最近新規のお問い合わせが増えてきています。その多くが管理会社の変更を検討していると言われます。お話を聞く際に何故管理会社を変えようと思われるのか、何故当社にお問い合わせ下さったのかをお尋ねすると下記の様なご回答を頂くことが多いようになりました。
1.誰が担当か分からない
2.依頼をしても反応が無い
3.誰も訪問してこない
4.提案が全く無い
5.掃のできあがりが良くないので注意しても全然変わらない
以上のような内容の不満を持たれて業者の変更を検討されるお客様が多くなってきています。
このような問題が起きる根本的な原因は清掃管理会社の意識の問題とサービスの質より利益を重視してしまう事があります。この記事では清掃管理業務を取り巻く環境・背景・お客様との間の問題点などをご紹介していきます。
目次
1.清掃管理会社を取り巻く環境
昨今の社会情勢の変化により、清掃管理会社の経営環境はさらに苦しいものになっています。
①少子高齢化と人口減少に伴う人材不足
定年退職などにより高齢者が離職していく中で次の担い手となる若い世代の人口が減少しており、絶対的人数が足りない状況になっています。清掃管理業務においても、募集をかけてもなかなか人が集まらず、これまででしたらお断りしていた70歳以上の方でもなかなか募集が無いということもおきています。
②安価受註による会社の経営難
売上確保の為にお客様の無理な価格設定でもとりあえず仕事を受けてしまい、いざ実務がはじまると受註した金額では利益がほとんど出ない状態であることが判明し、使用とおりに行えば会社にとって負担が多くなるという状況に陥っています。
③最賃が毎年上がるので原価が上がるが受注金額が減るもしくは増額してもらえない
政府の政策により近年最低賃金が毎年値上がりしていくのに、お客様からは毎年値下げを要求される、又は原価が増加していく為の値上げのお願いをしますが受け入れてもらえないという場面が多く見受けます。
2.お客様の希望にも問題がある
①出来るだけコストを抑えたい
今の価格より少しでもやすくしたい、去年より安くしたいというお客様が多いですが、最低賃金は毎年上がり、募集がこない状況の中で、人件費以外にも必ず必要な経費を捻出するには絶対的に必要な金額があります。
②トレイがあるから女性作業員しか駄目
社員の方がおられる時間は仕方がないかとは思いますが、早朝などおられない時間帯は駅などでも男性が掃除をしている事が多く、人材難な状況の今はサービスを提供させて頂くには、ご理解をして頂きたいです。
③若くて見栄えのいい人がいい
若くて見栄えの言い方は清掃業務を希望されないことが多いのが現状です。また、万が一希望されても、条件の良いほうに行かれますので、人件費が上がってしまいます。お客様のご希望に添うためには、契約金額を上げて頂かないと難しいのが現実です。
④事務所が活動する前に終らせて欲しい
早く出社される事務所や、人が多く汚れやすい現場ではそれなりの人数を入れられればご希望に応じることは出来ますが、朝は業務が集中し、人材の確保が困難な時代ですので、仕事に支障をきたす場所以外は日中や夕方などにさせて頂けると効率面・価格面でもお客様にとってもメリットがあるかと思われます。
⑤場所の変更や追加など臨機応変に対応して欲しい。出来れば無料で
ご契約内容を決められた時間内に終らせることがお約束となっています。変更や追加がある場合はご相談させて頂き、必要であればお見積もりして対応させて頂かないと本来の業務が滞ってしまいます。
⑥会社で定期定期に教育・指導して欲しい
余裕がない会社が多いので全くの未経験者でも道具だけ渡して適当にやっておいてと言ってそのまま放置してしまう会社を多く見受けます。当社に転職されて何年も清掃の仕事をしてきたが、初めて基礎から教えてもらったという方が多いです。
3.実際に起きている業者の問題行
上記が原因となり現在多くの現場で起きている問題があります。この問題はオーナーや管理会社が気づいていない場合があります。
※あくまでこの事例はごく一部であって、すべての会社に当てはまる訳ではございません。
①現場の欠勤・退職に対応せず、現場任せにする
現場の人が急に退職したり、欠勤するというのはよくあることですが、余裕をもって仕事の分担をしているわけではないので、時間内に業務を終えることが出来なくなります。通常この場合は代わりの人材を手配する必要がありますが、対応せず結果約束通りの業務を行わないということを行う業者を見受けます。
②仕様に書いてある作業(剥離、ワックス掛けなど)をやったふりをしている
これは官公庁の入札物件でみかけることですが、年間作業の中に入っている作業を行わず、やったふりをして報告書を出している業者を見受けます。
③作業に必要な道具・作業着を作業員に渡さない、現場に担当者が誰も一度も来ない
これはお客様が管理会社を当社に変更された時に、現場で勤められていた清掃員の方がよく言われることです。
④社会保険・残業代を支払わない、最賃を下回っている、有給を与えない。予告解雇をしない。
少しでも原価を下げ、利益を出すために本来支払わなくてはならない社会保健料や残業代を支払わない会社を見受けます。また、本来1ヶ月前に予告しなければいけない解雇も今日で終了と伝えその分の保証もしない、最低賃金を下回っている会社も見受けます。
⑤価格を安くしたために起きている問題
業者の問題行動のほとんどはお客様に気づかれるまで時間がかかり、業者がきちんと管理しない為にお客様の財産である建物の質と価値を落としてしまい、入居者などが決まりにくい状況になります。
4.清掃管理会社の選び方
信用して任せていたのにある日それがきちんと履行されていないことが発覚する・・・・。
それを未然に防ぐためにも普段からのチェックが必要になります。また、希望価格が安価すぎず履行するのに適正なものであるかを調査して頂く必要があります。
まずインターネットなどで依頼する業務の価格を数社調べ、価格に大きな開きがある場合は問い合わせて内容を確認する必要があります。実際仕事を行っている同じような構造の物件で履行している内容と契約してから改善が必要になった内容などを確認するのもお勧めします。
見積もりをもらう際に外注を使うのか、その外注先は自社で行うのかを確認しましょう。入札などの場合で資格が必要な場合は見積もりと一緒に資格証の提出と出来れば社会保険証の写しを確認されることをお勧めします。
仕事を依頼する前に営業ではなく、現場を担当する責任者にも会っておくことをお勧めします。
契約は信頼関係の元に結ぶものですが、お客様も任せっきりにしないで定期的に業務が約束とおりに行われているかを確認されることで、業者とのよいコミュニケーションがとれ、満足のいかれるサービスを受けられることが出来ると思います。
5.まとめ
大切な財産である建物や一日の半分近い時間を過ごす環境を整える清掃管理業務は、値段だけで判断すると大きな失敗をしてしまいがちな業務です。仕事を出す側も受ける側もお互いに協力しあい、良いパートナーシップを築きあげてこそ納得のいくサービスが生まれます。
これからますます清掃に従事する人の確保が難しくなっていく中で、もう一度原点に立ち返り、プロとして最大限の仕事を提供しそれに見合った対価を支払う良い関係を結べることがお互いにとって一番よいと考えます。
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