改正健康増進法で望まない受動喫煙を防止するための喫煙室対策

ご存じですか?2020年には建物の中でたばこが吸えなくなるかもしれません。改正健康増進法で、たばこの喫煙場所が相当規制されるからです。

この法律では、たばこを吸わない人たちの好まない受動喫煙を防ぐことが定められています。

ここでは改正健康増進法とは何か?たばこは本当に建物の中で吸えなくなるのか?好まない受動喫煙をしないためにどのようなことをするのか?これからの建物内の喫煙についての管理方法の基本的な事をわかりやすくまとめました。

是非記事を参考にして下さい


1.改正健康増進法とは

改正健康増進法とは20187月に受動喫煙防止を強化するために成立した法律です。東京オリンピックが開催される2020年全面施行に向けて段階的に実施されます。

日本の喫煙制限レベルは世界的にも遅れており今回の改正でも世界保健機関(WHO)の喫煙制限レベル(4段階に分かれています)が最低ランクから1ランク上がるだけです。ただこれを機会に受動喫煙の流れが広がっていくことが期待できます。

1-1.基本的な考え方

改正健康増進法ほ基本的な考え方は大きく3つに分かれます。

  • 望まない受動喫煙をなくしていくこと
  • 受動喫煙による健康影響が大きい子供、患者などに配慮すること
  • 施設の類型や場所ごとに対策を実施していく

1-2.施行の流れ

受動喫煙防止のために全面施行に向けて3段階に分けて進めていきます。

  • 第一段階2018年には国・都道府県が受動喫煙防止の内容について周知・啓発を行い、内容について理解を進める
  • 第二段階20197月より学校・病院・行政機関の建物内、敷地を全面禁煙とする
  • 最終段階20204月に事務所ビル・大型飲食店の建物内、ホテルのロビーでは全面禁煙になります

例外として、学校・病院・行政機関は敷地内禁煙ですが国の基準を満たした屋外喫煙所であれば設置可能です。また事務所ビル・大型飲食店・ホテルのロビーでは国の基準を満たした屋内喫煙所は設置可能です。


2.受動喫煙防止のために必要な喫煙室の設置と測定

厚生労働省は改正健康増進法での受動喫煙防止のためにハード面の対策、組織体制の構築、空気環境測定の実施と大きく3つの対応が必要となっています。ここでは受動喫煙を防止するための喫煙室設置や設置後の測定について順番に説明していきます。

2-1.喫煙室の設置

建物内外で喫煙室を新設や移転、改修する場合には、国が定めた基準を満たした喫煙専用室を作る必要があります。また喫煙可能区域を設定した上で当該区域において適切な換気を実施します。

喫煙室設置についての条件は次の通りです。この目的は喫煙室の外を通行している人や、仕事をしている人々に影響を与えないための基準です。

設置の際は専門家にも相談しながら基準が満たされるように注意が必要です。

“喫煙室設置基準”

  • 屋外排気をして、喫煙室入口を開けっ放しの状態でも0.2/s以上の喫煙室に向かう空気の流れがあること
  • たばこの煙が喫煙室外に流れ出さないように壁や天井などで仕るようにすること

※屋外に排気ができない場合は、たばこの煙を浄化装置などで浄化して、屋外に排気することもできるがその場合の条件として下記の基準を満たす必要があります。

1 総揮発性有機化合物の除去率が95%以上であること。

2 浮遊粉じんの量が0.015mg/㎥以下であること。

2-2.喫煙室の空気環境測定

受動喫煙防止のためには喫煙専用室を設置しただけでは不十分です。定期的に喫煙室で空気環境測定を行い、厚生労働省で定められた基準が維持できているかを常に把握する必要があります。

2-2-1.喫煙室の空気環境測定を行うタイミング

喫煙室の測定を行うタイミングは専用喫煙室の新規設置受動喫煙対策での移設の場合です。それぞれ設置完了後、すみやかに測定を行わなければなりません。

1 専用喫煙室の新規設置

初めて専用喫煙室を設置した時に気流等の基準が満たされているかを確認するために速やかに測定を実施する必要があります。

2 受動喫煙対策で移設設置

専用喫煙室や喫煙可能区域で見直し変更を行った際に速やかに測定を実施する必要があります。

2-2-2.喫煙室の定期的な測定

厚生労働省では定められた基準が維持できているかを把握するために四季による気温の変化や空気調和設備の稼働状況を考慮して3ケ月以内ごと(年4回以上)定期的に測定を行うことを推奨しています。

なお年4回以上の定期測定の結果、良好な測定数値が1年以上継続し、かつ、喫煙区域のたばこ煙濃度に大きな影響を与える事象がない場合には、建物の衛生委員会等で検討を行い、測定頻度を年1回までの範囲で減らすことができます。

2-2-3.測定内容

喫煙室測定の内容は厚生労働省が測定場所、測定物質(合格基準)、1日の測定回数を細かく定めています。

測定場所:①喫煙室内、②非喫煙区域、③喫煙室と非喫煙区域の境界、の3つの場所を測定します

      参照:神奈川県HP
 

測定物質は、①浮遊粉塵、②一酸化炭素、③気流(喫煙室と非喫煙区域の境界のみ)の3つの物質を測定しそれぞれの合格基準は下記の通りです。

また1日の測定回数は、午前1回、午後2回の計3回行うことになっています。

“測定の合格基準”

  • 浮遊粉塵濃度 :測定点全体の算術平均が0.15mg/㎥以下
  • 一酸化炭素濃度:測定点全体の算術平均が10ppm以下
  • 気流 :すべての測定点で0.2m/s以上
  • 強調ブロック内でリンクを使う場合は「リンクの挿入/編集」ボタンを使ってください。

3.費用相場

喫煙室測定はまだ相場が醸成されていないために業界としての費用設定が固まっていません。

測定は主に分析会社やビルメンテナンス会社で行うことができます。

測定は1日3回行う必要があるため、測定時間帯としては10時~16時頃までかかる場合があります。測定終了後に事務所に戻り報告書を作成しますので1人1日の時間が必要となります。その他、移動交通費や機械損料、報告書作成のための事務所経費が必要です。

喫煙室測定については各社はまだHPでも測定費が掲載されているケースがほとんどないため事例を紹介することができませんが参考までに当社の費用をご案内致します。

喫煙室測定の費用事例

喫煙室1ケ所当り ¥30,000円(税抜額)

※東京都23区内、大阪市内の費用です。その他のエリアは別途費用がかかります

  • 強調ブロックは特に強調して表現したい際にご利用ください。
  • 箇条書きと文章のどちらでも利用可能です。
  • 強調ブロック内でリンクを使う場合は「リンクの挿入/編集」ボタンを使ってください。

測定会社を選ぶ時は厚生労働省の測定基準をしっかり理解しており、なおかつ厚生労働省の基準に沿った喫煙室測定の実績がすでにある会社を選ぶことが失敗しないためのポイントです。


 4.まとめ

改正健康増進法の目的は、①望まない受動喫煙をなくしていくこと、②受動喫煙による健康影響が大きい子供、患者などに配慮すること、③施設の類型や場所ごとに対策を実施していくこと。の3つあります

受動喫煙を防止するために専用喫煙室の設置、基準を満たしているか定期的な喫煙室測定の実施を行う必要があります。

これからますます受動喫煙防止の流れが進んでいくと考えられます。そしてなによりも周りの喫煙を望まない方に配慮した管理体制を作っていっていただきたいと考えています。

改正健康増進法全般について知りたい方は当ブログの「改正健康増進法の基本的な考え方とは?事業者が対応すべき3つのこと」を参照ください

 

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