「自分が所有するビルで、空気環境測定という業務をしなければいけないそうだけれど、どうすればいいのだろう?」それは自分でできるものなのか?
「そもそも空気環境測定って、どんなことをするのか?」
今この記事を読んでいるあなたは、そんな疑問や悩みを抱いているのではないでしょうか?
空気環境測定とは、ビル管理法という法律で定められている測定です。
空気は人が生きていくために必要不可欠なものですがきれいかどうかは見て判断することはできません。
そのために空気環境測定で定められた測定内容や方法に従いながら、専用の機械を使い科学的に判断していきます。
ここではあなたのビルの空気の安全について理解を深めていただくために空気環境測定について60年の経験と知見をもとに具体的にわかりやすく解説していきます。是非記事を参考にしてください。
1.空気環境測定とは
空気環境測定とは、建物の中の空気がきれいな状態であることを確認し人が安心して過ごすことができる環境を作るために定期的に行う測定です。不特定多数の人々が出入りする建物で年6回測定を行うことをビルオーナーに義務付けられているものです。
具体的な測定内容や測定対象はビル管理法(正式名称は建築物における衛生的環境の確保に関する法律)に従って行います。
ビル管理法は、延床面積3000㎡以上((学校教育法第1条に規定する学校については8,000㎡以上)で不特定多数の人々が出入りするの建物において空気環境測定を始めとした環境衛生業務を行うことと定められています。なお、このビル管理法に該当する建物は特定建築物と呼ばれています。
ビル管理法の詳細は「ビル管法とは?対象となるビル、検査項目など基本知識を簡潔に解説」で解説しています。
では空気環境測定はなぜ?いつ?どこで?何を?誰が?どのように?測定を行うのでしょうか?
測定の目的、頻度、対象の建物、測定内容、測定要件、測定方法をそれぞれ詳しく説明していきましょう。
1-1.空気環境測定を行う目的
空気環境測定は人の健康を守るために行います。具体的には人にとって一番大切な空気が綺麗なのか?を測定することはとても大切で、体調不良や病気を防止するための手段として空気環境測定があります。
空気環境測定を行う義務がビル管理法で定められているということは先ほど述べた通りですが、そもそも空気は人が生きていくために必ず必要とする物質ですね。
私たちは呼吸をするとき無意識のうちに空気を吸っています。体内に取入れられるので空気がきれいなのかどうかは非常に重要です。
室内の空気上に一酸化炭素や二酸化炭素などの化学物質や粉塵などのほこりが増えても、私たちは変化を感じ取れません。「何だか生あくびが出る」「頭痛がする」「くしゃみが止まらない」という症状が起こります。またひどい場合は、喘息やアトピー等のアレルギーの原因にもなる恐れがあります。
そのように見えない物質でありながら大切な空気だからこそしっかりと測定してほしいものです。
1-2.空気環境測定を行わない場合の罰則
前項で説明したように空気環境測定は私たちにとって大切な業務ですのでビル管理法に基づいて行わなければなりません。また随時、都道府県知事(実際は保健所)による立入検査が行われます。立ち入り調査では報告書などの帳簿書類が整理されて保管されているかの管理状況についての調査を行います。法律で決められた通り実行しているか?結果はどうか?書類は揃っているか?を確認します。
もし空気環境測定を行っていない、書類を保管・管理していない、などのことがあれば保健所より指導があります。具体的には下記を参照してください。
罰則規定
建築物における衛生的環境の確保に関する法律に基づいて必要があると認めるときは、定期的に都道府県知事(実際は保健所)による立入検査が行われます。測定や点検の報告書などの帳簿書類が保管されているかの管理状況について検査したり関係者に質問を行うことができます。
次の事項に該当する場合は30万円以下の罰金になる場合があります。
(1)特定建築物の届出を行わなかったり、偽りの届出を行った場合
※所有者等は建物の使用開始1ケ月以内に保健所で届ける義務があります
(2)特定建築物に「建築物環境衛生管理技術者」を選任していない場合
(3)特定建築物の測定や点検の報告書等の書類を保管してなかったり、偽りの記載をした場合
(4)保健所職員の立入を拒んだり、質問に対して回答をしなかったり、偽りの回答を行った場合
1-3.空気環境測定を行う頻度
空気環境測定は年間6回行い、1日に測定は午前・午後の2回行います。空気環境測定の周期もビル管理法で定められている年間の測定回数や1日の測定回数について順番に見てまいりましょう。
年間の測定回数(6回)
空気環境測定はビル管理法により年6回(2ケ月以内ごとに1回)測定を行う決まりとなっています。測定月には2つのパターンがあり
Aパターン(偶数月)
4月、6月、8月、10月、12月、2月の6回
Bパターン(奇数月)
5月、7月、9月、11月、1月、3月の6回
例えば、1月~6月までは毎月測定し、7月~12月までは測定を行わないなどのように偏ったサイクルでは行うことができません。空気の状態が定期的に把握できるよう年間を通じて規則的に測定していきます。
但し、東京都は初年度のみ毎月(年12回)測定することを推奨しています。これは竣工時に空調設備が正常に機能しているかを確認することを目的としています。
推奨であり義務ではありませんが、現在ご契約の大部分の建物では毎月測定を行っています。これを行う目的は竣工当初は設備の状態が不安定なため毎月測定し空気の状態に変化がないかを把握していきます。
現在の建物は大型ビルになるほど窓を開けることができないため自分で換気することができません。ただ一つの方法が換気設備による換気です。この換気設備が正常に作動しなければ空気に入替えができなくなるので埃っぽく、二酸化酸素が充満し、頭痛や咳などの症状が現れてきます。
毎月測定を行い正確な状況を把握することは建物の利用者のためにも必要です。竣工時1年間は毎月測定を行うことをお勧めします。
1日の測定回数(2回)
空気環境測定は午前・午後の1日2回測定を行います。
測定の実施時間は
1回目:始業後から12時までの間に1回
2回目:13時から終業前までの間に1回
2回の測定は同じ場所で測定を行い、その平均値を基準値と照らし合わせて結果を判断します。もし基準値外の数値の場合は「1-4.測定項目」で記載している対策を取る必要があります。
1日に2回測定を行う理由
時間による気温の変化や空調の状態、滞在人数など環境の変化により空気の状態が変わる可能性があることがあげられます。
例えば、人が増えると二酸化炭素が増え、ほこりが立ちやすくなります。1日の空気の正確な状態を把握するためにも1日2回測定は理にかなっています。
1-4.空気環境測定を行う建物
空気環境測定は事務所ビルや、スーパーや百貨店、映画館といった不特定多数の人々が出入りする建物で測定義務があります。反面、マンションや介護施設など決まった人しか出入りしない建物には測定義務はありません。
空気環境測定の対象となる建物は次の2つの条件を満たす必要があります
1 店舗や事務所、遊戯施設などが不特定多数の人が利用する施設
2 建物の延床面積が3,000平方メートル以上ある建物(学校教育法第1条に規定する学校については延床面積8,000平方メートル以上)
これらの建物を特定建築物といいます。
厚生労働省ホームページ「建築物衛生」を参考にしてください。
1−5.測定の6項目
空気環境測定では、温度、湿度、気流、一酸化炭素、二酸化炭素、粉塵の6項目の測定を行います。それぞれの測定基準や基準外の数値の時に起こりやすい症状を説明していきます。この6項目の内
温熱条件である温度・湿度・気流は午前・午後の個々の測定値と基準値
空気清浄度である二酸化炭素・一酸化炭素・浮遊粉塵では午前・午後の2回測定の平均値と基準値
それぞれ比較し、基準値外の場合はそれぞれの物質でこれから説明する改善のための対策を行う必要があります。
項目1.温 度
- 基準値・・・17℃以上~28℃以下が適正数値です。外気との差が5~7℃程度が適正温度となります。
- 使用する測定器の基準・・・〇・五度目盛の温度計を使用します
- 基準値を超えたときの症状・・・大きく超えるとのぼせ、低いと寒いため仕事の作業効率が落ちていきます。
- 対策・・・空調機の温度調整により適正温度に設定します。
項目2.湿 度
- 基準値・・・40%以上~70%以下が適正数値です。
- 使用する測定器の基準・・・〇・五度目盛の乾湿球湿度計を使用します
- 基準値を超えたときの症状・・・不快指数が上がり作業効率が落ちてきます。低いと感染しやすくなり風邪をひきやすくなります。
- 対策・・・高いと除湿器、低いと加湿器の設置をお勧めします。
項目3.二酸化炭素
- 基準値・・・1,000PPM以下が適正数値です。
- 使用する測定器の基準・・・検知管方式による二酸化炭素検定器を使用します
- 基準値を超えたときの症状・・・大きく超えると頭痛・耳鳴り・めまいなどの体調不良につながり、また眠気を誘います。
- 対策・・・換気をしたり窓をあけ空気の入替えを行います。
項目4.一酸化炭素
- 基準値・・・10PPM以下が適正数値です。
- 使用する測定器の基準・・・検知管方式による一酸化炭素検定器を使用します
- 基準値を超えたときの症状・・・大きく超えると頭痛・はきけ・めまいなどの体調不良に繋がります。
- 対策・・・換気をしたり窓をあけ空気の入替えを行います。
項目5.気 流
- 基準値・・・0.5m/s以下が適正数値です。
- 使用する測定器の基準・・・〇・二メートル毎秒以上の気流を測定することができる風速計を使用します
- 基準値を超えたときの症状・・・大きく超えると不快感が出て集中力が落ちてきます。
- 対策・・・空調からの吹出しの風が直接当たらないようにする。
項目6.浮遊粉塵
- 基準値・・・0.15mg/m³以下が適正数値です。
- 使用する測定器の基準・・・厚生労働大臣の登録を受けた者により当該機器を標準として較正された機器を使用します
- 基準値を超えたときの症状・・・大きく超えると微粒粒子を鼻から吸い込み肺にたまり体調不良につながります。
- 対策・・・空調器に高性能フィルターを設置したり空気清浄器の設置をお勧めします。
1-6.空気環境測定業登録を行うための2つの要件
空気環境測定を行う場合は都道府県の事業登録が必要です。
事業登録制度には1号登録から8号登録まであります。その内、空気環境測定業登録は2号登録、空気環境測定を含む環境衛生総合管理業登録は8号登録になります。
測定会社を探すときは空気環境測定業務の登録を受けていることを証明する、2号登録(建築物空気環境測定業)、もしくは8号登録(建築物環境衛生総合管理業)をしている会社を探しましょう。
登録を受けるためにはいくつかの要件を満たす必要があります。
各都道府県で検査を行い、検査に合格した会社のみ登録を受けることができます。登録を受けていることは測定会社を探す上での判断材料になります。
では登録要件について順番に見てまいりましょう。
要件1.「空気環境測定実施者」、又は「建築物環境衛生管理技術者」の資格者
一つ目の要件は「空気環境測定実施者」、および「建築物環境衛生管理技術者」の資格者がいるかどうかです。
空気環境測定実施者の資格は厚生労働大臣の登録を受けた機関が行う講習会を修了し試験に合格した者が得ることができます。
建築物環境衛生管理技術者は厚生労働大臣の指定を受けた日本建築衛生管理教育センターが行う建築物環境衛生管理技術者登録講習会を受け試験に合格した者、または、建築物環境衛生管理技術者国家試験に合格した者に対し免状が交付されます。
共に国家資格であり、資格者が在籍していなければ登録はできませんので測定会社を選ぶ時の判断材料となります。
要件2.6つの項目を測定するための測定器
二つ目の要件は測定を行うために必要な道具がそろっているかを確認するための条件です。
空気環境測定に必要な6項目を測定することができる測定器があること。粉塵計の定期的な校正が行われているかを証明するものが必要です。
1-7.測定前に決める3つのポイント
空気環境測定の測定方法は「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則」により決められています。主な内容を順番に見てまいりましょう。
ポイント1.測定タイミング
空気環境測定は「建築物環境衛生管理基準」において特定建築物の通常の使用時間中に行うものとしています。つまり営業時間内に行う必要があります。
よく建物の休館日に測定を行うと思われている方もいますが、空気環境測定は通常業務を行っているときの空気の状況を測定するものです。
ポイント2.測定場所
「建築物環境衛生管理基準」においては各階の事務所(居室)の中央部で測定を行う、と規定されていますが居室の空気環境が把握できるように測定箇所は空調方式、空調系統、吹出口や部屋のレイアウト等を考慮して総合的に判断することをお勧めしますが、
昨今、個人情報などセキュリテイの問題等で事務所内での測定は難しくなってきており、現状は入口付近で測定することが多くなっています。
ポイント3.測定の高さ
測定の高さも「建築物環境衛生管理基準」で定められており床上75cm以上150cm以下の一定の高さで測定する必要があります。
2.空気環境測定を行うための流れ
いままでは空気環境測定の基本を説明してきました。ここからは実際に空気環境測定を行う場合はどのような流れになるのでしょうか。それは以下のような6つのステップで行います。
それでは順番に見てまいりましょう。
基本的にビルのオーナーや管理者がすることは、次の3点です
・測定会社を探し依頼する
・測定に必要な書類を揃え測定会社に提供する
・測定会社が作成した報告書を確認し保管する
では、実際の6ステップを見てみましょう。
ステップ1)建物が竣工
ビル管理法に該当する建物では竣工すると空気環境測定を行う義務が生じます。
どのような建物がビル管理法に該当するか不明な場合は「1.空気環境測定とは」を参照してください
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ステップ2)測定会社を探す
空気環境測定を依頼する測定会社をホームページなどで探します。相場が分からない場合が多いかと思いますので複数の業者から相見積もりをとって適正な金額を把握するのがいいでしょう。
金額だけで決めずに測定器のメンテナンスやスタッフの教育などしっかり行っている測定会社を総合的に判断して選ぶことをおすすめします。
測定会社の選定に迷ったら「3.測定会社選びの4つのポイント」を参考にして決めて下さい。
見積を依頼するときは測定ポイント数を決める必要があります。何ポイント測定すればいいか迷ったら
「これを読めば決められる!空気環境測定ポイント数の決め方2つの手順」を参照して決めて下さい。
測定会社を決めたら依頼します。
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ステップ3)測定に必要な書類を準備
測定会社が測定・報告書の作成を行うために、建物に関する資料が必要です。
だいたい測定日の1週間前までには、以下の資料を用意して測定会社に送るといいでしょう。
初回測定の場合は次の書類・情報があれば十分です
・建築平面図
・測定箇所の入居者名(会社名)
基本的には測定会社から資料の依頼が来ますのでそれに従ってください
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ステップ4)測定
測定日を測定会社と相談して決めて下さい。
決められた日時に、測定会社が建物を訪問し測定を行います。
その時は準備するものもなく通常通りに仕事をしていただければ大丈夫です。
空気環境測定は1箇所1分程度で終了しますので事務所で働く方にご迷惑をお掛けすることはありません。法律に従い午前中に1回、午後に1回で同じ場所を計2回測定を行います。
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ステップ5)測定会社が報告書を作成
検査日から1週間以内に測定会社が報告書を作成し、依頼者宛に郵送しますので、到着後、内容を確認してください。
測定結果が悪い場合には速やかに対策を行い、環境を改善する必要があるために報告書は早く提出できる測定会社を選ぶことをお勧めします。
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ステップ6)報告書を保管
報告書がお手元に届きましたら整理して保管しておいてください。
特定建築物では定期的に保健所が立ち入り検査を行います。報告書などの書類も確認を行いますのでその時に慌てないように整理をし保管しておくことが大切です。
3.空気環境測定の費用相場
空気環境測定はビル管理会社がサービスとして行っています。ポイント数や人工で費用を算出している会社が多いですが費用設定は各社により大きく差があります。
3-1.価格設定の事例
ここではよくある費用設定の事例を説明していきます。空気環境測定はスタッフが契約ビルに測定器を持参して訪問し午前1回、午後1回測定を行います。その後報告書を作成するために、業務を完了するのには丸1日かかります。
見積を作成する上での費用構成として、①人件費(測定・報告書作成)、②測定器の機械損料、③交通費等移動費、④会社諸経費などが加算されて算出されます。
人が動く仕事のため測定箇所数が少なくとも一定の費用が必要になります。そのため各社は基本料金を設定しているケースがほとんどです。
また基本料金に一定のポイントを含んでいる会社(たとえば10ポイントまでは基本料金に含む)、含んでいない会社(基本料金+測定するポイントの料金が必要)に分かれます。
ここでは空気環境測定を行っている会社の費用事例を解説していきます。
3-1-1.株式会社東和総合サービス
基本料金に5ポイントまでの測定料金が含んでいます。6ポイント以上は1ポイント当たり1,000円の追加費用が必要です。
基本料金 | 特記事項 | 1ポイント当り費用 | |
費用 | 15,000円 | 5ポイントまで含む | 1,000円 |
測定事例)30ポイント測定の場合⇒ 基本料20,000円+25ポイント×1,000円=45,000円
3-1-2.アイケイサービス株式会社
基本料金に10ポイントまでの測定料金が含んでいます。11ポイント以上は1ポイント当たり1,000円の追加費用が必要です。
基本料 | 特記事項 | 1ポイント追加費用 | |
費用 | 42,000円 | 10ポイント迄含む | 1,100円 |
測定事例)30ポイント測定の場合⇒ 基本料42,000円+追加20ポイント×1,100円=64,000円
3-1-3.常盤興業株式会社
この会社は基本料金に測定料金は含まれていません。基本料金は出張費のような考えと推定されます。
基本料金 | 特記事項 | 1ポイント当り費用 | |
費用 | 20,000円 | 測定料金含まず | 3,000円 |
測定事例)30ポイント測定の場合⇒ 基本料20,000円+30ポイント×3,000円=110,000円
※いくつかの会社で測定料金の事例を上げました。掲載している料金にエリア外費用等の別途費用が発生する場合もありますので正式な見積依頼をする場合は各社にお尋ねください。
3-2.見積事例
ここでは具体的な建物のケースに合わせた見積書の事例を3つ説明します。
事例1.事務所ビルで9ポイント測定の場合
東京都港区にある延床面積5,000㎡の事務所ビルで測定ポイントは外気を含む9ポイント
港区は東京23区内ですのでエリア外交通費は発生しません。
基本料は5ポイントまでが15,000円です。6ポイント以降1ポイントごとに1,000円が加算されます。
見積金額は15,000円+(9-5)×1,000円=19,000円となります。
事例2.スーパーで13ポイント測定の場合
横浜市にある延床面積10,000㎡のスーパーで測定ポイントは外気を含む13ポイント
横浜市は東京23区外となりますのでエリア外交通費が発生します。
基本料は5ポイントまでが15,000円です。6ポイント以降1ポイントごとに1,000円が加算されます。
見積金額は15,000円+(13-5)×1,000円=23,000円
このケースではエリア外交通費が2,000円必要
見積合計額は23,000円+2,000円=25,000円となります。
事例3.百貨店で16ポイント測定の場合
埼玉県熊谷市にある延床面積20,000㎡の百貨店で測定ポイントは外気を含む16ポイント
熊谷市は東京23区外となりますのでエリア外交通費が発生します。
基本料は5ポイントまでが15,000円です。6ポイント以降1ポイントごとに1,000円が加算されます。
見積金額は15,000円+(16-5)×1,000円=26,000円
このケースではエリア外交通費が6,000円必要
見積合計額は26,000円+6,000円=32,000円となります
4.測定会社を選ぶ4つのポイント
空気環境測定の概要、測定するための流れを見てきました。
そこで最後に、測定会社を選ぶ際のポイントを5つ挙げておきましょう。
ポイント1.見積金額はコミコミか
見積書の金額は測定に当たっての費用はすべて含まれており追加費用は発生しないことを確認してください。
測定の完了までには、測定、報告書作成が必要です。またそれに関わる交通費、機械損料、郵送費、会社経費などがかかってきます。見積書の金額にはそれらがすべて含まれているのか?確認しておく必要があります。
測定費の決め方は各社の考え方がありますが、基本的には測定会社は価格を設定する場合、人件費をもとに決めます。
空気環境測定の契約数が多い会社は1日2件と効率的に回ることができます。そのため測定費は比較的に安価に提供できます。しかし契約数が少ない会社は1日1件測定にならざるをないので割高になってしまいます。
また、一体型の測定器が出てきたことによって以前に比べ測定時間が短くできるようになってきました。効率よく測定できるため一体型の測定器を使用している会社は安価にサービスを提供できます。
つまり安価でありながらも安心して任せることができる会社の条件は下記のようになります
1.測定の契約数が多い会社
2.一体型の測定器を使う会社
空気環境測定の管理物件数が多く、一体型の測定器を使っている会社はリーズナブルな価格を提供できるといえるでしょう。人々の健康を守るためにも安かろう悪かろうの会社は避けてほしいものです。
ポイント2.年間400件以上の測定の実績があるか
測定会社の契約物件の実績を確認してください。管理物件数が多い会社は多くの建物の測定を経験しているため、的確なアドバイスをしてもらえます。空気環境測定は衛生的な環境を守るための大切な仕事ですので経験や知識の豊富な測定会社を選んでほしいと思います。
その目安として、年間400件以上の測定を請け負っていて経験と知見の蓄積がある測定会社をオススメします。
ポイント3.創業歴20年以上、従業員数20名以上が信頼できる目安
測定会社の会社歴を確認してください。空気環境測定は年間6回測定を行わなければなりません。そのため測定会社は、一度依頼したら同じところに継続して依頼できるのが理想的です。空調機等建物の特性を理解してもらえますし、問題がありそうな箇所については、事前に気づいて「この部分は現状ではまだ大丈夫ですが、今のうちに改善したほうがいいですよ」などとアドバイスももらえるからです。
そんな継続的なお付き合いをするためにも、長く測定業務を続けていて今後も廃業などの懸念がない、信頼できる測定会社を選ぶといいでしょう。そのための基準として創業20年以上、従業員数20人以上の測定会社を選ぶことをお勧めします。
20年間営業を継続できることは社会的な信頼があり、また一定数の従業員が在籍していることは仕事量も増加している証拠です。
ポイント4.正確に測定できる測定器を使っているか
測定会社がどのような測定器を使い、どのようなメンテナンスを行っているか確認してください。
空気環境測定を行うからには正確な数値を図りたいものです。測定器も精密機械ですので使っているうちに数値に誤差が出来てきます。矯正を行うためにも定期的なメンテナンスや定期的な較正を行うことは欠かせません。
下記のようなメンテナンスを行っている会社であれば理想的です。
・2年以内に1回、測定器のオーバーホール(分解点検)
・1年に1回、粉塵計の校正(法律で行うことが決まっています)
・2週間に1回、温度、湿度、一酸化炭素、二酸化炭素の社内較正
このようにしっかりとした機器メンテナンスを行い、正確な数値の測定ができる測定会社を選ぶことが大切です。
ポイント5.スピーデイーな対応
測定会社がスピーデイーな対応ができる会社か確認してください。
素早い対応ができる会社を選んで依頼することは重要なポイントです。測定会社を選ぶときには必ず確認してほしい2つのポイントを記載します。
1.測定時間が早い会社
1ポイント1分で測定できる会社を探しましょう
測定に時間がかかると仕事をしているテナント様にご迷惑をおかけすることになります。
最新の一体型測定器では1分程度で測定が完了します。
古いタイプの測定器であれば3分~5分程度かかります。
昔はそれぞれの項目を測定する6つの専用機器をワゴンの上に並べて測定を行っていたため、スペースを取り、なおかつ測定に時間がかかっていました。技術の進化とともに現在は6項目測定する機器がコンパクトな一体型測定器が開発されたためより正確に、早く測定することができるようになりました。
仮に20ポイント測定の目安時間としては
・一体型測定器の場合 20ポイント×1分=20分
・個別の測定器の場合 20ポイント×5分=100分
一体型測定器に比べ5倍程度時間がかかってしまいます。
これはコスト高にもつながりますので個別の測定器を使った方が割高になる場合が多いです。
早く測定ができてコストも安くできる一体型測定器を使用する測定会社をお勧めします。
2.報告書提出が早い会社
報告書は測定後1週間以内に提出できる会社を選びましょう。
報告書の提出期間は一般的に早い会社で1週間以内、遅い会社で1ケ月程度かかります。
測定数値が悪い場合はできるだけ早く改善の対策を行う必要がありますので働く従業員の皆さんの健康を維持するためにも素早く対応してくれる測定会社をお勧めします。
このようにしっかりとした機器メンテナンスを行い、正確な数値の測定ができる測定会社を選ぶことが大切です。
ビル管理会社の選び方は「信頼できるビル管理会社を見極める方法と全国のおすすめ管理会社6選」で解説しているので、一読することをおすすめします。
5.まとめ
空気環境測定は人々が健康で衛生的に過ごすごとができるために必要な大切な仕事です。
空気環境測定は年間6回行う義務があり、また1日の測定は午前・午後の2回測定します。
空気環境測定は、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」(通称:ビル管法という)において定められており延床面積3000㎡以上で不特定多数の人々が出入りする建物で行う必要があります
空気環境測定では、温度、湿度、気流、一酸化炭素、二酸化炭素、浮遊粉塵の6項目の測定を行います
各都道府県で2号登録(建築物空気環境測定業)、もしくは8号登録(建築物環境衛生総合管理業)の登録をしている会社であれば安心です。
・登録のためには空気環境測定実施者や建築物環境衛生管理技術者といった有資格者がいること
・空気環境測定器が揃っていること
の2つの要件が満たす必要があります。
空気環境測定を行うために依頼主は
1測定会社を決める
2測定に必要な書類を揃えて測定会社に提供する
3測定会社が作成した報告書を確認し保管する
の3点を行う必要があります。
測定会社選びは
1リーズナブルで追加費用が発生しない
2年間400件以上の検査をしている
3創業歴20年以上、従業員数20名以上で信頼できる
4正確に測定できる測定器を使っているか
5スピーデイーな対応ができる
の5つのポイントをおさえて選ぶことをお勧めします
空気環境測定は人々の健康を守る業務です。測定会社を選ぶ際は早く報告書を提出してくれ速やかに環境改善を行うことができる会社に依頼して下さい。
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