防火ダンパーの定期点検は義務!点検項目一覧と関連法令、費用を解説

設備

「ビルやマンションの防火ダンパーは点検しなければいけないの?」

「防火ダンパーの定期点検って、誰がどんな点検をすればいい?」

ビルのオーナーさんや管理担当者の方の中には、そんな疑問を持っている人もいるのではないでしょうか。

防火ダンパーとは、建物の排気用・換気用ダクトの中に設置する防火設備です。火事になると自動的にダクトをふさいで、火や煙が建物内に広がるのを防ぐ機能を持っています。

この設備に不具合があると、火災の延焼スピードが速まり被害が大きくなってしまうので、定期的な点検が必要なのです。

この防火ダンパーの点検は、建築基準法第12条をはじめとする法律によって定められた義務でもあります。

主な点検内容は、

  • 防火ダンパーが正しく設置されているか、目視で確認
  • 防火ダンパーが正しく作動するか、作動させて確認
  • 使用されていない温度ヒューズが設置されているか、目視で確認

などで、ビルのオーナーさんや管理担当者の責任のもと、点検資格を持った専門家が行わなければなりません。

そこでこの記事では、ビルのオーナーさんや管理担当者が防火ダンパーの点検について知っておくべきことを網羅しました。

  • 防火ダンパーとは何か
  • 防火ダンパーの役割と必要性
  • 防火ダンパーの不具合が引き起こす危険性
  • 防火ダンパーの点検に関連する法律
  • 建築基準法第12条「定期報告制度」による防火ダンパーの点検
  • その他法律をもとに関連団体などが推奨する点検
  • 防火ダンパーの点検を行えるのはどんな資格を持った人か
  • 点検を専門業者に依頼する際の費用の目安

などについて、わかりやすく解説しています。記事を最後まで読めば、防火ダンパーの点検を正しく行うことができるはずです。

これを参考にして、ぜひあなたのビルやマンションの安全を保ってください!


1. 防火ダンパーの役割と必要性

避難

「防火ダンパーの点検」について説明する前に、まずは「防火ダンパー」とはどんなものか、何のために必要なものなのかを知っておく必要があるでしょう。まずこの章では、防火ダンパーについての説明、その役割や必要性について解説していきましょう。

1-1. 防火ダンパーとは何か?

「防火ダンパー」とは、建物の空調設備の排気ダクトや換気用ダクトの中に設置される防火設備です。

建物には、もし火災になった場合にどこまでも燃え広がるのを防ぐため、内部を「防火区画」という区画に分け、その境界に耐火性能を持たせるという決まりがあります。(建築基準法第36条)

その防火区画の境界をダクトが貫通している場合があるのですが、それだと火災時には煙や火がダクトを通じて隣の防火区画まで広がってしまいます。そうなると、境界に耐火処理をした意味がないですよね。

そこで、防火区画を貫通するダクトの中に「防火ダンパー」を設置して、火事が隣の区画に広がるのを防ぐ必要があるのです。

防火ダンパーは、丸型や四角型の枠の中にルーバー(羽板)がある形状をしています。

通常時はこのルーバーが開いていてダクト内に空気が通るようになっていますが、火災の際にはそれを感知して自動的にルーバーが閉じ、煙や火が隣の区画に広がるのを防ぐ、という仕組みです。どうやってルーバーが閉じるようになっているか、その仕組みによって防火ダンパーにはいくつかの種類があります。

代表的なのは「温度ヒューズ」という装置がついている「温度ヒューズ式防火ダンパー」で、火災時にダクト内の温度が上昇すると、それを感知した温度ヒューズが溶けてルーバーのストッパーが外れ、自動的にルーバーが閉じる仕組みになっています。

他には煙を感知してルーバーが閉じる「煙感知器連動型防火ダンパー」などもあります。

1-2. 防火ダンパーの役割

防火ダンパーの役割は、空調用ダクトや換気ダクトを通じて火災が広がるのを防ぐことです。ダクトは建物内の空気を適温で清浄に保つために必要なものです。

が一方で、火災時には狭い管の中で火や煙が勢いを増して伝わり、燃え広がるスピードが速くなってしまうというリスクもあるのです。それを防ぐために、ダクト内に防火ダンパーを設置します。

いざ火災が起きると防火ダンパーに取り付けられた温度ヒューズなどが熱を感知し、自動的にダンパーの羽板が閉じて火や煙をそこで塞き止めてくれるわけです。防火ダンパーは、設置や点検が法律で義務付けられているので、ビルの管理者やオーナーはかならず設置・点検が行われるよう管理しなければなりません。(建設省告示第2565号、建築基準法第12条など)

その法律に関しては、「2. 法律で定められた防火ダンパーの保守・点検とは」でくわしく説明していますので、そちらも参照してください。

1-3. 重要なパーツ「温度ヒューズ」とは

防火ダンパーには「温度ヒューズ式」のものが多くありますが、この「温度ヒューズ」は非常に重要なものです。これが正しく温度を感知して溶けなければ、ダンパーのルーバーが閉じずに火災が広がってしまう恐れがあるからです。

そのため温度ヒューズには以下のような規定や指針があります。

◎建設省告示第2563号による温度ヒューズ試験に合格したものであること
→「90℃の風を風速1m/秒で受けると1分以内に作動する」「50℃の風では5分間以上作動しない」という試験で、これに合格したものを「公称72℃温度ヒューズ」と呼びます。

◎温度ヒューズが作動する温度は、排煙ダクトに取付ける場合は280℃、厨房などの火を使う場所で排気温度が72℃を超える場合は120℃とすること

このヒューズは環境によって劣化したり不具合が生じる可能性があるため、定期的に点検、交換する必要があります。

■6か月に1回程度の目視点検が推奨されています。
→劣化や腐食などが見つかったら交換しましょう。

■通常で6~7年ごとに交換が必要ですが、車通りの多い市街地や湿度が高い場所、工業地帯など空気がよくない場所なら1~2年ごとに交換してください。

温度ヒューズが正常に作動しないと、火事の際に火や煙がダクトを伝って急速に燃え広がり、被害が拡大してしまいます。ビルの管理者やオーナーは、まめに点検・交換が行われるように配慮してください。

1-4. 防火ダンパーの不具合が引き起こす危険性

防火ダンパーが設置されるのは空調ダクトや換気ダクトの中ですが、このダクトには場所によって汚れた空気や湿気、塵埃などが流れ込んできます。そのため防火ダンパーが劣化したり腐食したり、汚れによってルーバーが固着したりして、正常に作動しなくなってしまう恐れがあります。

防火ダンパーの不具合としては、

  • 周囲にダンパーの動作を妨げるものがある
  • 錆が出てスムーズに動かない、または部品などが剥離している
  • 経年劣化などで変形している
  • ルーバーに汚れが付着して固まり、動きを妨げている
  • 温度ヒューズが劣化していて温度を感知しない

などが考えられます。

そうなると、さまざまなトラブルや事故につながる危険性があるのです。もっとも危険なのは、ルーバーが汚れで固着するなどして火災が起きてもルーバーが閉じず、ダクト内を火や煙が伝って建物内に急速に延焼してしまうことです。

さらに、危険は火災の時だけに限りません。たとえば防火ダンパーが閉じっ放しになっていると、ガス機器などを使用した際に発生した一酸化炭素が外に排出されず、室内にいる人が一酸化炭素中毒になる恐れもあります。

実際に2002年には、マンションの排気ダクト内の防火ダンパーが閉じていたため、給湯器が不完全燃焼を起こして一酸化炭素が発生、それが浴室に流れ込んで中毒死した事故も発生しています。そんな危険を回避するために、防火ダンパーの点検を定期的に行う必要があるのです。

この点検については、次章「2. 法律で定められた防火ダンパーの保守・点検とは」以降で詳しく説明しますので、かならず読んでください。


2. 防火ダンパーの保守・点検に関する法律

点検

ビルの中で火災が延焼するのを防ぐという重要な役割を持つ防火ダンパーには、定期的な保守・点検が法律で定められています。この章ではその決まりについてくわしく説明していきましょう。

2-1. 維持保全の義務<建築基準法第8条>

防火ダンパーは、建築基準法では「特定防火設備」に分類されます。

特定防火設備については建築基準法第8条で、その建築物の所有者、管理者、または占有者(賃借している人など)が、つねに法的に適切な状態であるように維持しなければならない、と定められています。

言い換えればビルのオーナーや管理担当者には、防火ダンパーがつねに正常に作動するようメンテナンスする義務があり、その「維持保全」の一環として、定期的な点検が必要なのです。ちなみに法律の条文も以下に挙げておきます。興味ある人は目を通してみてください。

<建築基準法>

第八条 建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。

2 次の各号のいずれかに該当する建築物の所有者又は管理者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するため、必要に応じ、その建築物の維持保全に関する準則又は計画を作成し、その他適切な措置を講じなければならない。ただし、国、都道府県又は建築主事を置く市町村が所有し、又は管理する建築物については、この限りでない。

一 特殊建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの
二 前号の特殊建築物以外の特殊建築物その他政令で定める建築物で、特定行政庁が指定するもの

2-2. 維持保全計画を定める内容<建設省告示第606号>

前述の維持保全については建設省告示第606号で、どのようにメンテナンスしていくかの計画を定めることも義務化されています。維持保全計画には、以下の項目を定めなければなりません。

1)建築物の利用計画
→建築物やその一部分の用途、将来の増改築の予定など

2)維持保全の実施体制
→維持保全を行うための組織、維持保全業務の委託、建築士その他専門技術者の関与など

3)維持保全の責任範囲
→計画作成者が維持保全について負う責任範囲など

4)占有者に対する指導等
→建築物が破損したときなどにおける通報、使用制限の遵守など

5)点検
→点検箇所、点検時期、点検者、点検に当たっての判断基準、結果の報告など

6)修繕
→修繕計画の作成、修繕工事の実施など

7)図書の作成、保管等
→維持保全計画書、確認通知書、竣工図、設備仕様書などの作成、保管、廃棄など

8)資金計画
→点検、修繕などの資金の確保、保険など

9)計画の変更
→計画の変更の手続など

10)その他
→その他維持保全を行うため必要な事項

これらを定めた上で、それに則って維持保全を行っていきましょう。この告示文は長いので、冒頭だけ以下に紹介しておきます。全文を見たい場合は、昭和 60 年建設省告示第 606 号を確認してください。

<建設省告示第606号>

第一 総則
1 建築基準法(以下「法」という。)第 8 条第 2 項第一号及び第二号に規定する建築物(以下単に「建築物」という。)の維持保全に関する準則(以下「準則」という。)又は建築物の維持保全に関する計画(以下「計画」という。)は、建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するため 、この指針に従って作成するものとする。

2-3. 定期報告制度<建築基準法第12条>

防火ダンパーの点検に関する法律のなかで、もっとも重視してほしいのは建築基準法第12条です。

これは大勢の人が出入りする建物に対して、その所有者や管理者が定期的に決められた点検を実施し、特定行政庁に報告することを義務付けたもので、「定期報告制度」「12条点検」とも呼ばれています。なぜこの法律が重要なのでしょうか?

それは、建築基準法の目的である「国民の生命や健康、財産を守り、公共の福祉に役立つこと」を実現するためのものだからです。ビルはたくさんの人が利用する施設です。

そのオーナーや管理者は、利用者の命や財産を守らなければなりません。

建物や敷地に危険な箇所はないか、エレベーターなどの設備は安全に動いているか、もし火災などが発生した際には防火や消火のシステムがうまく作動し、人々が素早く避難することができるかなど、さまざまな点に留意し、日ごろから建物や設備の点検、メンテナンスをする必要があるのです。

そのため、ビルの設備のひとつである防火ダンパーにも具体的な点検項目、点検方法、安全がどうかの判断基準が定められているわけです。

具体的な点検内容については、次章「3. 防火ダンパーの点検項目と点検方法」に掲載しますので、そちらを参照してください。

この定期報告は非常に重要な制度であるため、ビルのオーナーや管理者はかならず実施しなければなりません。

もし点検を怠ったり、虚偽の報告をしたりすれば罰則があり、100万円以下の罰金を課せられる可能性もありますので、くれぐれも心してください。ではここで簡単に、定期報告制度の概要を説明しておきましょう。

定期報告制度を5W1H風にまとめると、以下のようになります。

◎誰が:特定建築物の所有者が
◎何を:特定建築物の敷地や構造、建築設備を
◎いつ:定期的に
◎誰に:一級建築士、二級建築士、建築物調査員資格者のいずれかの資格を持つ人に
◎どうするのか:状況の調査をさせて、特定行政庁に報告する義務がある

※「特定建築物」とは「不特定多数の人が利用するビルなどの建物」のことです。

くわしくは別記事「特定建築物とは?ビル管法や定期報告での定義と対象建築物一覧を解説」を読んでください。

※「特定行政庁」については別記事「東京都版・防火設備定期検査の進め方とは?【特定行政庁一覧付き】」「1-5. どこに:特定行政庁」に用語の解説などがありますので参照してください。

そして定期報告で点検する必要があるのは、以下のものです。

点検の種別

検査項目数

検査項目

特定建築物

5項目

・敷地および地盤
・建物外部
・屋上および屋根
・建物内部
・避難施設・非常用進入口など

建築設備

4項目

・給排水設備
・換気設備(防火ダンパー含む)
・非常照明設備
・排煙設備

防火設備

4項目

・防火扉
・防火シャッター
・耐火クロススクリーン
・ドレンチャーその他の水幕を形成する防火設備

昇降機

4項目

・エレベーター
・エスカレーター
・小荷物専用昇降機
・遊戯施設等

この中で防火ダンパーは、「建築設備」の「換気設備」に含まれます。

「あれ、防火設備ではないの?」と疑問に思った人はいませんか?

防火ダンパーは建築基準法で「特定防火設備」に分類されているので、本来なら防火設備の定期報告で点検されるべきものです。ただ、防火ダンパーが設置されるのは換気のためのダクトの中です。換気ダクトを点検する際に一緒に点検したほうが合理的だということで、「防火設備」点検ではなく「建築設備」点検に組み込まれたというわけです。

建築設備の定期報告についてもっとくわしく知りたい場合は、別記事「建築設備定期検査|安全な建物を実現するために必要な4つの検査項目」を読んでください。

また、定期報告制度についての詳細は、別記事「建物の安全を点検する「定期報告」制度:その点検内容と報告方法とは」「12条点検とは?詳しい点検項目から業者に依頼する費用まで全解説」に解説されていますので、参考にしてください。

最後に建築基準法第十二条の条文を掲載しておきます。時間があるときにでも目を通しておくことをお勧めします。

<建築基準法>

第十二条 第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国、都道府県及び建築主事を置く市町村が所有し、又は管理する建築物(以下この項及び第三項において「国等の建築物」という。)を除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築物(同号に掲げる建築物その他政令で定める建築物をいう。以下この条において同じ。)で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物を除く。)の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者(次項及び次条第三項において「建築物調査員」という。)にその状況の調査(これらの建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、これらの建築物の建築設備及び防火戸その他の政令で定める防火設備(以下「建築設備等」という。)についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。


3. 防火ダンパーの点検項目と点検方法

点検

実際に防火ダンパーを点検する際には、どんな項目をどんな方法で点検するのでしょうか?その点検には、大きく分けて以下の3種類があります。

◎定期報告制度による点検
◎機能点検
◎総合点検

では順番に説明していきましょう。

3-1. 定期報告

定期報告制度による点検内容は、国土交通省 告示「建築設備(昇降機を除く。)の定期検査報告における検査及び定期点検における点検の項目、事項、方法及び結果の判定基準並びに検査結果表を定める件」に詳細に定められています。

主な点検内容を要約すると、

◎防火ダンパーが正しく設置されているか、目視で確認
◎防火ダンパーが正しく作動するか、作動させて確認
◎使用されていない温度ヒューズが設置されているか、目視で確認

などを行います。すべての点検内容については以下の表にまとめましたので、確認してください。

検査項目

検査事項

検査方法

判定基準

防火ダンパー

など

防火ダンパーの設置の状況

設計図書等により確認するとともに、目視により確認する。

令第百十二条第十六項の規定に適合しないこと。

防火ダンパーの取付けの状況

目視又は触診により確認する。

平成十二年建設省告示第千三百七十六号第一の規定に適合しないこと又は著しい腐食があること。

防火ダンパーの作動の状況

作動の状況を確認する。

ダンパーが円滑に作動しないこと。

防火ダンパーの劣化及び損傷の状況

目視又は触診により確認する。

防火ダンパー本体に破損又は著しい腐食があること。

防火ダンパーの点検口の有無及び大きさ並びに検査口の有無

目視により確認する。

平成十二年建設省告示第千三百七十六号第三の規定に適合しないこと。

防火ダンパーの温度ヒューズ

目視により確認する。

適正な溶解温度の温度ヒューズを使用していないこと。

壁及び床の防火区画貫通部の措置の状況

目視により確認する。

平成十二年建設省告示第千三百七十六号第二の規定に適合しないこと。

連動型防火ダンパーの煙感知器、熱煙複合式感知器及び熱感知器の位置

目視により確認するとともに、必要に応じて鋼製巻尺等により測定する。

煙感知器又は熱煙複合式感知器にあっては昭和四十八年建設省告示第二千五百六十三号第一第二号ニ(2)に適合しないこと。熱感知器にあっては昭和四十八年建設省告示第二千五百六十三号第二第二号ロ(2)の規定に適合しないこと。

連動型防火ダンパーの煙感知器、熱煙複合式感知器及び熱感知器との連動の状況

発煙試験器、加熱試験器等により作動の状況を確認する。ただし、前回の検査以降に同等の方法で実施した検査の記録がある場合にあっては、当該記録により確認することで足りる。

感知器と連動して作動しないこと。

出典:国土交通省告示第二百八十五号「建築設備(昇降機を除く。)の定期検査報告における検査及び定期点検における点検の項目、事項、方法及び結果の判定基準並びに検査結果表を定める件」

3-2. 機能点検・総合点検

定期報告制度による点検は、1年に1回のみです。ビルの設備を本当に安全に保とうとするなら、それでは不十分でしょう。そのためビルの保守点検に関わる団体や企業が、定期報告に加えて行う点検内容を定めて実施しています。

ここではその中から一例として、日本防排煙工業会が推奨する点検内容を紹介しておきましょう。この他にも、さまざまな基準で点検を行っている専門業者がありますので、参考にしてまめに点検してください。

点検種別

点検周期

点検内容

点検項目

機能点検

半年に1回

以上推奨

外観点検

・ ダンパー本体、閉鎖装置に腐食・変形などの異常が無いこと
・ ダンパー本体の取付・固定方法に異常がないこと
・ 温度ヒューズなどの機能の取付、固定ネジ等に異常がないこと
・ 正しい温度ヒューズが使用されていること、閉鎖装置が正常にセットされていること
・ 温度ヒューズなどの感知器に塵埃の付着など機能の障害になるような状態が無いこと
・ 配線の抜け、緩みが無く、端子台での印加電圧が正常であること(該当するもの)
・ 配線用ヒューズや表示ランプなどは正常であること

機能点検

・ 手動によりダンパーの作動、及び復帰が正常に行えること
・ 連動制御器により作動、および復帰が正常に行えること
・ 作動表示、順送り、その他の付属装置への移報の動作が正常であること(該当するもの)

総合点検

1年に1回

以上推奨

連動試験

・ 遠隔操作機の操作により作動・復帰が正常に行えること
・ 外部感知器と組み合わせるものは、感知機との連動が正常に作動すること(該当するもの)
・ 送風機などとの連動を行っている場合は適切に動作すること(該当するもの)

絶縁試験

・ 電源回路、操作機回路の絶縁電圧を測定し、異常の無いこと

出典:日本防排煙工業会「防火ダンパー(温度ヒューズ連動型防火ダンパーと煙感知器連動型防火ダンパー、およびその他の防火ダンパー)の検査方法」


4. 防火ダンパーの点検資格

建設員

防火ダンパーは建築基準法上「特定防火設備」に分類されますが、点検については定期報告制度で「建築設備」に組み込まれています。

そのため、点検を行なって特定行政庁に報告できるのは、建築設備に関する検査資格を持っている専門家は下記に限られます。

◎一級建築士
◎二級建築士
◎建築設備検査員

実際には、建築設備の定期報告を請け負う検査会社などに依頼するケースが多いようです。

請け負ってくれる業者には、以下のようなものがあります。

◎建設会社や工務店
◎設計事務所
◎不動産管理会社
◎設備業者

これらの中から信頼できる業者を探して、定期的に点検してもらいましょう。


5. 防火ダンパーの点検費用

費用

防火ダンパーの点検を専門業者に依頼する場合、費用はいくらくらいかかるでしょうか?各業者では、基本的には防火ダンパー単体での点検ではなく、建築設備の定期点検をまとめて請け負っているようです。

ここでは目安として、東和総合サービスに建築設備定期報告を依頼した場合の費用を掲載しておきます。ひとつの基準として参考にしてみてください。

延べ床面積

特定建築物定期検査

建築設備定期検査

共同住宅

(マンション)

それ以外

共同住宅

(マンション)

それ以外

〜1,000㎡

45,000円

40,000円

30,000円

30,000円

〜2,000㎡

45,000円

50,000円

30,000円

35,000円

〜3,000㎡

52,000円

60,000円

35,000円

40,000円

3,000㎡超

別途見積もり

別途見積もり

別途見積もり

別途見積もり

ちなみに業者によっては、依頼されれば防火ダンパーだけ点検してくれるところもあるようですので、必要があれば問い合わせてみてください。


まとめ

いかがでしたか?防火ダンパーの点検について、何をどうすればいいかがよく理解できたことでしょう。

では最後に、もう一度必要なことをおさらいしておきましょう。

◎防火ダンパーには、建築基準法第12条の「定期報告制度」によって年1回の点検義務がある
◎義務を負うのはビルのオーナーや管理担当者、実際に点検を行うのは一級建築士などの資格を持った者
◎その主な点検内容は、

  • 防火ダンパーが正しく設置されているか、目視で確認
  • 防火ダンパーが正しく作動するか、作動させて確認
  • 使用されていない温度ヒューズが設置されているか、目視で確認 など

以上のことを忘れずに、かならず年に1回以上の点検を行いましょう。そうすれば、あなたのビルとその利用者の安全はきっと守られるはずです。

創業以来60年の実績がある東和総合サービスで「安全と信頼の設備管理」を手に入れませんか?

「管理費が高い」「作業の質が低い」「対応や連絡が遅い」とお悩みではございませんか?昭和34年創業の弊社はビル管理のパイオニアならではの「安全と信頼の設備管理」をお届けすることができます。具体的には下記の検査・点検が可能です。

  • 消防設備点検(防火対象物点検)
  • 建築設備定期検査・特定建築物定期調査・防火設備定期検査
  • 巡回設備点検
  • 常駐設備員
  • 24時間の設備緊急対応
  • その他設備点検全般

設備管理業務は設備トラブルが起きないよう維持管理することが大切で、建物を利用する人々の安全を守る重要な業務です。ビル管理業界の草創期に創業し半世紀の間蓄積したノウハウでお客様のお悩みを解決できるよう全力で取り組んでまいります。

    お問い合わせフォーム

    あらゆるご依頼を喜んでお手伝いさせていただきます。
    お見積もりに関することなら何でもお気軽にお問い合わせください。
    ※担当者より2営業日以内にお返事差し上げます。

    建物の所在地必須

    ご担当者名必須

    会社名
    (法人のみ)

    Eメールアドレス必須

    ご記入欄

    コメント

    設備管理のご相談はこちらから
    03-6261-3358 06-6563-9690 詳しい内容を見てみる
    設備管理のご相談はこちらから