここでは私たちの安全を守ってくれている火災報知器について詳しく説明します。

読み終えていただければ今後、ビルに設置されてる火災警報器の種類の見分けることが容易になります。安全・安心のためにぜひご参考にしてください。


火災報知器の種類

火災報知器とは、火災が起きたこと、火災が起きた場所を消防署、ビルの管理室・防災センター、ビルで働いている人・マンションで住んでいる人々へ通報する設備です。

火災報知器には、火災が起きたことを建物関係者へ自動的に知らせる自動火災報知設備と、火災が起きたことを消防署等へ人が手動で知らせる公的機関が設置した公設火災報知設備の2種類に分かれます。

1-1.自動火災報知設備とは

自動火災報知設備とは、天井等に設置している感知器で熱や煙・炎を自動的に感知し、受信機に情報を送ります。また非常放送設備などで建物内の人々に火災が起きたことを知らせます。避難を促したり初期の消火活動を行うことにより被害を最小限に抑えるための設備です。

自動火災報知設備の種類には大きく分けてビル等の建物で設置されている自動火災報知設備システム住宅用火災警報器の2種類があります。

自動火災報知設備システム感知器と発信機、受信機、非常放送設備などで構成し動作するシステムであるのに対し、住宅用火災警報器は基本的には感知器単独で音やブザー音を発し人々に知らせます。

住宅用火災警報器は主に一般住宅に設置され、火災の時、煙や熱を感知して音声やブザー音で知らせる警報器です。基本的な動作原理はビル等に設置する感知器と同じです。
自宅で就寝している時に出火した場合には避難が難しく死者も多く出たため2006年6月1日に改正消防法が施行され、新築住宅の居室や階段上などに住宅用火災警報器の設置が義務付けられることとなりました。どの建物・住宅でも安心・安全に過ごすことができる法整備や環境作りが整備されてきました。

1-2.公設火災報知設備とは

公設火災報知設備とは町中に発信機を設置して、火災が発生した時に発信機の押しボタンを押す事により消防機関へ知らせる装置です。ゼンマイ仕掛けになっており受信機を備え付けている消防署等ではその発信場所のみを把握することができました。

専用の通信回線が必要である事や、消防機関では作動した事実とその場所しか把握できないため徐々に必要性が少なくなり1974年に廃止されましたが現在では法規上でのみ存在します。

ここではビルなどで一般的に普及している自動火災報知設備システムについて説明していきます。

       
 出典:一般社団法人日本火災報知機工業会
        

自動火災報知設備の設置が義務づけられている防火対象物の詳細は防火対象物一覧表で確認して下さい。


2.自動火災報知設備システム

自動火災報知設備システムとは感知器により熱や煙を自動的に感知し、受信機を経由して音響設備で音を鳴らせ建物内の人々に知らせることにより、避難や初期消火活動を促す設備です。自動火災報知設備システムは感知器や受信機・発信機で構成されており一定規模以上の大きさの建物などの防火対象物では設置を義務づけられています。一般的に「自火報(じかほう)」と呼ばれています。

出典:ウイキペデイア

2-1.感知器とは

感知器とは火災によって生じた熱や煙・炎を利用して自動的に火災の発生を感知し、火災信号を発信するものをいいます。感知器には熱感知器、煙感知器、炎感知器の3種類があります。火災が発生すると、熱⇒煙⇒炎の順に発生します。何を感知するかによって感知器の種類や設置場所が変わります。

火災初期には まず「煙」が発生し、時間の経過により可燃物に引火して「熱」が発生し最後に大きな「炎」となります。煙が発生した段階で感知すれば、引火する前に消火できる可能性があるので、煙感知器が初期消火には大変役立ちます。熱感知器は、煙から火に移行した後の熱を察知するものであり、熱感知器が動作する頃にはすでに出火している可能性が高くなります。

ではそれぞれの感知器を詳しく説明していきます。

2-1-1.熱感知器

熱感知器とは火災による温度の上昇を感知するものです。また煙感知器や炎感知器よりも安価です。熱を感知するという性能のため熱感知器が作動した時にはすでに出火状態となっていると想定され火災察知の速さからすれば、煙感知器に及びません。

熱感知器には「屋内仕様」と「屋外仕様」があり、軒下・厨房、湿気が多い場所に熱感知器を設置する場合は、屋外仕様の防水型熱感知器を設置します。また特殊な環境で使用することが多いため防水・防湿度・高温形など多くの種類が作られています。ミストサウナ室や岩盤浴室など、高温かつ高い湿度の部屋へ設置します

熱感知器では特種・1種・2種、煙感知器では1種・2種・3種というように、感度によって使い分けられています。また感度の良さで、特種>1種>2種>3種に分かれています。

設置の方法としては、感度が良い感知器が作動して初めに非常ベルを鳴らせ、次に感度が鈍い感知器が作動し防火戸や防火シャッターを動作させるようなシステムです。このように感知器の使い分けをしているのは建物内にいる人避難誘導を円滑に行うためです。

また熱感知器には差動式と定温式の2種類あり火災の熱を検知して受信機に信号を送ります。

定温式スポット型感知器

定温式とは一定の温度以上になると熱を感知し発報するようになっています。湯気や煙には一切反応せず熱が70度以上に到達すると感知するようになっています。火災の感知が差動式よりも遅いため、湿度の高い場所での設置が一般的です。

この定温式スポット型感知器は表面が銀色の集熱板(アルミ製)が剥き出しになっているのが特徴です。

      出典:LAMP1.com

差動式スポット型感知器

差動式は感知器の周囲の温度が急激に上昇するにしたがって、内部の空気が膨張して感知するものです。ただ、感知する温度は一定ではなく、火炎でなく緩やかな温度上昇のときは、リーク孔と呼ばれる穴から空気を逃がして感知しないような仕組みになっています。白い円盤状で全体が丸みを帯びているような形状になっているのが特徴です。居間や各居室・事務所など温度の変化がない場所に差動式スポット型感知器が設置されます。

      出典:電池屋

2-1-2.煙感知器

煙感知器とは火災の初期に発生する煙を感知するものです。火災の早期感知に非常に有効ですが構造の複雑さから、熱感知器よりも価格が高くなっています

煙感知器は検出部に結露すると使い物にならないため屋外では使用禁止です。煙感知器は初期消火が可能なため一般的に普及しています。特に消防法上の無窓階判定を受けた特定用途建築物では、煙感知器を設置する義務があります。例えばカラオケ店の全客室には煙感知器を取付ける義務があります。

無窓階とは
無窓階とは、建物の地上階のうち、避難や消火活動に使用することができる開口部が一定の以上の面積がない場合のことを言う。つまり、災害発生時に避難口が確保されているか、または消防隊員による消火活動のための進入口が確保されているかの基準をいいます。よって無窓階と判定された場合は、避難や進入に支障が出るため、それを補うための消防設備を設置する必要があります。例えば煙感知器や屋内消火栓、自動火災報知機などがそれに当たります。

特定用途建築物とは
特定用途建築物は集客施設(床面積500㎡から1000㎡未満)、葬祭場(床面積1000㎡未満)、集合住宅(ワンルーム住戸数20戸以上)のことをいう

煙感知機には光電式スポット型、光電式分離型とイオン化式の3種類あります。

光電式スポット型感知器

光電式スポット型感知器は光の乱反射を利用して煙を感知する方式です。煙感知器の種類の中では一般的に普及しているものです。また網で覆われた隙間が設けられているのが特徴です。その隙間から煙を感知して動作する仕組みになっています。ちょっとした埃や小さな虫が入ってしまっても働く場合があります。

感知器内部には常時LEDが発光しています。煙を利用して、LEDの光を屈折させてLED受光部に入ると火災と判断する仕組みになっています。一か所に熱源があるような厨房などの設置するのが効果的です。

      出典:電池屋

光電式分離型感知器

光電式分離型感知器は光を発する送光部、光を受ける受光部が向かい合って設置されます。送光部から発射された光線を常に受光部で受けています。この送光部と受光部の間に煙が入ると光線が遮光されるので、この光線の減り具合を受光部で検知し煙を感知します。この仕組から減光式とも呼ばれ、最大100mまで離して設置することができます。

      出典:(有)ランプサービス

イオン化式スポット型感知器

イオン化式スポット型感知器は放射線の電離作用を利用して煙による電離電流の変化を感知する方式です。他の方式よりも高感度のため費用対効果に優れている面などから海外では煙感知器の主流です。アメリシウム241という放射性物質が入っているため日本では、不要になった場合の廃棄に注意が必要となります。

2-1-3.炎感知器

炎感知器とは火災のときに発生する炎の中には、目に見える可視光線のほかに、紫外線や赤外線を含んでおり炎から放射される赤外線や紫外線の変化が一定量以上になった時に火災を感知します。

紫外線スポット型感知器は即応性に優れますが家具等が障害になり炎が感知できない場合は検出できません。感知器の消費電量が他の方式よりも多いため電池では長期間使用できません
 

炎感知器は劇場や映画館のような煙や炎が天井面にたどり着けず拡散してしまうような天井が高い、あるいは大空間のスペースで設置されます。

炎感知器には紫外線スポット型感知器と、赤外線スポット型感知器の2種類があります。

      出典:ニッタン

2-2.発信機とは

発信機とは人が火災を発見した場合、ボタンを押すことにより手動で受信機に信号を送る装置です。発信機にはP型(1級、2級)、T型(屋内型、屋外型)、M型(屋内型、屋外型)の3種類あります。

      出典:ニッタン

2-2-1.P型発信機

P型発信機は手動により発信するもので発信と同時に通話できないものです。P型発信機の押しボタンには、現在では強く押すことでロック機構を押し外す(カバーが割れずそのままボタンを押す事が出来る)タイプが主流となっている。こちらは復旧レバーを操作するだけで容易に復旧が可能である。 P型発信機には受信機の担当者と相互に電話連絡できるよう通話用電話ジャックがあり、また、受信されたことを表示するランプを備えている1級発信機情報の信号が一方通行なので、押しボタンを押しても、受信機が受信したかどうか、ボタンを押した人にはわからない2級発信機があります。

2-2-2.T型発信機

T型発信機は発信機に取り付けられた送受話器を外すことにより受信機に自動的に異常を発信し、同時に通話することができるものです。設置の形態に応じ屋内型と屋外型があります。

2-2-3.M型発信機

M型発信機は前面に設けられた押しボタンを押すことにより自動的に受信機に異常を発信し消防機関に火災の発生を知らせるものです。設置の形態に応じ屋内型と屋外型があります。ただし現在は設置・使用されていません

2-3.受信機とは

受信機は建物内の防災センターや管理室などに設置されることが多い設備です。
 感知器や発信機から火災の異常信号を受信します。火災が発生したことと火災の場所を知らせると同時に、建物内に設置されているベルを鳴らせることにより、人々の避難や初期消火活動を促す装置です。

感知器から火災信号を受信しても一定時間以上受信が継続しないと発報しない蓄積機能がついています。この機能により煙感知器による誤報を軽減できます。現在のシステムでは受信機側に蓄積機能を持つものが主流となっています。受信機にはP型(1級、2級、3級)、R型、、G型、GP型(1級、2級、3級)、GR型、M型の6種類あります。

      出典:ニッタン

2-3-1.P型受信機

P型受信機は火災信号、火災表示信号、設備作動信号を共通信号として受信します。受信したときは、赤色の火災灯と音響装置により火災の発生を知らせると同時に、地区表示装置により警戒区域を自動的に表示し地区音響装置を自動的に鳴らせるものです

2-3-2.R型受信機

R型受信機は火災信号、火災表示信号、火災情報信号を共通信号として受信します。信号が一定値に達したことを受信したときは、赤色の火災灯と音響装置により火災の発生を知らせると同時に、地区表示装置により警戒区域を自動的に表示し地区音響装置を自動的に鳴らせるものです

2-3-3.G型受信機

G型受信機はガス漏れ信号を受信します。受信したときは、黄色のガス漏れ灯及び音響装置によりガス漏れの発生を地区表示装置によりガス漏れの発生した警戒区域をそれぞれ自動的に表示します。

 2-3-4.GP型受信機

GP型受信機はP型受信機の機能とG型受信機の機能を合わせ持つものです

2-3-5.GR型受信機

GR型受信機はR型受信機の機能とG型受信機の機能を合わせ持つものです

 2-3-6.M型受信機

M型受信機はM型発信機から発信した火災信号を受信し火災の発生を消防機関に知らせるものです

2-4.非常放送設備とは

非常放送設備は受信機と連動して、火災発生時には建物の中に設置されたスピーカを利用した音声により災害の発生や状況等を人々に通報・避難誘導を行う設備です。防火対象物や収容人数が、50人以上、または、地階・無窓階で、放送設備の設置が義務付けられています。

不特定多数の人々が、多く出入りする施設で混乱を招くことなく、避難誘導を行うには警報音のみではなく、音声による誘導も必須であり、ベル・サイレンのいずれかと併用されています。

      出典:平山防災設備


3.最後に

火災報知設備には火災が起きた時に、自動的に知らせる自動火災報知設備と人が手動で知らせる公設火災報知設備の2種類に分かれます。
自動火災報知設備システムは感知器、受信機、発信機で構成されています。
感知器は煙感知器、熱感知器、炎感知器の3種類あり用途により使い分けられています。

住宅用火災警報器は2006年の法改正により新築住宅で設置が義務付けられるようになりました。

火災は初期消火、初期避難により被害が最小限に抑えられます。火災報知設備のことを理解して安心・安全に過ごしたいものです。

火災報知器を設置している一定規模以上の建物では消防法に基づく消防設備点検を実施する必要があります。当ブログ「いざという時に備える消防設備点検!内容と費用の簡単ポイント解説」では消防設備点検を分かりやすく解説しています。参考にして下さい。
※消防設備点検を実施しなければならない建物の規模には一定の基準があります

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