「自分が管理するビルについて、12条点検というのをしなければいけないそうだけれど、どうすればいいのだろう?」
「そもそも12条点検って、どんな点検?」
今この記事を読んでいるあなたは、そんな疑問や悩みを抱いているのではないでしょうか?
12条点検を端的に説明すると、建築基準法第12条で定められている、建物の定期検査・報告制度です。
特定の建物のオーナーや管理者は、
- 建築物
- 建築設備
- 防火設備
- 昇降機
の検査をし、安全性を確保する義務があるのです。
もしこの点検や報告を怠っていると、建物が劣化して危険になったり、火災の時に安全に避難できなかったりという悲劇が起きるかもしれないからです。
そこで、12条点検を正しく実施できるよう、この記事では、
◎12条点検の点検項目
- 「建築物」の定期検査5項目
- 「建築設備」の定期検査4項目
- 「防火設備」の定期検査4項目
- 「昇降機」の定期検査
について、わかりやすく説明していきます。
それ以外にも、
◎12条点検の目的
◎対象となる建物
◎点検の周期
◎点検ができる3つの資格
◎検査費用の相場
◎点検を検査会社に依頼する場合の7つのステップ
◎検査会社選びの3つのポイント
など、12条点検について知っておくべきことをすべて網羅して解説しています
この記事を最後まで読めば、建築基準法第12条にのっとった正しい点検・報告ができるようになるでしょう。
そしてあなたのビルが、誰もが安全に利用できる状態を保てることを願っています。
目次
1. 12条点検とは
そもそも「12条点検」とは、建築基準法第12条に定められた、建物についての検査のことです。
大勢の人が出入りする建物や事業所では、所有者や管理者が定期的に決められた点検をして、報告する義務があるのです。
ではこの場合、何のために、何を、誰が、どんな風に点検する必要があるのでしょうか?
まずはその内容を詳しく説明していきましょう。
1-1. 「12条点検」は建築基準法第12条による建物の定期点検
「12条点検」の内容を5W1H風にわかりやすく言えば、
◎誰が:特定建築物の所有者が
◎何を:特定建築物の敷地や構造、建築設備を
◎いつ:定期的に
◎誰に:一級建築士、二級建築士、建築物調査員資格者のいずれかの資格を持つ人に
◎どうするのか:状況の調査をさせて、特定行政庁に報告する義務がある
となります。
条文を要約すると、以下のように書かれています。
特定建築物の所有者は、建築物の敷地、構造及び建築設備について、
国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者にその状況の調査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
ちなみに実際の条文も、以下にあげておきます。
<建築基準法>
第十二条
第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国、都道府県及び建築主事を置く市町村が所有し、又は管理する建築物(以下この項及び第三項において「国等の建築物」という。)を除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築物(同号に掲げる建築物その他政令で定める建築物をいう。以下この条において同じ。)で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物を除く。)の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者(次項及び次条第三項において「建築物調査員」という。)にその状況の調査(これらの建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、これらの建築物の建築設備及び防火戸その他の政令で定める防火設備(以下「建築設備等」という。)についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
長くてわかりづらいですよね。
ですので、最初に箇条書きした5つの要点で理解してもらえれば大丈夫です。
もうひとつ、
◎どんな点検をするのか
も重要なのですが、これについては非常に多項目にわたりますので、2章で詳しく説明します。
もし、「その内容だけ今すぐ知りたい!」という場合は、「2 12条点検の点検項目」にリンクで飛んでみてください。
また、自分のビルがどの特定行政庁に対して報告義務があるのかは、以下の特定行政庁一覧で確認してください。
1-2. 12条点検の目的
では、12条点検は何のために必要なのでしょうか?
建築基準法自体の目的は、「国民の生命や健康、財産を守り、公共の福祉に役立つこと」です。
12条点検の目的もまた同様で、具体的には大勢の人が出入りする建物に対して、安全を確保するためのものなのです。
建築基準法の第1条には、こう記されています。
<建築基準法>
第一条
この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。
つまりビルのオーナーや管理者は、国が定めた基準に従って建物を安全に保ち、利用する人たちの命や健康を守る義務があるのです。
ちなみに以前はこの法律では、
建物自体や敷地
建物の設備(照明や給排水などの設備)
エレベーター
の3点についての点検が義務づけられていましたが、近年の福山でのホテル火災や長崎のグループホーム火災、福岡の診療所火災などで多数の死者が出たことの反省を踏まえて、2016年からは、
防火設備
の定期点検も追加され、現在では4点の検査が必要になりました。
1-3. 対象となる建物
12条点検は、一般の民家などには適用されません。
その対象は、「特定建築物」です。
では、特定建築物とは何でしょうか?
それは、以下の用途に使われる建物で、その用途に使う部分の床面積の合計が200㎡以上あるものを指します。
用途 | 規模 | |
---|---|---|
1 | 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場など | ・3階以上の階にあるもの ・客席の床面積が200㎡以上のもの ・地階にあるもの ・主階が1階にない劇場、映画館、演芸場 |
2 | 病院、有床診療所、ホテル、旅館、就寝用福祉施設(※別注参照) | ・3階以上の階にあるもの ・2階の床面積が300㎡以上のもの ・地階にあるもの |
3 | 体育館、博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツ練習場(いずれも学校に附属するものを除く) | ・3階以上の階にあるもの ・床面積が2,000㎡以上のもの |
4 | 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店公衆浴場、待合、料理店、飲食店、物品販売業を営む店舗 | ・3階以上の階にあるもの ・2階の床面積が500㎡以上のもの ・床面積が3,000㎡以上のもの ・地階にあるもの |
※「就寝用福祉施設」とは、サービス付き高齢者向け住宅、認知症高齢者グループホーム、障害者グループホーム、助産施設、乳児院、障害児入所施設、助産所、盲導犬訓練施設、救護施設、更生施設、老人短期入所施設、小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護の事業所、老人デイサービスセンター、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、母子保護施設、障害者支援施設、福祉ホーム、障害福祉サービスの事業所を指します。
さらに、特定行政庁ごとでも12条点検にのっとった定期検査・報告が必要な建物の条件を定めているので、上記の表に当てはまらない建物でも検査・報告の義務がある場合があります。
例えば東京都の場合は、
◎学校、学校に付属する体育館で、床面積が2,000㎡以上のもの
◎5階建以上で延べ床面積が2,000㎡以上の事務所やそれに類するもので、3階以上の階にあって床面積が1,000㎡以上のもの
などが追加されます。
詳しくは、該当する建物を管轄する特定行政庁のホームページなどで確認してください。
ちなみに東京都の場合は、以下で確認できます。
東京都都市整備局「定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧」
1-4. 点検の周期
12条点検では、定期的に検査と報告をするように定められています。
では、どれくらいの周期で点検する必要があるのでしょうか?
実は点検周期は、特定行政庁ごとに定められているのです。
国が定めているのは、以下のような大まかな報告時期だけです。
点検の種別 |
報告時期 |
---|---|
建築物 |
おおむね6ヶ月〜3年までの間隔をおいて、特定行政庁が定める時期 |
建築設備 |
おおむね6ヶ月〜1年までの間隔をおいて、特定行政庁が定める時期 |
この報告時期の範囲内で各特定行政庁が細かい報告時期を定めて、それに間に合うように、各建築物の所有者は点検を実施することになります。
例えば東京都の場合、以下のように定められています。
点検の種別 | 報告時期 | |
---|---|---|
建築物 | 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場、ホテル、旅館、百貨店、マーケット、勝馬投票券発売所、場外車券売り場、物品販売業を営む店舗、地下街 | 毎年11月1日〜翌年1月31日(1年ごと) |
それ以外の特定建築物 | 平成31年5月1日〜10月31日(3年ごと) | |
建築設備 | 毎年(前年の報告日の翌日から1年以内)※遊戯施設などは6ヶ月ごと | |
防火設備 | ||
昇降機 |
こちらも各特定行政庁のホームページなどで確認してください。
1-5. 点検ができる3つの資格
12条点検は、建築物に関する専門的な検査ですので、誰でもできるわけではありません。
建築基準法第12条では、以下の3つの資格のいずれかを持った人だけが検査することができると定められています。
◎一級建築士
◎二級建築士
◎建築物調査員資格者証の交付を受けている者
◎昇降機の定期検査の場合は、昇降機等検査員資格者証の交付を受けている者
一般的には、12条点検を請け負ってくれる会社に依頼して、そこに所属している上記3資格のいずれかを持つ人に点検してもらう場合が多いでしょう。
1-6. 検査費用の相場
12条点検を実施するには資格と知識が必要なため、自分で行うことは困難です。
そのため多くのビルオーナーは、点検を請け負ってくれる会社を探して依頼しています。
検査を請け負ってくれる会社としては、
◎建設会社や工務店
◎設計事務所
◎不動産管理会社
◎設備業者
などが一般的ですが、その検査費用はまちまちです。
初めて依頼する場合は、何社か相見積もりをとって検討するといいでしょう。
ここでは例として、東和総合サービスの価格表をおしらせします。
ひとつの基準として参考にしてみてください。
延べ床面積 |
特定建築物定期検査 |
建築設備定期検査 |
||
---|---|---|---|---|
共同住宅 (マンション) |
それ以外 |
共同住宅 (マンション) |
それ以外 |
|
〜1,000㎡ |
45,000円 |
40,000円 |
30,000円 |
30,000円 |
〜2,000㎡ |
45,000円 |
50,000円 |
30,000円 |
35,000円 |
〜3,000㎡ |
52,000円 |
60,000円 |
35,000円 |
40,000円 |
3,000㎡超 |
別途見積もり |
別途見積もり |
別途見積もり |
別途見積もり |
2. 12条点検の点検項目
ここまで12条点検の概要を説明してきました。
では、具体的に何をどんな風に点検するのでしょうか?
実際の点検内容は非常に専門的ですし、点検自体は検査会社がしてくれますので詳しく知る必要はないかもしれませんが、ビルオーナーや管理者の立場であれば、ある程度の内容を知っておいた方がよいでしょう。
そこでこの章では、12条点検の点検項目とその内容を、わかりやすく説明していきます。
説明する項目は以下の表の通りです。
点検の種別 |
検査項目数 |
検査項目 |
---|---|---|
特定建築物 |
5項目 |
・敷地および地盤 |
建築設備 |
4項目 |
・給排水設備 |
防火設備 |
4項目 |
・防火扉 |
昇降機 |
4項目 |
・エレベーター |
この4種の点検は、別々の検査会社に依頼することもできますし、特定建築物、建築設備、防火設備の3種についてはすべて同時に請け負ってくれる検査会社もあります。
また特定行政庁によっては、3種の報告年が重なる場合は一緒に報告書を提出するように指定されている場合もありますので、その場合はひとつの検査会社にまとめて依頼・報告する方が混乱がなくてよいでしょう。
一方、昇降機に関しては、他の3種とは以下のような違いがあります。
12条点検とは別に、建築基準法第8条により使用頻度に応じた「保守点検」が義務付けられており、
定期検査報告よりもひんぱんに保守点検する必要がある
検査をできる資格者が一級建築士、二級建築士、昇降機等検査員資格者と定められていて、
建築物調査員資格者しかいない会社では調査ができない
報告書の提出先が特定行政庁によって異なり、特定行政庁に提出する場合と、
特定行政庁が委託した一般社団法人などに提出する場合がある
そのため、特定建築物、建築設備、防火設備の検査とは別に、定期的に保守点検をしてくれる会社と契約し、12条点検もそちらにお願いしているケースが多いようです。
2-1. 「特定建築物」の定期検査5項目
特定建築物についての定期検査は、以下の5つの項目について実施します。
調査方法は、
◎目視
◎設計図の確認
◎巻尺による測定
◎テストハンマーによる打診
などを適宜行います。
検査項目 |
主な検査内容 |
---|---|
敷地および地盤 |
◎建物周辺に陥没がないか、地盤沈下による傾斜などはないか |
建物外部 |
◎基礎部分に地盤沈下に伴うひび割れなどがないか |
屋上および屋根 |
◎屋上にひび割れや反りあがりがないか、歩行上の危険はないか、伸縮目地材が欠落して部分的に植物が繁茂していないか |
建物内部 |
◎内壁躯体に割れやズレ、著しい錆や腐食がないか |
避難施設・ 非常用侵入口など |
◎避難の支障となる物が放置されていないか、避難経路の幅員が確保されているか、扉の開閉に支障はないか |
さらに詳しい検査内容を知りたい場合は、以下のリンクで確認してください。
国土交通省 告示「建築物の定期調査報告における調査及び定期点検における点検の項目、方法及び結果の判定基準並びに調査結果表を定める件」
また、特定建築物定期調査については「特定建築物定期調査とは?制度の概要や目的、調査項目をくわしく解説」でも解説していますのでご確認ください。
2-2. 「建築設備」の定期検査4項目
特定建築物についての定期検査は、4つの項目について実施します。
調査方法は、
◎目視
◎触診
◎設計図の確認
◎巻尺による測定
◎機器の動作確認
◎温度計などによる測定
などを適宜行います。
検査項目 |
主な検査内容 |
---|---|
給排水設備 |
<給水設備> <排水設備> |
換気設備 |
◎給排気口の設置位置や取り付け状況に問題はないか |
非常照明設備 |
◎非常用の照明器具は適切に取り付けられているか、正常に作動するか |
排煙設備 |
◎排煙機の作動に問題はないか |
さらに詳しい検査内容を知りたい場合は、以下のリンクで確認してください。
国土交通省 告示「建築設備(昇降機を除く。)の定期検査報告における検査及び定期点検における点検の項目、事項、方法及び結果の判定基準並びに検査結果表を定める件」
また、建築設備定期検査については「建築設備定期検査とは?通知が届いたらする事、やり方を簡単解説」でも解説していますのでご確認ください。
2-3. 「防火設備」の定期検査4項目
防火設備についての定期検査は、4つの項目について実施します。
調査方法は、
◎目視
◎触診
◎設計図の確認
◎巻尺やストップウォッチによる測定
◎機器の動作確認
◎煙感知器や熱感知器などを使って設備の動作確認
などを適宜行います。
検査項目 |
主な検査内容 |
---|---|
防火扉 |
◎防火扉周辺に障害となる物が放置されていないか |
防火シャッター |
◎シャッター周辺に障害となる物が放置されていないか |
耐火クロススクリーン |
◎設置場所の周囲に障害となる物が放置されていないか |
ドレンチャーその他の水幕を形成する防火設備 |
◎ドレンチャー付近に障害となる物が放置されていないか |
さらに詳しい検査内容を知りたい場合は、以下のリンクで確認してください。
国土交通省 告示「防火設備の定期検査報告における検査及び定期点検における点検の項目、事項、方法及び結果の判定基準並びに検査結果表を定める件」
また、防火設備定期検査については「防火設備定期検査|検査項目から検査時期まで5つのポイント解説」でも解説していますのでご確認ください。
2-4. 「昇降機」の定期検査
昇降機についての定期検査は、4つの項目について実施します。
調査方法は、
◎目視
◎触診
◎聴診
◎測定
◎機器の動作確認
などを適宜行います。
検査項目 |
主な検査内容 |
---|---|
エレベーター |
◎機関室の通路、階段、戸の施錠、室内などに問題がないか ◎制御器は正常に作動するか ◎階床選択機、巻上げ機、ブレーキなどは正常に作動するか ◎電動発電機に異常はないか ◎速度は適切か ◎降下防止装置の設置や作動に問題はないか ◎かごの設置、構造、ドア、操作盤、操縦機などに問題はないか |
エスカレーター |
|
小荷物専用昇降機 |
|
遊戯施設等 |
さらに詳しい検査内容を知りたい場合は、以下のリンクで確認してください。
国土交通省 告示「昇降機の定期検査報告における検査及び定期点検における点検の項目、事項、方法及び結果の判定基準並びに検査結果表を定める件」
3. 点検を検査会社に依頼する場合の7つのステップ
では実際に、12条点検を検査会社に依頼する場合はどんな流れになるのでしょうか。
それは以下のような7つのステップで行います。
基本的にビルのオーナーや管理者がすることは、赤文字の項目
- 検査会社を探す
- 検査に必要な書類を揃える
- 検査会社が作成した報告書を確認、押印して返送する
の3点です。
また、特定行政庁によっては、「特定建築物、建築設備、防火設備については、報告年が重なる場合は一緒に報告書を提出するように」と指定されている場合もありますので、その場合は同時にまとめて行ってください。
昇降機に関しては、2章の冒頭で説明したように、
- 12条点検以外に、日頃から保守点検も必要
- 検査できる資格者が一部異なる
- 報告書の提出先が特定行政庁によって異なる
など、他の3種の点検とは違う部分がありますので、エレベーターに詳しく定期的な保守点検もしてくれる会社に、12条点検も依頼する場合が多いようです。
では、実際の7ステップを見てみましょう。
1)検査通知書が届く 検査時期が来ると、該当する建築物を管轄する特定行政庁から、建物の所有者または管理者あてに検査を行うよう検査通知書が届きます。 |
▽
2)検査会社を探す 検査を依頼する検査会社を探します。 |
▽
3)検査に必要な書類を準備 検査会社に検査・報告書の作成をしてもらうために、建築物に関する資料が必要です。 <初回の検査の場合> <2回目以降の検査の場合> |
▽
4)検査 事前に依頼した検査日に、検査会社が建物を訪れて検査をします。 |
▽
5)検査会社が報告書を作成 検査日から1週間程度で検査会社が報告書を作成し、依頼者に郵送してきますので、内容を確認します。 |
▽
6)報告書に押印・返送 内容に問題がなければ、確認の押印をして検査会社に返送します。 |
▽
7)検査会社が報告書を特定行政庁に提出 押印済みの報告書が検査会社に届いたら、検査会社から特定行政庁に提出します。 また、検査日から3ヶ月以上経過すると報告書は無効になり、再検査が必要になりますので要注意です。 |
4. 検査会社者選びの3つのポイント
ここまで、12条点検の概要、点検内容、点検の流れを見てきました。
そこで最後に、検査会社を選ぶ際のポイントを3つ挙げておきましょう。
1)年間200件以上の検査をしている
12条点検の検査項目は非常に細かく、見逃しや判断ミスは建物の安全をおびやかします。
そのためどんな建物・設備であっても、的確に迷わず検査・判断できる会社を選ぶ必要があります。
その基準として、年間200件以上の検査を請け負っていて経験と知見の蓄積がある検査会社をオススメします。
2)検査歴10年以上、従業員数20名以上で信頼できる
検査会社は、一度依頼したら同じところに継続して依頼できるのが理想的です。
建物の特性を理解してもらえますし、問題がありそうな箇所については、事前に気づいて「この部分は現状ではまだ大丈夫ですが、今のうちに補修したほうがいいですよ」などとアドバイスももらえるからです。
そんな継続的なお付き合いをするためにも、長く検査業務を続けていて今後も廃業などの懸念がない、信頼できる検査会社にを選ぶといいでしょう。
3)見積もり金額以上の追加費用を発生させない
検査費用は安いものではありませんので、かならず見積もりを取ってから依頼することをオススメします。
その際に、「見積もり以上の費用は発生しない」ことを約束してくれる会社を選びましょう。
検査にかかる費用は一般的に、
◎検査費
◎報告書作成費
◎報告書提出代行費
◎センター手数料
(報告書を直接特定行政庁に提出するのではなく、受付センターに提出する場合にかかります)
◎その他
ですので、それ以外に根拠不明な費用や、金額を明言できない項目がある場合は、注意してください。
以上3点の選択基準に合う会社をいくつかピックアップして、相見積もりを取れば、きっと納得いく検査会社と出会えるでしょう。
こちらの「信頼できるビル管理会社を見極める方法と全国のおすすめ管理会社6選」がビル管理会社選びのヒントになるかと思いますので、ぜひ一読してみてください。
まとめ
いかがでしたか?
12条点検とは何か、何をすべきかよく理解できたかと思います。
では最後に、記事の要点をまとめてみましょう。
◎「12条点検」は、建築基準法第12条による建物の定期点検で、ビルの安全を保つために行う義務がある
◎12条点検の点検項目は、
1)特定建築物について5項目
- 敷地および地盤
- 建物外部
- 屋上および屋根
- 建物内部
- 避難施設・非常用進入口など
2)建築設備について4項目
- 給排水設備
- 換気設備
- 非常照明設備
- 排煙設備
3)防火設備について4項目
- 防火扉
- 防火シャッター
- 耐火クロススクリーン
- ドレンチャーその他の水幕を形成する防火設備
4)昇降機について4項目
- エレベーター
- エスカレーター
- 小荷物専用昇降機
- 遊戯施設等
以上のことを踏まえて正しい12条点検を実施し、あなたのビルの安全を保ってください。
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