充満した煙を一気に排出して人命を守る排煙設備の基礎知識5ポイント

火事になって部屋中が煙で充満したらどうなるでしょうか?よく映画でも見るシーンです。想像しただけでも恐ろしいですね。
煙を吸うと肺が熱傷し死に至ることもあります。

そんな時に強い味方になるのが排煙設備です。特に機械排煙設備は機械の力で多くの煙を一気に外部へ排出してくれます。そんな私達の安全を守ってくれる排煙設備のことを知る機会はなかなかなく、わからないことも多いのではないでしょうか。

ここでは排煙設備はどういうものか種類や役割、設置する条件などをわかりやすく解説しました。建物を利用する人たちの安全を守るためにも是非この記事を参考にして下さい。


1.排煙設備とは

排煙設備とは、火災時に発生する煙を屋外に排出し消防活動を円滑行うことと建物に取り残された人々の人命救助することを支援するために設置する大切な設備です。普段は使わない設備ですが火災などでいざという時に正常に動作するように定期的な点検を行う必要があります。

火災では 火が広がるスピードよりも煙が広がるスピードの方が圧倒的に早いため煙には十分注意する必要があります。例えば、水平方向に動く煙は人が歩くスピードと変わりませんが階段などの垂直方向では人が逃げるスピードよりも動きが速いため煙で視界が悪くなって逃げるための障害になります。

また火災の煙には、不完全燃焼による一酸化炭素などが含まれており、この高温の煙を吸い込むことにより、気道や肺などが熱傷して呼吸困難に陥り、体が動かくなくなったり、ひどい場合は死に至るケースもありますので十分注意してください。


2.排煙設備の種類

排煙設備は大別すると自然排煙と機械排煙の2種類の設備があります。

2-1.自然排煙設備

引用:井上昇商店

自然排煙は機械的な力を加えることなく、煙が上昇する特性を上手く利用して、自然に煙を建物の外部に排出する方法です。具体的には外壁に面した壁に窓を配置して、窓から煙を外に出すことなります。

自然排煙には採光、通風のための一般的な窓と兼用する場合と、排煙窓と呼ばれる排煙を目的とした専用の窓を設置する場合の2種類の方法があります。

2-2.機械排煙設備

引用元:ファイン

機械排煙は文字通り機械の力で煙を強制的に外部に排出する方法です。具体的には天井の面に吸気口を設けてダクトを通して外部に煙を放出します。例えば「機械排煙設備」は、大型の換気扇と考えて下さい。動力を使って機械の力で強制的に多くの煙を屋外に放出していきます。


3.排煙設備の設置コスト

排煙設備の設置コストは自然排煙が機械排煙に比べ安価に設置ができます。
自然排煙<機械排煙

自然排煙は通常の窓と併用することも可能で、また排煙窓を設置するにあたっても機械設備は不要なため、コストは安価で済みます。しかし各部屋を建物外壁側に配置する必要があり設計上の制約が生じてしまいます。

機械排煙の場合は、設計上の制約はないがダクトや排煙機の設置が必要なためにコストがかかり自然排煙設備に比べ費用が割高となります。

排煙設備の選択は予算確保及び設計上の優先順位を検討した上で決める必要があります。


4.排煙設備の設置基準

特殊建築物で述べ床面積500㎡を超えるもの、特殊建築物でなくても、3階以上で500㎡を超えるものについては排煙設備の設置が必要となります。

自然排煙と機械排煙、それぞれの設置基準を順番に説明していきます。

4-1.自然排煙の設置基準について

自然排煙の場合は、外部に面した排煙窓によって煙を排煙するスペース(排煙口)を確保することになります。排煙口の面積は防煙区画された部分の床面積の1/50以上の面積を占める必要があります。

引用元:家カフェ

また、排煙口は天井面から80cm以内の場所に設置しなければならないので注意する必要があります。
手動解放装置は排煙口の開閉のために床面から80cm以上150cm未満の高さ、又は天井から吊り下げる場合は床面から1.8mの高さに設置しなければなりません。

4-2.機械排煙の設置基準について

機械排煙の場合は、排煙機の能力が1分間に120㎥以上煙を排出でき、かつ、防煙区画の床面積1㎡につき1㎥³の空気を排出する能力がある必要があります。

また排煙機が電源を必要とする場合は予備電源が必要で、高さ31mを超える建物の場合は、排煙設備の制御装置を中央管理室に設置するようにしなければなりません。また、排煙口は不燃材料とする必要があり、排煙の風道は木材等の可燃材料から15cm以上離して設置しなければなりません。


5 排煙設備の緩和基準について

5-1.排煙設備設置の対象外の建築物

次の条件に該当する建物は排煙設備を設置する必要がない建築物になります。順番にみてまいりましょう。

A.建築物の用途が学校、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツ練習場に該当するもの

B.機械を製作する工場、不燃性の物品を保管する倉庫などで、建築物の主要構造部の材料が不燃材料を使用しているもの。

C.危険物の貯蔵場、ごみ等の処理場、自動車の車庫、繊維の製造工場等で法令の規定によって不燃ガス又は粉末消火設備を設けているもの

D.2階以下の、延べ面積が200㎡以下の住宅、又は床面積の合計が200㎡以下の長屋の住戸の居室で、当該居室の床面積の1/20以上大きさの換気窓があるもの

 

5-2.排煙設備の設置が免除される条件

排煙設備を設置する必要があるが次の条件に該当する建物は排煙設備を免除することができます。条件を順番にみてまいりましょう。

A.準耐火構造や防火設備で区画されているスペースで、床面積が100㎡以内のもの(共同住宅の住戸は200㎡以内のもの)は排煙設備が免除されます。但し、建築基準法別表1(い)(二)の用途に限ります。

B.階段部分・昇降機の昇降路部分・防火区画されているダクトやパイプスペースについては排煙設備が免除されます。

C.高さ31m以下の建築物にある部屋(居室を除く)で、内装仕上げ材料は準不燃を使用し、かつ、居室に面した開口部は防火区画し、その他の開口部に戸を設けた場所は排煙設備の設置が免除されます。

D.高さ31m以下の建築物にある部屋(居室を除く)で床面積100㎡以下の室で防煙区画したものは排煙設備が免除されます。但し、建築基準法別表1(い)の建築物の主たる用途の供する部分で地階にあるものは除きます。

E.高さ31m以下の建築物にある居室で、床面積100㎡以内ごとに防火区画され、かつ、内装仕上げ材料は準不燃を使用した場所は排煙設備の設置が免除されます。

F.高さ31m以下の建築物にある居室で、床面積100㎡以内として内装や下地仕上材料共に不燃材料をしたものは排煙設備の設置が免除されます。

G.高さ31m以下にある居室で「防煙壁」などで床面積100㎡以内ごとに防煙区画されたものは排煙設備の設置が免除されます。

H.高さ31mを超える建築物の床面積100㎡以下の室で防火区画され、かつ、内装仕上げを準不燃としたものは排煙設備の設置が免除されます。

 

 

特殊建築物とは
建築基準法第二条二項で定められた「学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物」を言う。

防煙区画とは
火災のとき煙が拡散していくことを防ぐために設ける区画。防火戸や垂れ壁などによる区画。

防煙壁とは
防煙区画に用いられる間仕切り壁や垂れ壁


6.まとめ

排煙設備は、煙を屋外に排出して人々の人命救助することを支援するために設置する大切な設備です。

排煙設備には自然排煙と機械排煙の2種類の設備があります

排煙設備の設置コストは自然排煙の方が機械排煙に比べ安価に設置することができます。

自然排煙も機械排煙も建築基準法で定められた設置ルールに基づき設置を行う必要があります。ただし建築物の条件により設置を免除されるケースもあります。

排煙設備の内、機械排煙設備は建築基準法により年1回「建築設備定期検査」を行う必要があります。非常時に正常に動作し、人々の安全を守るためにも定期的に検査を行ってください。

「建築設備定期検査」についてもっと詳しく知りたい方は当ブログ「建築設備定期検査|設備異常から守るために知っておきたい内容と費用」を是非お読みください。

 

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