- あなたは換気設備のことをどこまで理解できていますか?換気設備の役割や種類など実はわからないことも多いのではないでしょうか?
例えばあなたの仕事先のビルで事務所の空気が埃やカビで汚染されていたとしたら・・1日の大半を過ごす場所ではきれいな空気の中で安心して働ける空気環境を維持してきたいですよね。
ここで換気設備が働きます。新鮮な空気に入替える換気設備!私たちがきれいな空気の中で快適に生活するために大切な役割を担っています。
ここでは換気設備についてわかりやすく設備をしていますのでわからない方でも安心して頂けると思います。トラブルが起きる前にはメンテナンスも行いたいもの、安心して任せることができる会社の選ぶ方法も公開しました。ぜひ記事を参考にしてください。
目次
1.換気設備とは
換気設備とは空間の空気を入れ替えるための設備です。給気設備と排気設備から構成され、原則として全ての建物での設置が義務付けられています。
換気設備は室内で発生する汚染空気を室外に排出し、室外から正常な空気を供給し室内空気を必要とする清浄度に保つためにあります。室内で発生する汚染は一般的に粉じん、有害ガス、臭気などですが換気によってそれぞれの汚染物の濃度を下げる事ができます。
この濃度についてもオフィスビルや工場や手術室等でそれぞれの清浄度が要求されており、その為さまざまな換気設備が存在しています。
2.換気設備の種類
換気設備の種類に、は風力や室内外の温度差による浮力によって窓等を通して行われる自然換気と送風機や扇風機等の機械力による機械換気の2つの方法があります。
2-1.自然換気とは
自然換気とは、室内外の温度差や風圧によって自然と空気の入れ替えがおこなわれる換気方式のことをいいます。
引用元:ALLABOUT
例えば屋外に風が吹いていて、これが建物に当たるとどうなるでしょうか。風に当たった側の面では風がせき止められて気圧が高くなります。
これに対し、反対側の面では空気が吸い出されることにより負圧になります。建物の壁面にこのような圧力の差が生じる事で窓等の開口部があると、空気が室内に吸い込まれ流入し、反対の窓から拭きだし流れ出ていくことになります。
また、室内外の温度差で換気をすることもできます。室内が室外に対し高温になっていて室内外の温度差があるとき、壁側の上方と下方にすきまがあるとします。
暖かい空気は軽いので上方に移動し、すきまから室内に出ます。これに伴い下方のすきまから冷たい空気が吸い込まれます。この様に室内外に温度差があると空気の浮力によって室内の空気が換気されることになります。
2-2.機械換気とは
機械換気とは給気口と排気口の両方、またはどちらかにファンを設置する事で強制的な給気と排気ができ、安定した換気を得る事が出来る換気方法です。
機械換気には(1)第1種換気方式、(2)第2種換気方式、(3)第3種換気方式の3つの方式があります。それでは具体的に紹介していきます。
2-2-1.第1種換気方式
- 第1種換気方式とは給気口にも排気口にも機械を使用し、強制的に空気を循環させる事が出来る換気方法です。
引用元:ビル管理士総合情報.com
給気、排気ともに空気浄化ができ、機械換気の中でも最も確実な給気・排気が出来るのが利点です。空気の流れを制御しやすく戸建、集合住宅などに適しています。
外気が常に粉じんや有害ガス等を含んでいて清浄であると言えない時、給気側に空気浄化装置の設置が必要となります。一般的には集会場等の多くの人が利用する建物の場合は空気浄化装置を設置します。
第1種換気は室内に確実に給気を供給できるうえ給気や廃棄を空気浄化装置によって処理する事の可能なメリットの多い換気方法です。
2-2-2.第2種換気方式
- 第2種換気方式とは給気口に機械を使用し排気口は自然換気を行う換気方法です。
引用元:ビル管理士総合情報.com
室内には排気口を設け、そこから空気を排出できるようにすることにより外気を各室内に給気する事ができます。主にクリーンルームなどの換気方式に適しています。
第2種換気方式を用いた室内は建物の機密度によっては冬季に湿った空気が室内の壁内に浸透し、結露を引き起こす場合があります。これを避けるためには適度な大きさの排気口を設けて室内を過度な正圧にしない事が大切です。
2-2-3.第3種換気方式
- 第3種換気方式とは排気口を機械換気で強制的に行い、給気側を自然換気で行う換気方法です。
引用元:ビル管理士総合情報.com
- 排気口に使用するファンを駆動するエネルギーが小さく、第1種換気と比較して電気代が安くなります。基本的に臭気汚染発生室などに設置して、建物全体の換気を行うのによく用いられます。
- 厨房、トイレ、ゴミ置き場等の排気口に機械を設置し、汚染された空気の強制的な排気をおこないます。そして廊下等から新鮮な外気を流入させて建物全体の換気が出来るように全体の換気を計画します。
- 排気口に機械を設置する場合、原則的には天井に近い方が好ましく、その理由は室内に取り入れられた空気の分布を均等にし局所的な空気の流れが生じないようにするためです。
2.換気設備の役割
換気設備の建物での役割は室内の空気と外気を入れ替えるために設けられています。建物は暑さや寒さの影響から逃れ雨風から身を守る事が出来ます。しかし外気から完璧に一線を画すると室内の空気はよどみ呼吸や燃焼器具などで酸素が消費され息苦しい物となってしまいます。
かつての日本家屋においては隙間風と言われるように自然に多少の外気が入り、また窓を開ける機会も時間もあったので自然の換気が行われていました。しかし現代住宅は冷暖房効果を高める為に高気密となり、また空調機械の普及により窓を閉め切る事が多くなった為、自然な給気と排気が殆どなくなっていることが多くなっています。また、換気をしない事でシックハウス症候群等の症状も出やすくなります。
私たちが建物の中で快適に、安全に過ごすためには、建物内の給気と排気がバランスよく行われるように常に換気設備を良い状態に管理していかなければならないのです。
- シックハウス症候群とは
シックハウス症候群とは新しい建物や新築の家に引っ越した途端、室内に入ると気分が悪くなる症状の事です。建材などに含まれるホルムアルデヒド、トルエン、キシレンなどの化学物質が空気中に放散されることで、めまい、吐き気、頭痛、平衡感覚の失調、眼、鼻、のどの痛み、粘膜や皮膚の乾燥や呼吸器系症状を引き起こすものです。
その場から離れる事で症状が改善することがほとんどで、アレルギーの一種であり、抵抗力の弱い幼児や家にいる時間が長い主婦に多く症状が見られます。既存の建物の場合、シックハウス症候群を予防する為には換気をして空気中の化学物質濃度を低くすることが有効です。
3.換気設備のトラブル事例
ここでは建物の換気設備でよく起こるトラブル事例を3つ記載します。換気設備に何らかの不具合があった場合、もしそれを放置してしまっていては様々なトラブルを引き起こしてしまい、私たちの健康を損ねる恐れがあります。
- 換気扇が動かない
換気設備の不具合の中でも換気扇のトラブルは最も身近で、最もよく起こります。
スイッチを入れても換気扇が動かない場合、その原因のほとんどは、汚れとホコリの付着によるものです。
換気扇の掃除を怠ると、換気扇を動かすモーター軸に油汚れが付着して、動かなくなってしまう事があります。 このような場合の対策としては、モーター軸やその周辺の部品を外して、油汚れを綺麗に清掃すると状況が改善する事があります。
また使用頻度にもよりますが、およそ8年~10年使用している場合は、換気扇本体の寿命が原因である可能性があり、この場合の対策としては信頼できる業者による換気扇本体の交換が適切です。
- 空調、換気周りが臭い
排気ダクト、給気ダクトの汚れが臭いの原因になる場合があります。換気扇の裏側にはダクトが走っており、空気を運ぶ働きをしています。長い間清掃されていないダクトの中は粉じんや繊維質等出閉塞状態にあり排気機能の低下を招きます。
ダクト内にたまったホコリは吹き出し口から室内へと飛散していき、空調機で汚れた空気は再度循環を繰り返すので室内の空気は汚染され外気の空気よりはるかに汚れた状態になります。汚染された空気には排気ガスやカビやウイルスなどが含まれている可能性がありそれらがビル内で働く人の健康に害を及ぼします。ダクト内は5年に1度の清掃が推奨されています。ビルで働く人々の健康を守るためにも清掃を行いましょう。
- 異音がする
- 機械換気の給気口に設置されている給気ファンや排気口に設置されている排気ファンのベアリング(軸受)は経年劣化を生じやすい部位です。経年劣化によりロックされてしまうと運転が不可能になってしまいます。運転中にファンの方からキーキーと音がする時などはベアリングの寿命である可能性が高い為ベアリングの交換が必要になります。
4.換気設備で必要な法定検査
換気設備が行わなければならない法定検査は、建築基準法に基づく建築設備定期検査です。
この検査は建物を安心して使用するために年1回有資格者により検査を行う必要があります。検査内容は換気設備、排煙設備、非常用照明設備、給排水設備の4つの項目があります。建物が検査対象物かどうかは役所や規模・用途によりさまざまですので確認が必要です。
検査会社は検査だけでなく設備に不具合があった場合の改修工事もできる会社がありますので4章での事例にあるようなトラブルが発生した時はまず検査会社など専門家に相談してください。
建築設備定期検査は「建築設備定期検査とは?通知が届いたらする事、やり方を簡単解説」で詳しく解説しているので必ず確認しておきましょう。
5.検査会社を選ぶポイント
ここでは安心して任せる事ができる検査会社を選ぶための3つのポイントをご紹介いたします。
換気設備を含めた建築設備定期検査は、有資格者により行う必要があるため検査会社に依頼する事がお勧めです。
設計会社、ゼネコン等建設会社、ビルメンテナンス会社等で行うことができます。多くの検査会社の中で安心して任せることができる会社を選ぶことが重要です。
ポイント1 豊富な経験と実績がある会社を選ぶ
豊富な経験と実績がある会社を選ぶことが失敗しない選び方の1つ目です。
設置している設備の種類・設備数、設置場所は建物によって千差万別です。どのような設備が設置していてもしっかり対応するには少なくとも年間200物件以上の検査経験のある検査会社を選ぶことが検査をスムーズにトラブルなく行うためには必須です。
ポイント2 信用のある会社を選ぶ。
信用のある会社を選ぶことが失敗しない選び方の2つ目です。
ホームページやチラシ等だけ見ても信用があるか責任を持って検査を最後まで行ってくれるかなかなか判断がつかないものです。よく当社にもお客様から「今まで小さな会社に検査を任せていたが急に連絡が取れなくなって困っている」と相談があります。毎年継続して検査を依頼したい、連絡が取れにくくなるのは困る・・・ このように困らないよう少なくとも10年以上の社歴がある会社や10人以上の従業員がいる会社を選ぶことが重要です。
ポイント3 追加料金が必要ない会社を選ぶ
追加料金が必要ない会社を選ぶことが失敗しない選び方の3つ目です。
安心できる会社は常に明瞭会計をします。あとで追加費用が必要な場合は任せるのに不安です。見積金額以外では追加費用が発生しない会社を選びたいものです。
当社では見積作成時に「検査費、報告書作成費、センター提出費、センター手数料エリア外交通費など」検査に必要な費用は全て記載し追加費用がなく安心してお任せいただけるようにしています。見積書を取った時には見積金額以外の費用が必要か確認することが重要です。
費用については「建築設備定期検査はいくら必要か?費用相場がわかる見積事例4選」で詳しく解説しています。
まとめ
建物の中で安心安全に過ごせる空間を維持し続ける為には換気設備や、空調設備はまさにライフラインであり大変重要な役割を果たすものです。適正な設備の維持管理を行うためには法定検査や不具合時の改修工事は大変重要なものになります。
快適な空気の中で生活する事は生活環境や労働環境をよりよくしてくれます。換気設備の事をよく知り、信頼できる検査会社を選び、安心安全な空間を維持し続けていきたいものですね。
建物に一定の規模があり換気設備を設置している場合は建築基準法に基づく「建築設備定期検査」を行わなければならならない可能性があるので、改めて確認してみてください。
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