「消防設備点検をしなければいけないが、費用はいくらくらいかかるだろう?」
「費用を節約するために、自分で点検できないだろうか?」
ビルのオーナーや管理担当者の中には、そんな疑問を持っている人もいるでしょう。
消防設備点検の費用は、建物の種類や広さ、点検内容などによって決まります。
小さなマンションであれば1~2万円程度、大きな商業施設なら数十万円かかる場合もあり、金額に幅がありますので、点検業者に依頼する前におおよその相場を知っておくといいでしょう。
また、建物の種類や規模によっては、オーナーや管理担当者が自分で点検することも認められています。
消防庁では、そのためのパンフレットも発行しているのです。
そこでこの記事では、消防設備点検の費用について、知っておくべきことを解説します。
◎点検費用はどのように決まるのか
◎消防設備点検の種類
といった基礎知識をまずおさえてもらい、それを踏まえて次のような費用目安をお知らせします。
◎建物別の費用目安
◎点検項目別の費用目安
さらに、「コスト削減のために、自分で点検したい」という人や、「点検費用について、金額以外に知りたいことがある」という人のために、以下のような項目も用意しました。
◎消防設備点検は自分でできるのか
◎よくある質問
最後まで読めば、消防設備点検の費用に関して、知りたいことがわかるでしょう。
この記事で、あなたが適正価格の点検を受けられるよう願っています。
目次
1.消防設備点検の費用体系
消防設備点検は、法律で定められた義務なので、ビルのオーナーや管理担当者は必ず行わなければならないものです。
ですが、気になるのはその費用ですよね。
具体的な費用を知る前に、消防設備点検の費用はどのようにして決まるのか、何が含まれるかなど、費用体系について知っておきましょう。
1-1.点検費用を決める基本的な計算方法
まず、消防設備点検の点検費用はどのように決まるのでしょうか?
基本は以下の計算方法で決まります。
人数✖時間+経費=点検費用 |
ただし、点検業者によっては、以下の項目を基準に算出するところもあります。
◎建物の広さ:広くなればなるほど費用が上がる
◎建物の種類:マンション、病院、商業施設など、建物の用途と種類によって費用を規定する
◎消防設備の内容と数:点検項目と点検箇所が多いほど費用が上がる
さらに、これに加えて個別のケースによっては、以下の追加費用が発生する場合もあるのです。
■土日祝日料金
■夜間作業料金
■全室点検費用
※消防設備点検は全室点検が原則ですが、実際にはマンションなどで点検日に不在だったり、立ち入りを拒否されるケースなどもあります。
それでも全室点検するには、何日かにわけて実施する必要があるため、追加費用を請求する業者があるのです。
さらに、点検業者の種類によっても費用に以下の差が生じる場合があります。
◎消防設備会社の下請けの場合:中間マージンがかかる
◎独立系の場合:中間マージンはないので比較的安くなる傾向
1-2.消防設備点検の種類によっても費用が変わる
実は消防設備点検には、次の2種類があります。
・機器点検:6か月ごと
・総合点検:1年ごと
その際点検するのは、以下の5種の設備です。
1)消火設備:消火器、スプリンクラー、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備、屋外消火栓など ※それぞれの細かい点検内容と点検基準は、総務省消防庁ホームページ「消防用設備等の点検基準、点検要領、点検票」を参照 |
機器点検、総合点検はそれぞれ点検内容が異なります。
それぞれの費用については、基本的に同額に設定している業者が多いようですが、総合点検のほうが高額になるケースもあります。
そこでこの項では、2つの点検についてそれぞれ何をするのかを説明しておきましょう。
1-2-1.機器点検:6か月ごと
機器点検は、6か月ごとに行います。
消防設備が法定基準に適合しているかを、「外観点検」と「機能点検」で確認します。
・外観点検:消防設備は適切に配置されているか、損傷はないか、などを外観で判断
・機能点検:消防設備を簡単に操作して、動作を確認
1-2-2.総合点検:1年ごと
総合点検は、1年ごとに行います。
消防設備が法定基準に適合しているかを、実際に作動させて総合的に確認します。
ちなみに機器点検と総合点検、そしてその結果を3年ごとに消防機関に報告することは、法律で定められた「法定点検」ですので、実施しなければ罰則があります。
「30万円以下の罰金または拘留」に処せられる恐れがありますので、必ず点検してください。
さらに詳しい点検内容については、「消防設備点検の報告は義務!年に2回の点検はプロに任せて安全確保」と「マンションの消防設備点検とは?共用部分と個室内の点検内容を表で解説」に記載がありますので、そちらも参照してください。
2.建物別・消防設備点検の費用目安
ではいよいよ、消防設備点検の費用についてみていきましょう。
消防設備点検の費用は、前述したように点検業者によって算出方法が異なります。そこで、一般的な算出方法である「建物の種類と広さによるの費用目安」を紹介しましょう。
以下の表は、複数社の料金表をもとにまとめたものですので、参考にしてください。
【建物別・消防設備点検の費用目安】
マンション |
非商業施設 |
商業施設 |
倉庫・作業所 |
||
面 積 別 の 場 合 |
~1,000㎡ |
30,000円~40,000円程度 |
30,000円~40,000円程度 |
35,000円~50,000円程度 |
30,000円~40,000円程度 |
~2,000㎡ |
40,000円~50,000円程度 |
40,000円~50,000円程度 |
60,000円~80,000円程度 |
40,000円~50,000円程度 |
|
~3,000㎡ |
60,000円~70,000円程度 |
60,000円~80,000円程度 |
80,000円~120,000円程度 |
60,000円~80,000円程度 |
|
~5,000㎡ |
80,000円~180,000円程度 |
80,000円~180,000円程度 |
100,000円~200,000円程度 |
90,000円~200,000円程度 |
|
~10,000㎡ |
200,000円~300,000円程度 |
250,000円~350,000円程度 |
300,000円~500,000円程度 |
250,000円~350,000円程度 |
|
~25,000㎡ |
300,000円~ |
350,000円~ |
400,000円~ |
350,000円~ |
ちなみに、株式会社東和総合サービスでは、床面積を基準に費用を算出しています。
以下が料金表ですが、面積が広くなると上記の費用目安よりも安くなる可能性がありますので、ぜひお見積もりをご依頼ください。
○上記価格以外に追加費用が発生する項目
*価格表は消火器・避難器具の点検が含まれており 左記以外の設備の点検がある場合。
*点検の予備日を設ける場合
*東京都23区、大阪市内以外のエリアの場合
*消防署へ報告書の提出代行を行う場合
*「点検のお知らせ」等の張り紙、投函等を行う場合
3.消防設備点検の費用を抑える方法
消防設備点検のだいたいの費用目安がわかりました。
ですが「もう少し費用を抑えられないだろうか?」と感じた方もいるでしょう。そんな方のために、点検費用を抑える方法をいくつか挙げます。
3-1.中間マージンを取らない「独立系」業者を選ぶ
「1-1. 点検費用を決める基本的な計算方法」で触れたように、消防設備点検の費用は点検業者の種類によっても以下のように異なります。
◎消防設備会社の下請けの場合:中間マージンがかかる
◎独立系の場合:中間マージンはないので比較的安くなる傾向
つまり、点検費用を抑えたいなら独立系の業者を選ぶといいでしょう。
たとえば地元の中小業者で、消防設備会社やビルメンテンス会社、警備会社などの系列ではないところです。
業歴が長くて点検実績も多い業者であれば、さらに安心でしょう。
3-2.他の定期点検や検査と同時に依頼して割引してもらう
ビルに関して法で定められた点検・検査は消防設備点検だけではありません。
たとえば以下のようなものもあります。
■建築基準法で定められた「定期報告(12条点検)」
■建築物における衛生的環境の確保に関する法律(ビル管法)による定期点検
■消防法第8条の2の2による「防火対象物定期点検報告」
■電気事業法による電気設備の定期点検 など
点検業者の多くは、複数の点検・検査を請け負うことができます。
そこで、同じ業者に複数の点検・検査を依頼することで、セット価格などの割引をしてもらえるかもしれません。
見積もりをとる際に、「この点検とこの検査もまとめてお願いするといくらになりますか」と相談してみるといいでしょう。
3-3.交通費や出張費のかからない業者を選ぶ
消防設備点検を行うには、「消防設備士」または「消防設備点検資格者」という資格が必要です。
そのため、点検業者によっては、有資格者の出張費や交通費などを請求するものもあります。
見積もりと実際の点検で複数回にわたって有資格者に来てもらうと、その費用もばかになりません。
ですから、見積もり前にこれらの費用がかかるかを確認して、なるべくかからない業者を選ぶというのも、コスト削減の方法です。
4.費用が安いだけではダメ?点検業者選びのポイント
では、業者を選ぶ際には費用の安さだけで選んでも大丈夫でしょうか?
あまりに安い業者は、何か問題があるのでしょうか?
これについては、やはり安さだけに飛びつかず、きちんと点検してくれるかどうかを見極めてください。
手抜き点検をされて、消防設備の不具合を見落とされたりすれば、大事故につながりかねません。
業者選びの際は、以下のポイントをチェックするといいでしょう。
4-1.見積もりが明確か
点検を依頼する際には、必ず見積もりをとりましょう。
見積もりの内訳がはっきりしていて、質問すれば明確に説明してくれる業者であれば信頼できます。
逆に、あいまいな見積もりを出してきたり、費用の内訳を説明できない業者は、あとから料金を上乗せしてきたりする恐れがあるのでおすすめできません。
4-2.法改正などに随時対応しているか
消防法はたびたび改正され、点検内容が変わることもあります。
たとえば2019年4月には、消防庁から「消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式の一部を改正する件」、および「消防法施行規則第三十一条の六第一項及び第三項の規定に基づく消防用設備等又は特殊消防用設備等の種類及び点検内容に応じて行う点検の期間、点検の方法並びに点検の結果についての報告書の様式の一部を改正する件」が交付されました。
これにより、点検結果の報告書に記載する内容などが変わっています。
点検業者もそういった法律の細かい変化に対応して、常に正しい点検・報告を行っているところを選びましょう。
4-3.書類作成や報告、修繕なども請け負ってくれるか
消防設備点検を実施したら、その結果を3年に1回消防機関に報告しなければなりません。
そのための書類作成や実際の報告を自分でしなければならないとなると、手間がかかりますよね。
点検だけでなく、報告まで一連で請け負ってくれる業者であれば安心です。
また、点検の結果、不具合が見つかった場合に、修理業者を探して依頼するのも面倒ですから、点検後の修繕や工事まで任せられる業者であればベストでしょう。
5.消防設備点検は自分でできるのか?
消防設備点検の費用は、業者の選び方などで節約することもできますが、「いっそ業者に依頼せずに、自分で点検すればもっとコストを抑えられると思うので、できるなら自分でやってみたい」と考える方もいるのではないでしょうか?
そこでこの章では、消防設備点検をビルオーナーや管理担当者自信が行うことはできるのか、について考えていきましょう。
5-1.自分で点検するには基本的には資格が必要
結論からいえば、消防設備点検を自分で行うことは可能ではあります。
ただし、消防設備点検は法定点検なので、点検者には基本的には以下の資格が求められます。
◎消防設備士
◎消防設備点検資格者
ただし、これには例外があって「延べ面積1000㎡未満のマンション」の場合は、資格のないオーナーや管理担当者が点検しても良いことになっています。
ですから消防設備点検を自分でできるのは、次の2つのケースということになります。
・点検する建物が、延べ面積1,000㎡未満のマンションである場合
・それ以外の建物なら、消防設備しか消防設備点検資格者の資格をとった場合
消防庁では、自分で点検報告をしたい人向けにパンフレットを発行していますので、もし実際に自分で点検する際には、これをよく読んで行ってください。
出典:消防庁「消防用設備等点検報告を自ら行っていただくために」
5-2.消防設備点検は専門業者に依頼するほうが安心
では、消防設備点検は誰でも簡単にできるものでしょうか?
残念ながら、簡単ではありません。法律で定められた点検項目は細かく多岐にわたっています。
たとえばマンションの共用部分だけでも、以下のような点検が必要なのです。
【マンション共有部分の消防設備点検の主な項目と点検内容】
消防設備 |
点検内容 |
|
消 火 設 備 |
消火器具 |
設置場所は通行や避難に支障ないか 損傷や変形、腐食がないか 消火薬剤が変色、腐敗、固化していないか など |
屋内消火栓設備 |
変形、損傷、漏水、著しい腐食などがないか 加圧送水装置が確実に作動するか 放水量が規定通りか など |
|
スプリンクラー設備 |
変形、損傷、漏水、著しい腐食などがないか 規定の水量が確保されているか 放水圧力が規定通りか など |
|
水噴霧消火設備 |
変形、損傷、漏水、著しい腐食などがないか 水噴霧ヘッドの周囲に散水分布を妨げるものはないか 放水圧力や放水量は規定の範囲内か など |
|
泡消火設備 |
変形、損傷、著しい腐食などがないか 消火薬剤に変色や腐敗がなく規定量以上貯蔵されているか 一斉開放弁が確実に作動すること など |
|
不活性ガス消火設備 |
貯蔵容器、取付枠、各種計器などに変形、損傷、著しい腐食、錆、塗装のはく離などがないか 警報装置や遅延装置が確実に作動するか など |
|
ハロゲン化物消火設備 |
貯蔵容器、取付枠、各種計器などに変形、損傷、著しい腐食、錆、塗装のはく離などがないか 警報装置や遅延装置が確実に作動するか など |
|
粉末消火設備 |
貯蔵容器、取付枠、各種計器などに変形、損傷、著しい腐食、錆、塗装のはく離などがないか 警報装置や遅延装置が確実に作動するか など |
|
屋外消火栓設備 |
変形、損傷、漏水、著しい腐食などがないか 加圧送水装置が正常に作動するか 放水量、放水圧力が規定の範囲内か など |
|
動力消防ポンプ設備 |
周囲に使用上及び動力消防ポンプの接近の障害となるものがないか 断続運転状態や異常音が発生しないか 放水量が、規定圧力において規定量以上であるか など |
|
警 報 設 備 |
自動火災報知設備 |
常用電源を停電状態にしたとき、自動的に予備電源または非常電源に切り替わり、常用電源が復旧したとき自動的に常用電源に切り替わるか 受信機や中継機に検定合格証が貼付されているか 感知器は確実に作動するか など |
ガス漏れ火災警報設備 |
常用電源を停電状態にしたとき、自動的に予備電源または非常電源に切り替わり、常用電源が復旧したとき自動的に常用電源に切り替わるか 受信機や中継機に検定合格証が貼付されているか 中継器、ガス漏れ表示灯および検知区域警報装置が正常に作動するか など |
|
漏電火災警報器 |
周囲に可燃性蒸気、可燃性粉じん等が滞留するおそれのない安全な場所に設けられているか 音響装置の周囲に音響効果を妨げるものがなく、常時人がいる場所に設けられているか 漏電火災警報器の作動と連動して電流の遮断を行う装置は確実に遮断するか など |
|
消防機関へ通報する火災報知設備 |
通話中の電話回線が強制的に発信可能な状態になるか 蓄積音声情報の内容が適切であるか 発信機からの信号が消防機関に正常に送信されるか など |
|
非常警報器具及び設備 |
音圧及び音色が他の機械等の音と区別して明瞭に聞き取れるか 放送設備が確実に起動し、感知器発報放送を行った後、自動的に火災放送が行われるか 火災表示及び音響装置並びにスピーカーの鳴動が正常に行われるか など |
|
避 難 設 備 |
避難器具 |
格納場所の付近に物品などが置かれて当該機器の所在がわかりにくくなっていないか 器具に応じた操作面積が確保されているか 各部に変形、損傷、錆、著しい腐食などがないか など |
誘導灯及び誘導標識 |
所定の位置に設置されているか 誘導灯の周囲に間仕切り、衝立、ロッカー等があって、視認障害となっていないか 不点灯、ちらつきなどがないか など |
|
消 防 用 水 |
消防用水 |
貯水槽に変形、損傷、漏水、著しい腐食等がないか 水量は規定以上確保されているか 周囲に使用上及び消防自動車の接近の障害となるものがなく、消防ポンプ自動車が2m以内に容易に接近できるように設けてあるか など |
消 火 活 動 上 必 要 な 設 備 |
排煙設備 |
周囲に煙の流動などに障害となるような棚、物品などが置かれたり、造られてたりしていないか 排煙口、給気口などの開放と連動して、排煙機および給気機が確実に起動するか 運転中に不規則、不連続な雑音または異常な振動、発熱がないか など |
連結散水設備 |
送水口の周囲に使用上及び消防ポンプ自動車の接近に支障となるものがなく、送水活動に障害となるものがないか 一斉開放弁の開閉機能が正常であるか 散水ヘッドに散水分布の障害となる塗装、異物の付着などがなく、かつ周囲に散水分布の障害となるものがないか など |
|
連結送水管 (共同住宅用連結送水管) |
送水口の周囲に使用上及び消防ポンプ自動車の接近に支障となるものがなく、送水活動に障害となるものがないか ホースおよびノズルは必要本数が所定の位置に正常に収納されているか 加圧送水装置が確実に作動するか など |
|
非常コンセント設備 (共同住宅用非常コンセント設備) |
保護箱の表面に「非常コンセント」である旨の表示が適正になされているか 非常コンセントのさし込接続器は規格に適合するもので、変形、損傷、著しい腐食、異物のつまりなどがないか 電圧は規定の範囲内であるか など |
|
無線通信補助設備 |
保護箱内の見やすい位置に最大許容入力、使用できる周波数帯及び注意事項の表示があるか 無線機接続端子のコネクターが確実、かつ、容易に着脱できるか 増幅器の設置場所は防災センター、中央管理室、常時人がいる室等で、壁、床及び天井が不燃材料で造られており、開口部に建築基準法第2条第9号に規定する防火設備を設けた室に設けられているか など |
|
非常電源 (自家発電設備) |
発電機室(不燃専用室)内又はキュービクル内に、水の浸透、水たまり、冷却水配管等からの漏水等がないか 運転中に漏油、異臭、不規則音、異常な振動、発熱等がなく、運転が正常であるか 常用運転から非常用運転への切り替え時間が40秒以内であるか など |
これに加えて、各居室の中も点検しなければなりません。しかも、半年ごと、1年ごとにです。
それを踏まえると、実際には自分で点検を行っている人は少ないでしょう。
東京消防庁なども、有資格者による点検を推奨しています。消防設備点検は、ビルを利用する多数の人たちの安全と命にかかわる重要なものです。
やはり信頼できる点検業者を見つけて、プロの目と経験で厳しく点検してもらうほうが安心でしょう。
6.消防設備点検の費用に関するよくある質問
ここまで消防設備点検の費用についていろいろな面から解説していましたが、まだ説明しきれていない「よくある質問」がいくつか残っています。
最後にそれらにお答えします。
6-1.消防設備点検の費用はどの勘定科目に仕訳すればいいのか?
消防設備点検を受けた際に、その費用は経理上どの勘定科目に仕訳すればいいのでしょうか?
これについては、
◎保守料
◎管理費
◎修繕費
などで処理している会社が多いようです。
消防設備点検は毎年継続して行うものですので、自分の会社では今までどうしていたか、前年の帳簿を確認してそれに従うといいでしょう。
6-2.消防設備点検の立ち入り検査の人が突然来たが、どう対応すればいいか?
オフィスビルやテナントビルなどに、突然作業服姿の人が訪れて、「消防設備点検に来ました、消防法で立ち入り検査しなければいけないので、立ち入りのサインをお願いします」というケースがあります。
数分ほど何か検査をしたあとで、「点検費用〇万円」や「消火器の交換費用〇万円」を請求されるのですが、これは悪質な詐欺の可能性があるので要注意です。
実は毎年何件かこのような事案があり、消防庁が「消防関係製品の悪質な訪問販売・詐欺等について」という報告を発表しています。
実際に点検が入る際には、事前にビルの利用者にはお知らせがありますし、その場でビルの利用者に費用を請求されることはありません。
ですから、このような訪問者があった場合には、サインや支払いには応じないでください。
まず、本当に点検業者が入る予定があるか、ビルの管理者に確認をしましょう。もし不審な業者であれば、最寄りの消防署に連絡して相談してください。
まとめ
いかがでしたか?
消防設備点検の費用について、よくわかったかと思います。
では改めて、記事の要点をまとめてみましょう。
◎消防設備点検の基本的な費用は「人数✖時間+経費=点検費用」
◎点検業者によって、
・建物の広さ:広くなればなるほど費用が上がる
・建物の種類:マンション、病院、商業施設など、建物の用途と種類によって費用を規定する
・消防設備の内容と数:点検項目と点検箇所が多いほど費用が上がる
を基準に算出するところもある
◎消防設備点検は、「延べ面積1,000㎡未満のマンション」であれば自分でできる
それ以外は、以下の資格が必要
・消防設備士
・消防設備点検資格者
以上を踏まえて、あなたが納得のいく適正価格で消防設備点検を受けられるよう願っています。
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