映画館や劇場では正面前方の舞台以外は真っ暗ですね。客席回りも真っ暗ですが足元をよく見るとうっすらと明かりが付いているのがわかります。これは客席誘導灯といいます。映画が始まっても常に明かりは点灯しています。

途中で出入りしても階段でつまづかないようにするためです。また火災などの緊急時でも非常口へ避難するためにも必要なものです。

消防法ではこの客席誘導灯の設置ルールを取決められていますが、ここでは客席に設置する客席誘導灯についての設置基準をわかりやすく解説していきます。

映画館や劇場で楽しく安心に過ごすためにも欠かせないものです。是非参考にして下さい。


1.客席誘導灯の設置基準

真っ暗な映画館での通路は階段や傾斜路になっており火災や地震が起きた時にあわてて避難しようとすると怪我につながりがちです。このようなことが起きないために常に足元を明かりで照らす誘導設備が客席誘導灯です。なおこの誘導灯の設置基準は消防法で定められています。

それでは設置基準を順番に見てまいりましょう。

1-1.照度の確保

客席誘導灯は客席に取り付けます。設置する時は客席の足元の床面の照度が0.2ルクス以上の明るさを確保する必要があります。また客席が順番に階段状になっている場合は客席と客席の間の通路の中央線上が0.2ルクス以上の明るさを確保する必要があります。

ルクスという単位は聞きなれないことばですが照度の単位として使われています。ちなみに0.2ルクスの明るさの目安としては「満月の夜道の明るさ」「色はわからないが手元の新聞の見出しが何とか読めるくらいの明るさ」になります。

客席誘導灯の目的はそこに階段があるということがわかり、歩くときにつまづいたりしない明るさが確保されればいいのでうっすらとした明るさでも問題ないですね。

引用元:BLOG映写室からのつぶやき

1-2.客席誘導はしっかり固定

客席誘導灯は客席に設置して常時、足元を照らす誘導灯です。地震などの揺れではずれては避難する時につまづいたり、怪我をしたり避難時に混乱を招いたりすることになりかねません。

そのような事態を避けるためにも地震の震動にも耐えられるように客席にしっかりと固定する必要があります。消防法には取付けに際して具体的な強度は書かれていませんが押したり当たったりしてもぐらつかないように取り付ける必要があります。

1-3.誘導灯の高さ制限

客席誘導灯の目的は足元を明かりで照らし移動する際、つまづいたりして点灯しないようにすることです。そのためには一定の照度を確保するために低めに設置する必要があります。

またあまり高いと映画や劇の視界に明かりが入ってしまい鑑賞の妨げにつながります。総合的に勘案し原則として床面から0.5m以下の高さに設置することになっています。

引用元:BLOG山口マリー

1-4.誘導灯がじゃまにならない場所に設置

客席誘導灯は客席に設置しますが非常時に非常口へ避難する際にはひっかかって転倒したり、障害になったりしないよう前方に飛び出して設置したりせず客席の横に設置するようにしてください。


2.客席誘導灯の設置除外基準

客席誘導灯は条件に該当すると設置を除外される場合があります。
最低限覚えておくポイントをまとめました。

2-1.屋外観覧場

観覧場等が屋外にあって避難するために外光によって一定の明るさを確保できる場合は客席誘導灯の設置を除外されます。日中は自然光、夜は観覧場の明かりで照度が確保されます。ちなみに屋外野球場では夜は野球場の照明で明るいので誘導灯は不要ですね。

引用元:BLOGレンタカー大阪

2-2.劇場内で照度が確保される場所

映画館など劇場内は照明をつけていないため真っ暗です。そのため安全に避難するために客席誘導灯の設置が義務付けられていますが出入口である非常口には避難口誘導灯が設置され常時明かりが点灯しています。

この避難口誘導灯の近くの客席で避難に必要な照度が確保される場合には客席誘導灯の設置を除外されます。


引用元:asamiike on twitter


3.まとめ

・客席誘導灯は階段が多い劇場でも安全に移動できるように足元を明かりで照らす誘導灯です。
・この誘導灯は消防法で設置基準と設置除外基準が定められています。
・非常時には暗い中でも非常口まで安全に避難するために重要な役割を果たしています。

設置基準を知って万一の時にでも困らないように冷静に避難して下さい。

誘導灯を設置している一定規模以上の建物では消防法に基づく消防設備点検を実施する必要があります。当ブログ「いざという時に備える消防設備点検!内容と費用の簡単ポイント解説」では消防設備点検を分かりやすく解説しています。参考にして下さい。

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