所有している、あるいは管理している建物が建築設備定期検査の対象かどうか?対象になる条件はどうなっているのか?わからない方も多いと思います。
建物は幅広い用途で利用されており、また規模も建物により大きく違いがあります。都道府県や市町村によっても検査の基準が違い、定期報告を行う建物の対象である条件は非常に複雑になりよくわからないと思う方が多いのが現状です。
そこで今回は建築設備定期検査の検査対象に焦点を合わせわかりやすく説明していきます。是非この記事を参考にしていただきまして検査対象の建物は安全を維持するためにも建築設備定期検査を行ってほしいと思います。
1.特定行政庁によって変わる検査対象
建築設備定期検査を行う基準は分りにくいですが一般住宅以外の建物は基本的には対象になります。
細かい条件は特定行政庁によっても違い、その条件は多岐にわたっています。大きく分けると検査対象は建物の「用途」「規模」「特定行政庁」の3つの条件により分かれています。
特定行政庁とは・・・簡単に言うと各都道府県や、人口25万人以上の市町村のことです。(※現状では大部分で人口10万人以上の市町村が特定行政庁となっています)
上の3つの条件が満たされた建物は建築基準法12条で定められた建築設備定期検査を行わなければなりません。では順番に見てまいりましょう。
1-1.建物の用途による条件
建物は幅広い用途で使用されています。建築設備定期検査では一定の用途の建物で行うことが定められています。
検査を行わなければならない建物の用途とは、美術館、事務所、映画館、ホテル、病院、百貨店、飲食店などです。
基本的には年1回検査を行うことになっていますが特定行政庁によって違う場合があります。建物の用途によって検査対象になる場合・ならない場合と分れますので事前に建物の所在地にある特定行政庁に確認を行なう必要があります。
“用途によって検査対象外の事例”
- 大阪府・・・ボーリング場や体育館など、共同住宅(非常用エレベーターが設置されている場合に限る)
- 横浜市・・・共同住宅、事務所
- 千葉市・・・事務所など
1-2.建物の規模による条件
建築設備定期検査は建物の規模によっても検査対象が決められているケースが一般的です。規模では「階数」「延床面積」の2つの条件があります。「用途」「階数」「延床面積」の条件はそれぞれが該当した場合に検査を行う必要があります。
建物の規模によって、検査対象になる場合と・ならない場合に分かれますので事前に建物の所在地である特定行政庁に確認する必要があります。
“規模による検査対象の特定行政庁別の比較(用途が博物館・美術館・図書館の場合)”
- 大阪府・・・建物が2,000㎡以上、または3階以上である場合に検査対象となります。
- 東京都・・・200㎡以上、又は3階以上、又は地階にあるもの、又は、主階が1階にないもので100㎡超である場合に検査対象となります。
1-3.特定行政庁ごとの条件
建築設備定期検査は建物の所在地によっても検査対象が変わることがあります。建築設備定期検査を行う対象は特定行政庁ごとに条件を決めているためです。
建築基準法12条にもとづき建築設備定期検査では4設備が検査対象として行う特定行政庁が大部分を占める中、特定の設備のみ検査を行う特定行政庁もあります。
建築基準法第12条第3項の規定では定期的に建築設備(換気設備、排煙設備、非常用の照明装置、給水設備及び排水設備)の4設備の安全確保のための検査を行い、その結果を特定行政庁へ報告しなければなりません。
しかしながら特定行政庁によってそれぞれの検査を行うべき設備対象が異なるために事前に確認を行なう必要があります。
“特定行政庁別の建築設備の検査対象”
- 東京都では給排水設備、換気設備、非常照明設備、機械排煙設備の4設備全てが検査対象です。
- 大阪府では換気設備、非常照明設備、機械排煙設備の3設備が検査対象です。
- 千葉県は非常照明設備、機械排煙設備の2設備が検査対象です。
- 神奈川県では非常照明設備、機械排煙設備の2設備が検査対象です。
3.まとめ
建築設備定期検査は基本的に年1回実施が決められていますが、用途、規模、特定行政庁によって検査対象の範囲が変わります。
美術館・事務所・共同住宅など建物の用途や、延床面積・階数などの建物規模によって検査対象が変わる場合があります。また特定行政庁によっては検査設備の対象範囲に制限がある場合があります。
安全を維持するためにも必要な検査ですが検査対象かどうか事前に確認の上、検査を行って下さい。
「建築設備定期検査」についてもっと詳しく知りたい方は当ブログ「建築設備定期検査|設備異常から守るために知っておきたい内容と費用」を是非お読みください
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