夜、ホテルで突然地震が起きたためあわてて非常口から逃げようと思った時、停電で真っ暗になってしまったら・・・・・考えるだけでも恐ろしいですね。
こんな時に私達の避難を助けてくれるのが誘導灯です。真っ暗な場所でも明りが付いて、しかも避難経路も分かるように誘導してくれます。このようなときにも確実に点灯するためにも早めの交換が必要です。
ここでは私の20年の知見をもとに誘導灯の交換時期と交換方法について丁寧に解説していきます。
読み終えていただければ誘導灯を正常に機能するためのポイントが理解できるようになります。安心・安全のためにぜひご参考にしてください。
目次
1.誘導灯の交換時期と方法
誘導灯は器具本体とバッテリー、ランプで構成されています。また交換には器具本体の場合、電気の知識が必要なため資格者が行わなければならないがバッテリーやランプの交換は比較的に簡単なため資格がなくても交換を行うことができます。
しかしながら誘導灯は停電等の非常時にランプが付き、建物を利用ている人々を避難口に誘導しなければならない大切な設備です。いざというときに間違いなく作動するためにもはやはり経験や知識の豊富な有資格者に任せた方が安心だと考えます。人々の安全を守る設備ですので専門会社に委託することをお勧めします。
ポイント1.器具本体の交換時期と方法
器具本体の寿命は8年~10年となっています。器具は設置して年数が経過していくにつれ表示板がほこり等で汚れて視認性が低下していきます。また、器具内のバッテリーは劣化し、充電不良や故障が起こる可能性があり万一の時に明かりがつかない恐れがありますので10年以内の交換をお勧め致します。
また本体器具の交換には100Vの電気工事が必要なため電気工事士等の有資格者が、また交換工事後の消防署への届出には消防設備士が行う必要があります。
誘導灯は平成11年消防庁告示第2号で定められている性能、機能の基準を満たした製品について認定を受けることができます。認定を受けた誘導灯には認定マークを誘導灯器具のわかりやすい箇所に貼付けています。このマークは色により製造年月日が区別されています。認定マークを目安として製造後10年以内で早めに新品と交換することをおすすめしています。
引用元:パナソニック
ポイント2.バッテリーの交換時期と方法
蓄電池(バッテリー)の寿命は4~6年となっています。停電時に起動して適正に誘導灯を点灯させなければならない役目があります。バッテリーの寿命は、使用環境によりますが、おおよそ4年~6年です。また5年位から摩擦故障が出始めます。安全のための予防維持のためにも早めに交換することが必要で摩耗摩擦が出始める5年を基準として新しいバッテリーに交換することをおすすめします。この期間が過ぎてしまうと摩擦故障(疲労・摩耗・老化現象)などで故障する確率が高まっていき、イザという時に誘導灯を点灯させることができなくなる可能性があります。停電時に確実に点灯するためにも早めの交換が必要です。
バッテリーの交換時期
日本照明工業会ガイド108-2003「誘導灯器具及び非常用照明器具の耐用年限」に適正交換時期が定められています。
バッテリー交換には特に資格は必要ありません。誘導灯パネルは簡単に取り外しができますので誰でも交換作業を行うことができます。
引用元:(株)タイムラン
ポイント3.ランプの交換時期と方法
ランプには白熱電灯又は蛍光ランプが使用されてきましたが寿命が長時間になるLEDランプへの移行が進んでいます。
ランプの交換時期は直管形蛍光ランプは1年~2年、LEDは約6年となっています。停電時にバッテリーが起動してもランプが寿命切れであれば誘導灯は点灯しません。ランプについても早めの交換をおすすめします。
ランプ交換にも特に資格は必要ありません。誘導灯パネルを取り外すと簡単にランプの交換作業を行うことができます。
引用元:電池屋
ポイント4.誘導灯の交換は専門会社に任せる事をおすすめします
誘導灯本体の交換工事は専門会社に委託することをお勧め致します。誘導灯本体の交換工事は100Vの電気工事が必要でありまた法令も定期的に改正があります。そのため消防法令にも精通している必要があります。非常時に確実に点灯する必要がありますので資格があるだけでは不安が伴います。交換工事には経験豊富な専門会社に委託することをお勧め致します。
しかしながら専門会社を選定するにあたってどのように選べばいいか迷われる方も多いかと思いますが次のポイントに気を付けて選定することをお勧めします
1.会社はHPや会社案内だけではわからないことも多々あるかと思います。専門会社選定の一つの目安としては創業10年以上の一定の経験がある会社を選定しましょう。
2.工事や点検を依頼した会社は建物の誘導灯などの消防設備の状況を把握しているため法改正時も含め定期的なアドバイザー的な役割も担います。個人事業主のような少人数の会社では価格が安いケースが多いですが途中で倒産したり連絡が取れなくなるようなケースも多く不安です。目安としては20人以上の従業員がいる会社を選定することをお勧め致します。法改正等も定期的にありますので長く付き合える会社を選んでいただきたいと思います。
2.誘導灯の種類と設置ポイント
誘導灯には「避難口誘導灯」「通路誘導灯」「客席誘導灯」「階段通路誘導灯」の4種類があります。それぞれの誘導灯の設置基準は消防法で規定されています。
劇場や映画館、病院、百貨店等のように多くの人が出入りする建物は誘導灯の設置義務があります。それらの建物では全階に誘導灯を設置しなければなりません。反面、マンションや工場などのように特定の人が利用するってものでは誘導灯の設置基準が緩和されています。但し、避難が難しい「地階」や、消防隊が進入しにくい「無窓階」、はしご車などでも届きにくい「11階以上」の階では、それぞれ誘導灯を設置しなければなりません。誘導灯の設置基準の詳細はこちらから確認して下さい。
それではそれぞれの誘導灯の内容を順番に見ていきましょう。
2-1.避難口誘導灯
避難口誘導灯とは緑色のカバーに白色の矢印がデザインされた避難出口の場所を示す誘導灯です。
直接外部に通じる扉、階段に通じる扉など、扉の開口部に設け、開口部の上部に誘導灯を設けることで、「この扉(開口部)は安全な場所に続く通路である」ということを知らせるものです。
避難口誘導灯は、扉や開口部の上部に設けなければなりません。通路に避難口誘導灯を設けるなど目的が違う使い方は消防法違反となりますので注意が必要です。
避難口誘導灯を設置しなければならない場所は、1.屋内から直接地上に通じる出入口、2.直通階段の出入口、3.不特定が利用する100㎡を超える居室・又は特定の人が使用する400㎡を超える居室の出入口となっています。
引用元:日立アプライアランス
2-2.通路誘導灯
通路誘導灯は白色のカバーに緑色の矢印がデザインされた避難出口の場所を示す誘導灯です。
廊下や階段など「通路」での設置を目的とする誘導灯で、避難口への方向が判断できるようにするための誘導灯です。原則として、「どの位置からでも誘導灯が必ず1ヶ所は見えること」という基準で配置することになっています。また曲がり角や交差点があれば、その箇所にも設置して避難口への誘導を行わなければなりません。
居室と廊下をつなぐ出入口や、廊下等に設けられた防火扉のくぐり戸では、避難口誘導灯の有効範囲と、通路誘導灯の有効範囲を合算して有効とできるため、通路誘導灯の台数を抑えることができます。しかしながら屋内から直接地上に通じる出入口、附室の出入口、直通階段の出入口など重要度の高い場所では避難口誘導灯の有効範囲内に通路誘導灯を設置する必要があり、有効範囲の合算ができない点に注意しなければなりません。
引用元:日立アプライアンス
2-3.客席誘導灯
客席誘導灯は映画館や劇場などの多くの階段や傾斜路があることによりつまづき・転倒がしやすく、避難が難しい建物で一定の明るさを保つためのものです。
避難経路が分かるように最低限の足元照度確保のため座席の下部に設置が義務付けられています。この場合、映画が上映中であっても、客席誘導灯の消灯はしてはならなく常に避難に使用する最低限の照度を確保することになっています。客席誘導灯の照度基準は「椅子と椅子の間の通路で、0.2ルクス以上を確保」となっています。
引用元:東芝ライテック
2-4.階段通路誘導灯
階段通路誘導灯は階段の天井面や壁面に階数表示板を照らすものです。電池を内蔵した照明器具を設置し避難時だけでなく通常で使うための照度確保だけでなく階数表示を照らすことにより現在の位置把握が容易になります。
引用元:消防設備マスター
3.誘導灯の役割
誘導灯の役割は、建物で火災などが発生した場合に避難場所へ速やかに人々が避難できるように非常口や避難経路を照らして誘導するための設備器具です。つまり誘導灯は避難口が分かるようにを示したり避難する道筋をガイドする灯ともいえます。
誘導灯の内部には蓄電池(バッテリー)が内蔵されており停電時には20分間以上(不特定多数が利用する建物は60分間以上)点灯することができ夜に火災や地震等の災害による停電が起きた場合でも明りを頼りに出口へ誘導出来るようになっています。
消防法に基づき消防設備が適切な場所に設置されていることはもちろんのことですが、非常時に誘導灯や非常灯が確実に点灯しなければ意味がありません。確実に点灯するかどうか確認するためにも定期点検を実施し不良箇所はすみやかに交換を行うことにより万が一に備えることをオススメ致します。
4.誘導灯に関する法定点検
誘導灯には消防設備点検という法的な点検を行うことを定められています。この点検は消防法(消防法第17条の3の3)に基づき消防設備の設置が義務づけられている建物で年2回定期的に点検を行い、その結果を消防署に提出する必要があります。ここでいう消防設備点検では、誘導灯だけでなく消火器や自動火災報知機、スプリンクラーなど建物の防災設備が正常に機能するか確認する重要な点検です。
当ブログ「いざという時に備える消防設備点検!内容と費用の簡単ポイント解説」では消防設備点検を分かりやすく解説しています。参考にして下さい。
5.まとめ
誘導灯は避難口を示したり避難する道筋をガイドする灯です。
誘導灯内部には蓄電池(バッテリー)が内蔵されており停電時には20分間以上(不特定多数が利用する建物は60分間以上)点灯することで停電時にも安全に避難することができます。
誘導灯には「避難口誘導灯」「通路誘導灯」「客席誘導灯」「階段通路誘導灯」の4種類に分かれています。
器具本体とバッテリー、ランプで構成されており本体器具の交換作業には電気工事士等の有資格者が行わなければなりません。
誘導灯は消火器や自動火災報知機などの消防設備と共に、消防法により年2回定期的に消防設備点検を行うことを義務付けられています。
停電等いざという時に確実に点灯するためにも専門会社による交換工事を行うことをお勧めしています。
建物を利用する人々が安全に安心して過ごすことができるよう法令を遵守した点検や工事を行なって下さい。
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