あなたはいざ火事が起きた時に消火器を使える自信はありますか?
また、火事が起きたら最初の2分が勝負だということを知っていますか?
私たちができる消火活動は主に消火器を使うことですが、消火器は触ったことも使ったこともないという人は多いのではないでしょうか?消火活動で最も重要なポイントは『火が広がる前に消す』ことです。突然火が上がると誰もが驚き、パニックに陥りがちですがこんな時こそ冷静に行いたいものです。
消火器の役割は「初期消火」です。消火できる目安は「火が天井に届く前」までです。
もしすでに火が天井まで燃え広がってしまっていたら消火器で消すのは不可能です。その時はすぐに避難しましょう。
そこで今回のブログでは、私の20年の知見から、初期消火活動に最も有効な消火器の『正しい使い方』について説明したいと思います。防災訓練で教えてもらった人も、そうでない人も、ぜひ参考にしてください。
目次
1.手元にある消火器を確認しましょう
このコンテンツでは一般的な消火器である「ABC粉末消火器」の使い方を紹介していきます。
まず最初に自宅や会社に消火器があるか?どこに置いてるかを確認しましょう。
もしまだ置いていない方は是非この機会にご用意ください。ホームセンターやamazon.comでも手軽に購入できます。おすすめは「ABC粉末消火器」です。この消火器については後の章で説明します。
消火器を用意したら本体を確認しましょう。「ラベル」を見てください。ここで消火器の使い方を確認してください。イラスト入りで消火器の使い方がわかりやすく書かれています。下の3つが基本操作となります。詳しくは次の章以降で説明していきます。
1 安全栓を引き抜く
↓
2 ホースをはずし火元に向ける
↓
3 レバーを強く握る
2.消火器の使い方
この章では幅広い火災に対応し一般的に普及している「ABC粉末消火器」について説明します。消火器の使い方は非常に簡単ですのでこの機会にぜひ覚えて下さい。
火事は、いつ・どこで・どんな風に起こるか予測ができません。そのためにも万が一に備えて、誰もが消火器を使えるようになるのがベストです。
火事が起きたら大声で外にいる人に知らせると同時に、消防署「119番」への通報と初期消火活動を同時に行ってください。家に2人いれば1人は通報、1人は消火活動、と分担して行ってください。
それでは消火器の使い方をまずは動画で確認してください。
全体的な流れは動画を確認してもらえば十分です。ただし実際に消火活動をするに当たっては細かな注意点がありますのでこれから順番に説明していきます。
火が出たら最初に消火器を火元のできるだけ近くまで運びます。消火器が重く片手で運べない人は両手で抱えるようにして運びましょう。 ここで注意することは消火器から放射する粉末消火剤の飛距離は約4~7mですので近づきすぎると火で危険ですが離れすぎると火に届かないため効果がありません。
手順1.消火器の安全栓を引き抜く
消火器を置き、安全栓(ピン)を上に引き抜いてください。そうするとストッパーが外れ、放射レバーが握ることができるようになります。
この安全ピンは誤操作防止用です。安全ピンが付いたままの状態では、レバーを強く握っても粉末消火剤は出て来ません。
手順2.ホースをはずし火元に向ける
下向けに収まってるホースの先端を外してホースの先端を火元の方向に向けます。
粉末消火剤の出る勢いはかなり強いので、先端をしっかり持って火元に向けて下さい。ホースの途中を持つと放射の勢いで狙いが定まらず的確な場所へ消火できない恐れがあります。
手順3.レバーを強く握る
次に消火器のレバーを強く握ります。
消火するときは片手でレバーを握り、もう片手はホースを持ってる状態になります。
レバーを握ることによってレバーの下に付いている針が炭酸ガスのボンベに穴を開け本体に炭酸ガスが充満します。充満した圧力で粉末消火剤がホースから勢いよく外に押し出されます。
手順4.火元を狙い消火
最後に火元を狙い消火してください。
レバーを握ると消火器から粉末消火剤が放射されます。消火するときは燃え広がっている火ではなく燃えている火元を狙ってください。うまく消火できたら念のために完全に火が消えているか確認します。
小さな火災であれば消火器で十分消火できますが、もし消火ができず火がすでに天井まで届いてしまうくらい燃え広がってしまったらすぐに避難して消防車を待ちましょう。
“消火するときの注意点”
- 消火器は5kgの重量があるため、消火活動は地面に置いたまま、持ったまま、のどちらでも構いません。
- 消火をするときは火の発生源である火元を狙い左右に振りながら消火を行うことが大切です
- 消火器の放射時間は約15秒です。放射途中で火が消えたと思っても粉末消火剤が出なくなるまで放射を続けてください
- 室内で火災が起きた時はまず出口への逃げ道を確保のための消火を行いましょう。その後は出口を背にして消火活動を行います。
- 一度消えたように見えても火種が残り再び燃えることがありますので注意してください。温度が下がったあとに水をかけて完全に消火するようにしましょう。ただし、天ぷら油には水をかけると逆に火が燃え上がるので、水は使ってはいけません。天ぷら油には消火器による消火だけで大丈夫です。
3.最低限揃えるべき消火用具「おすすめ3選」
ここでは最低限揃えてほしいおすすめの消火用具を3種類紹介します。万一に備えてセットで用意していただければより安心です。
おすすめ1.ABC粉末消火器
今、現在市販されている小型消火器の中で一般的に普及している消火器はABC粉末消火器の中でも10型が主流を占めています。そこでご家庭に必ず1本「ABC粉末消火器(10型)」を置くことをおすすめします。
“10型とは”
- 消火器の消火能力を表します。数字が大きいほど消火能力が高い。10型が市販されている消火器の中では一般的に普及している商品です。
この消火器は粉末消火剤を放射して火を覆うことにより窒息させ火を消すものです。この消火器をおすすめする理由を順番に説明します。
理由1.どこでも購入可能
普及している消火器ですのでホームセンターやamazon.comなどのネットなどどこでも購入することができます。1本3,500円前後で販売されています。また使用期限も10年と長くなっています。
理由2.幅広い火災に対応
火災は大きく分けて「A火災(天ぷら油火災)」「B火災(一般火災)」「C火災(電気火災)」の3つに分かれています。これ1本でA火災・B火災・C火災すべての火災にオールマイテイに対応する便利な消火器です。
理由3.高い消火能力
コンパクトな本体で、応急用とは違って強力な放射によって瞬時に消火する能力を発揮します。この消火器の放射時間は約15秒間で水バケツに換算すると9杯分の消火力を発揮します。
おすすめ2.ラクシーシンプル
「ラクシ―シンプル」は、その効果・性能から警視庁でも正式採用されているスグレモノの消火用具です。この簡易消火用具は余計な操作は必要ありません。投げるだけの便利な消火用具です
消火器は強力な消火能力を持ちますので消火活動に威力を発揮します。しかしいざ火災が起き火が上がると誰もが驚き、パニックに陥りがちです。そんなときには一瞬消火器の使い方を忘れることもありえます。その場合には最初にこの「ラクシーシンプル」を火元に投げ込みそのあとで消火器を使うのがいいでしょう。
“簡易消火用具とは”
- 簡易消火用具とは水バケツ、乾燥砂、投てき型等の、消火器ではないが消防法及び関係政令上消火器の代替が可能なものです。
この「ラクシーシンプル」は高さ21cmでペットボトルのような形をしています。使用方法は簡単で本体を火元に向けて投げ込むと壁や床に当たった衝撃でボトルが割れて消火します。
「ラクシーシンプル」の使用期限は5年で処分も簡単です。この商品は有害な物質を使っていないため、使用期限後は水と一緒に流して捨てることができます。amazon.comでは1本6,000円程度で販売されています。
引用元:日本ファイヤープロテクト
おすすめ3.スティックアウト
「スティックアウト」は、天ぷら油火災用の消火用具です。家庭での火災の中でも、天ぷら油火災はよく起こりがちです。そんな火災の初期消火におすすめするのが「スティックアウト」です。この簡易消火用具も余計な操作は必要なく鍋にそのまま入れるだけです。スティック状で40cmの長さがあり鍋にも入れやすい形です。
入れるとこの消火剤が油を泡状に変化させます。後片付けも簡単で消火後は固まった油を捨てるだけです。普通の廃油と同じように処分することができます。天ぷら油火災が起きたらすぐ使えるように台所に備え付けていただくことをおすすめします。amazon.comでは1本1,200円程度で販売されています。
引用元:日本ファイヤープロテクト
4.消火器は誰でもわかる場所に設置
消火器は、火事が起きる時に備えみんなががわかる場所に置きましょう。倉庫や押し入れ・納戸などに保管しまうと普段は見かけないため、いざ火事になった時にはどこに置いてるかわからずパニック状態になってしまう可能性があります。普段からよく見かる分かりやすいテレビの横やインターフォンの下など消火器はだれでもわかる場所に置きましょう。
5.まとめ
いかがでしたか!このブログでは消火器の使い方と安全のために是非揃えてほしい消火用具の紹介をしました。
1家に1本は幅広い火災に効果のあるABC粉末消火器を置くことをおすすめします。その上でラクシーシンプルとスティックアウトを取り揃えていただければより安心です。
消火器は初期消火活動にこそ効果があります。火がついて最初の2分が勝負 ですので素早い対応で消火用具を取り出し「火が天井に届く前」に消火してしまいましょう。 もし消火できない場合は急いで避難してください。
消火器はいつでも誰もが使えるように定期的に「消火器の3つの基本操作」の確認をしてください。
1 安全栓を引き抜く
↓
2 ホースをはずし火元に向ける
↓
3 レバーを強く握る
火災の防止に効果的な消火器について紹介しましたが、このブログを通じて少しでも多くの方に消火器について関心を持っていただければ幸いです。
一定規模以上の建物では消防法に基づく消防設備点検を実施する必要があります。当ブログ「いざという時に備える消防設備点検!内容と費用の簡単ポイント解説」では消防設備点検を分かりやすく解説しています。参考にして下さい。
※消防設備点検を実施しなければならない建物の規模には一定の基準があります
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