【いざ使おうと思ったら消火器の有効期限が切れていた!】ということはありませんか。 非常事態の時に有効期限が切れていたり本体に異常があれば破裂事故の原因にもなります。大事に至らないためにも周りの消火器の本体の有効期限は切れていないか必ず点検をしてください。
このコンテンツでは、たくさんの消火器の種類の中でよく使われている『ABC粉末消火器』に絞って期限を紹介していきます。
ABC粉末消火器の「A・B・C」とは?
A…普通火災用…白色に黒文字…紙・木・繊維・樹脂等(固形物が燃える一般的な火災に適応)
B…油火災用 …黄色に黒文字…油・ガソリン等に適応
Ⅽ…電気火災用…青色に白文字…電気設備等に適応
1.消火器有効期限について
この章では業務用の消火器と家庭の消火器のそれぞれを紹介していきます。
1-1.業務用の消火器の有効期限
業務用の消火器の本体の有効期限は10年です。
「有効期限」の事を「設計標準使用期限」とも呼びますが、消火器の本体の裏にこの「設計標準使用期限」が記載されていますのでご確認ください。
この期限を超えた消火器を使用すると経年劣化による思いがけぬ事故につながる可能性が高いため、有効期限が切れる前に消火器を取り換えることをお勧めいたします。
※2011年4月1日より製造から10年が過ぎた消火器に対する、耐圧(水圧)性能点検が義務付けられ、以後3年ごとの耐圧(水圧)点検が必要となります。点検済みのものには、耐圧性能点検済証のシールが貼られます。10年を過ぎた場合は、本体も古く、中身も古くなって来ますので、お買い替えをお勧めいたします。
消火器の機器点検は、6か月に1回以上で、設置状況、外形の点検、内部及び機能の点検を行います。
更新がされましたら、点検年月日、次回点検日を記載したシールが貼られます。シールは会社により違いはありますので、一例と致しまして、ここでご案内させていただきます。
どうぞご確認ください。
1-2.業務用消火器の中身の有効期限
業務用消火器の中身の有効期限は8年です。有効期限が切れてしまった場合は、中身の粉が固まっていて、いざというときに噴射が出来なくなりますので必ず、有効期限をお守りください。
1−3.家庭用消火器の有効期限
家庭用消火器の本体の期限は5年です。家庭用の消火器は、中身の薬剤の詰め替えが出来ない構造となっておりますので、有効期限が来ましたら取り換えが必要ですので新しい消火器をご購入下さい。
インターネット販売でも多種、多様に紹介がされていますが、お年寄りや女性は実際に手に取り重さの確認ができ、使用時に安心な為に、ご購入はホームセンターで実際にご覧いただいたうえでのご購入をお勧めいたします。
値段は、1,000円(スプレー式の小さいもの)~4,000円ぐらいです。
家庭用ABC粉末消火器には、薬剤の重量で3型(1kg)、4型(1.2kg)、5型(1.2kg)、6型(2kg)、20型(6kg)があります。ご家庭合った大きさの消火器をご確認ください。
2.有効期限が残っていても危険性がある場合の確認方法
もし有効期限が残っていたとしても危険性がある場合もあります。この章では、未然に事故を防ぐためにも知っておきたい様々な危険性について紹介していきます。
2-1.キャップなどの破損
消火器のキャップが破損することにより使用できなくなる場合があります。下記画像のような破損が見られる場合は、使用時の圧力により破裂する恐れがあります。
2-2.本体の変形
本体に凹みがあるなどの場合も同様に、使用時の圧力により破裂する恐れがあります。下記画像のような凹みが見られる場合は使用を控えましょう。
2-3.ホースの脱落や、ホースの破損
消火器の本体に付属しているはずのホースが、脱落もしくは破損している場合も危険です。使用時に消化液が出ない場合やホースの傷から漏れる場合があります。ホースの脱落や破損を発見した場合は速やかに販売店に連絡し、新しい消火器と交換するようにしましょう。
2-4.腐食
消火器が腐食している場合も、使用時の圧力により破裂する恐れがあります。速やかに廃棄処理しましょう。
2-5.指針が範囲外を示している場合。
指針が緑色の範囲から逸脱している場合は、薬剤が漏れている可能性があります。この場合も速やかに販売店に連絡を行い、新しい消火器と交換するようにしましょう。
2-6.強度上の危険
溶接部とその周辺は腐食が進みやすい箇所です。下記画像の程度の腐食が進んでいる場合は強度上非常に危険です。使用時の圧力により底が抜けたりして破損する恐れがあります。速やかに廃棄処理しましょう。
2−7.今すぐできる消火器の中身の危険性を確認する方法
消火器の中身の危険性を確認するためには、消火器の本体を持ち上げて振ってみてください。
正常な場合は、小麦粉が入っているようなサラサラと音が鳴りますが、異常な場合は塩が入っているようなザラザラと音が鳴ります。期限が切れた場合は違いがわかりますので合わせてご確認をしてください。
高温設置場所や高湿度の設置場所、腐食性ガスの近くや海辺などで潮風の当たる場所では、操作に支障を生ずることが充分ありますので、消火器を消火器専用の格納箱に入れて保管をしてください。
腐食性ガスとは?
硫化水素・亜硫酸・亜硝酸・塩素・アンモニア等物質をさせる影響を持った気体の事
2−8.過去に発生した消火器の破裂による事故事例4選
過去に起こった消火器の破裂による事故は多数存在します。今回は、総務省の資料から、死亡事故も含む人身事故を紹介します。
事例1
昨年、仙台市に於いて、家庭で加圧式消火器を破棄する際に、消火剤粉末を放出させようと操作をしたところ、消火器が、破裂して70代の男性の操作者が、軽傷ですが負傷されました。
事例2
昨年、倉敷市に於いて、産業廃棄物処理業者が、事業用の加圧式消火器を破棄する際に消火剤粉末消火剤粉末を放出させようと操作をしたところ、消火器が、破裂して60代の男性の操作者が、負傷され重症傷でした。
事例3
H21年、大阪市に於いて、屋外駐車場に置かれていた消火器を操作した際に消火器が破裂し、10代の男の子が負傷。
事例4
H23年、大分県宇佐市に於いて、廃棄物処理業者が消火器を廃棄処理中に誤って消火器が操作されて破裂し死亡。
上記のような事故に遭わないためにも上記で紹介した確認は怠らないようにしましょう。
3.消火器の交換・購入の費用
ここでは消火器の交換・購入の費用を紹介していきます。
3-1.消火器本体の交換費用
消火器本体の交換費用は1本あたりおおよそ5,500円程度です。
購入場所(配達・設置・引き取り別途料金の場合があります)購入数量等によりばらつきがありますので必ずよくご確認ください。
3-2.消火器中身の交換費用
消火器の中身の交換費用は1本あたりおおよそ6,500円程度です。
購入場所(出張料金)、数量等によりばらつきがありますので必ずよくご確認ください。
※加圧式消火器は製造中止となり、蓄圧式消火器が主流になっていますので交換より購入の方が費用が安くなり、本体も新しくなりますので購入をお勧めいたします。
3-3.消火器の本体の購入費用
ホームセンターでは業務用ABC粉末消火器10型1本あたり約4,000円で購入が出来ます。購入の本数分を無料で引き取りもしてもらえます。専門業者からの購入やインターネットでの販売もあります。専門業者の場合は、平均5,500円です。
別途料金として、配達・設置料金等の発生する場合がありますが(本数等により異なることがあります)適切な場所への設置や、使い方の説明も詳しくしてもらえますので本数が多いビルなどは、専門業者からの購入をお勧め致します。
4.消火器の設置場所
4-1.屋内
消火器の設置を義務付けられている建物については、消防関係法令で細かく定められています。自力避難が困難な高齢者や障害者の入所する福祉施設に対し、延面積に関係なく、消火器、自動火災報知設備、消防機関へ通報する火災報知設備の設置が義務付けられています。
消火器はそれぞれの防火対象物から歩行距離20m以下になるように設置し、各階ごとに設置をする事です。詳しくはこちらの『一般社団法人 日本消火器工業会』をご覧ください。 「消火器読本」の点検・整備をご確認してください。
大型消火器に限っては30m以下になるように設置します。
消火器の設置対象物設置場所は通常時の歩行や、避難時の通路に支障がなく必要時にすぐ目に付き持ち出せる場所に設置をする事です。ビル内では、傘立てや、大きな植木に隠れわかりにくい所がありますのでご注意ください。家庭では、台所の火元の近く、玄関、寝室などに多く設置されています。また、多湿の場所は、本体の錆びから破裂の恐れがありますので浴室などの水気は避けましょう。
4−2.屋外
専用台に乗せたり壁にかけたり、設置場所に応じて設置をする。専用の格納箱に収納する等がベストと思われます。床にじかに置くと、床面が水に濡れた場合、消火器の底の部分が錆び使用時に破裂の恐れがあるので大変危険です。
※絶対条件として直接水に触れない所に設置をしてください。
※床面からの高さ1.5m以下に設置し、「消火器」の標識を見やすい位置に設置をしてください。
※地震や振動で消火器が転倒、落下しないように設置するようにしてください。
※高温・多湿場所は避け、消火薬剤が凍結、変質又は噴出するおそれの少ないところに設置してください。
5.消火器を安全に使用するための5つの注意点
消火器を安全に利用するためにも改めて以下の5つの箇所について確認をしましょう。
①安全ピンの有無の確認
②レバーは壊れていないか
③キャップや本体底部に錆や、傷の確認
④ホースに傷、ひび割れの確認
⑤圧力ゲージのついているものは、圧力を示す針が緑色の範囲内にあるかどうかの確認
6.まとめ
消火器は私たちの周りにはたくさん目につくところにあります。大切な命を守るものである消火器が、いざという時に有効期限が切れていては大変です。定期的に有効期限を意識していただき安心して使用ができるようにしてください。
消火器を設置している一定規模以上の建物では消防法に基づく消防設備点検を実施する必要があります。当ブログ「いざという時に備える消防設備点検!内容と費用の簡単ポイント解説」では消防設備点検を分かりやすく解説しています。参考にして下さい。
※消防設備点検を実施しなければならない建物の規模には一定の基準があります
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